京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2025年1月 京都童心の会 通信句会結果 【選評】

2025-02-14 08:49:57 | 俳句
2025年1月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】
○金澤ひろあき選
特選 天 68 シルクロード 砂漠の壺を抱いて寝る 塩見すず子
 シルクロードの砂漠の中の都市は、今は廃墟になってしまったものもある。漢から唐にかけては交流が盛んで栄え、ローマやペルシア、インドの文化も運ばれて来た。
 当時の栄華を知っている壺などを見ると、そのデザインの新しさに心ひかれる。栄華の夢を見させてくれる。人間は昔から、遠い所との交流・交換をして生きている。ある意味、それが「人間らしさ」なのかもしれない。
地 58 ナゼ残るリアルなラクダと想像の龍 遠藤修司
 古代に栄えたシルクロードの遺跡。その出土品に、ラクダの姿と龍の姿が生き生きと描かれる。
 片や砂漠の実在する身近な動物。片や水に関係する想像上の存在。実在と想像が出会い、長い時間を経て来た不思議に、心動かされる。
人 39 メタセコイヤ秋が無かったと天気予報 蔭山辰子
 温暖化で地球全体がおかしくなっている。ロサンゼルスで大火があったが、その原因も温暖化によるものだという。
 日本も、暑い夏が十月まで続き、その後急に寒くなることを繰り返している。自然の動物植物も危ないというサインを出しているかのようである。この句の「メタセコイヤ」も、ものがなしい。
他、印象に残った句。
1 聖き夜に誕生ローソク八十八 松村芳子
 米寿を迎えられ、おめでとうございます。お誕生日がクリスマスの日。特別な日なので、また思いが深まりますね。
31 ね、にくい布団くいる 野谷真治
 「ね、憎い」と「寝にくい」の掛詞かな。一語で二つのイメージを出す趣向が面白い。
49 冬ざれや行列しても菜買いたし 野原加代子
 年末から野菜全般が高かった。でも無いと困るし。生活の本音が句になった。
○野原加代子特選
14 銭湯のお湯の匂いや冬和む   金澤ひろあき
近所にホテルの露天風呂があります。この冬に露天風呂に入るには老人の私には寒くて勇気がいります。ですが、お湯の匂い、湯気や風景で心も和みます。ひと時ではありますが、一息つくのも良い時間の過ごし方ではないかと。
○野谷真治特選
4 秋の陽の拍手におどる洗濯物 塩見すず子
 日々、洗濯している。全自動なのだが、時々止まることがある。買い替えの時かと思うが、その後、動き出す。
 「秋の陽の拍手」が、なんだか、嬉しい。
○蔭山辰子特選
62 経文にとどめし心 金の文字  遠藤修司
 昨年暮れの選ばれた文字は「金」でした。金メダル、裏金の議員、円安等。生活には大切であり、悪の元でもある「金」。無くては困りますが、今年は心して接していきたいです。
1 聖き夜に誕生ローソク八十八 松村芳子
 米寿をお迎え、おめでとうございます。
○塩見すず子
特選 29 花びらひとひらはだしの夜空 野谷真治
○岡畠真理子
特選 13 パン香る 創業明治の赤煉瓦 金澤ひろあき
 レトロな赤煉瓦のパン屋さん。昔ながらの素朴なパン達が並んでいそうです。パンを焼く香りに誘われてつい入ってしまいそうです。

お知らせ
3月句会
日時 3月 16日(日)午後2時
場所 阪急長岡天神駅東口 喫茶 アーバンにて
投句 毎月第2週まで 10句前後ですが、少なくても可です。
 110円切手3枚同封下さい。
選評  来月第1週までに頂けるとありがたいです。
京都童心の会  年会費 3000円
月句会参加の方は句会で頂いておりますので、不要です。


2025年1月 京都童心の会 通信句会結果

2025-02-14 08:24:37 | 俳句
2025年1月 京都童心の会 通信句会結果

玄武
   金澤ひろあき
 京都の四方を神が守って下さっているそうだ。北方は玄武が守っている。
 朱雀や青龍はある程度お馴染みかもしれないが、玄武は今一つ知名度が低そうだ。
 格好も蛇と亀が合体したもので、朱雀や青龍のような早そうな格好ではない。
 しかし、私は玄武が気に入っている。まず、玄武のいる北方は、帝に一番近い。天体でも北極星があり、動かず宇宙の中心と信じられていた。
 動かないから、じっとしている蛇や亀がいいのだ。
 帝より目立ってはまずいので地味に、でもどっしりとかまえている。
 玄武の「玄」は「黒」の意味だ。年をとってくると、黒やグレーに魅力を感じるようになってきた。落ち着くし、瞑想にも誘ってくれる。
 書の墨も黒の芸術だ。
 そして、2025年は巳年。蛇の年だ。玄武の片方が主役となる。
 玄武の蛇と亀は、数千年ケンカもせずに仲良く暮らしている。
 何かあればすぐに争う人間は、玄武に見習いたい。
  冬眠の良き夢玄武の蛇と亀  ひろあき

皆さんの選です。
 選者 真・・野谷真治  白・・白松いちろう 
修・・遠藤修司  辰・・蔭山辰子  
ひ・・金澤ひろあき 須・・三村須美子 
加・・野原加代子 真理・・岡畠真理子
    芳・・松村芳子  す・・塩見すず子

○松村芳子
1 聖き夜に誕生ローソク八十八  ひ 加 辰
2 手作りのチャンチャンコ綿匂う 真
3 冬の夜はきつねうどんに揚げ熱く 真理
○塩見すず子
4 秋の陽の拍手におどる洗濯物 (特 真)真理
5 妹と見た大木のさざんかの背にふれ 辰 真理
6 余生は両手にあふれる洗濯物   ひ 真
7 菊の香りがざわついてきた参道  加
8 まだまだ現役菊の香りの明るさに ひ
9 八十代の歓喜の声あげくぐる鳥居 真
10 登り下り稲荷のきつねにほめられて 真理
11 八十代へ足ばやに来るクリスマス
○金澤ひろあき
12 日向ぼこ 余計なものは持たぬ主義 加 真 す 真理
13 パン香る 創業明治の赤煉瓦 (特 真理)
14 銭湯のお湯の匂いや冬和む (特 加)す 真理
15 駅前より鋼の匂い父の街
16 人間のほうがウソつき狐言う す
17 聖樹の灯 お迎え時間保育園 真
18 ビジネス街 ホテルの聖樹くたびれる
19 クリスマス体に悪いものほどうまい 加 す 真理
20 留守宅を守る洗濯物もある す
21 迷子かな洗濯物が二階より
22 洗濯物日向の中で平和だよ
23 山茶花の蜜に浮かれて来るメジロ 辰 真理
24 思い出があるから山茶花散らないで 辰
25 ため息がさがしまわる 真
26 土器の少女が千年のほほえみ 加
○野谷真治
27 ふくろう亭冬の扉然りげ無く
28 春支度諦める長い鼻毛
29 花びらひとひらはだしの夜空 (特 す)
30 ひもすがら堕落月のうそ
31 ね、にくい布団くいる  ひ
○遠藤修司
32 無邪気な子等と真底遊ぶ その一瞬に心の浄化  ひ
33 目覚まし時計の遅れ気付かず余裕をかまし会社に遅刻
34 休日のアサイチ 何はともあれミカンむく
35 水面(みずも)にぎわすフィギュアは舞い リップサービス目の前で
36 来期も豊作 休む田に霜の御布団(おふとん)  加 辰 真理
37 「元気出して」と子からメール 仰ぎ見る朝焼けの空 ひ 真 辰
○蔭山辰子
38 変な夏 へんな秋なし急な冬 真
39 メタセコイヤ秋が無かったと天気予報 (特 ひ)
40 十二月三日 桜紅葉今日盛り
41 おせち申し込んだら情報もれで営業停止 ひ
42 十二月師でなくとも走りたい 真 真理
43 同級生 お年賀メールでごあいさつ 加
44 同い年 お互いさまよ いいよいいよ
45 良かったは金メダル悪いは金の裏渡し ひ
46 もう止めよう 金のばらまき金足らず
47 年の瀬のいそがしい空気火の用心
48 おめでとう嬉しく迎えようお正月 加 真理
○野原加代子
49 冬ざれや行列しても菜買いたし ひ 真 辰
50 冬の川鳥泳ぎして夫婦かな
51 夕食にぶり大根や母の味  辰
52 冬の鵙寒さ堪えて鳴き声や
53 寒げいこ孫ハチマキに声出して ひ 真
54 おでん鍋家族囲みて笑顔出て 辰
55 惜しむ年明けても歩き前見たし
56 バス待ちし冬手袋や暖かい 真理
○遠藤修司
57 紀元前 くちぬ輝き目の前に
58 ナゼ残るリアルなラクダと想像の龍 (特 ひ)
59 ラクダの背 運ぶ宝物仏の使い  加
60 シルクロード頭脳に刻む金杯の酒
61 険しき山々るり・メノウ・金の道 ひ す
62 経文にとどめし心 金の文字 (特 辰)す
63 シルクロード共生繁栄平和の道筋
○塩見すず子
64 新年の運命受けとりラクダのこぶ太る 加
65 こちらを見ているラクダよ 秋ふくらんだ ひ
66 紀元前の音階にまみれ80代の歩巾 ひ 真
67 遺跡の音に弾み 紀元前と握手   ひ 加
68 シルクロード 砂漠の壺を抱いて寝る (特 ひ)
○金澤ひろあき
69 紀元前のミイラの足に絹の赤い靴
70 メノウ着て黄金の杯人気者
71 胡人乗り月の砂漠の果てラクダ
72 仏の教えラクダの背に乗って来た 辰 す
73 金色の虚空に漂う仏の楽
74 ぽっちゃりの美人ほほえむラクダの背 す
75 紀元前黄金に不老不死の夢 加 辰

妄執の

2025-02-13 08:15:57 | 俳句
妄執の
      金澤ひろあき
「世は全て妄執にてはべり」と言う。
妄執のかなしき芽吹き能舞台 ひろあき


青き苔

2025-02-12 11:38:51 | 俳句
希望とは 雪の下から青き苔 金澤ひろあき

日記より 2月9日 冠句会

2025-02-10 13:57:57 | 俳句
日記より 2月9日 冠句会
 雪あがる。道にはたくさん残っているが。今月ようやく冠句会に参加できた。
 白い視野 親しい人ら待つ句会 ひろあき
という感じ。本当に久しぶりの句会。懐かしく、和やかだった。
 私の出句。
白い視野 木魂がかえる友死す山 (天)
混んだ席 神楽の神話動き出す (人)
 共に思いが深い句で、評価されて嬉しい。
 特に前句の「友」とは、色々な事があっただけに。