京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

現実が腐る

2019-05-21 08:02:37 | 日記
現実が腐る
          金澤ひろあき
かんぬきを一つ一つ外す生活のすみずみ
月曜日の重いカバンになる
一斉に退場する花屋の花
げんげ田のすき返される地獄変
割り込みを非難するよく割り込む人
花が咲いてしまったキャベツは余生
遺品となる本に積もるほこり
現実が腐るぐらい眠りたい
母のふところよあったかい茶
遠来の友あり花冷え遠慮せよ


長岡天神句飽き 令和1年5月作品

2019-05-20 17:46:26 | 日記

長岡天神句会 令和1年5月作品

 今年の5月より年号が令和になりました。年号の出典が『万葉集』だそうで、書店には、『万葉集』が並んでいます。巻頭の雄略天皇の歌から始まり、詠み手は様々です。歌人だけでなく、東国の庶民、そして大津皇子や有間皇子のように敗者の歌も削除せずに残しています。
 古代日本語に表された生き生きとした思い、それらを読むたびに、共鳴します。本当に時を越えます。
 今、私達が書いている詩歌も、その延長上にある。そんなことを感じます。
今月のみなさんの作品です。

筍の根を切り見せて売り自慢 三村須美子
茶袋に詰め放題の古茶を売る 中野硯池
霧深き幕を引きつつ島見える 岡畠さな子
新緑に山が目覚める5月かな 坪谷智恵子
足裏も深呼吸の若葉かな   青島巡紅
春灯す今あることの楽しさを 金澤ひろあき

6月句会は、私の都合で、30日(日)に変更しております。すみません。
時間は午後2時 
場所は同じ喫茶ア-バンです。

日出杜君と連句

2019-05-20 07:57:53 | 日記
日出杜君と連句
       金澤 ひろあき
 亡くなった内薗日出杜君は、即吟が不得意だったせいか、フリー句は、あまりしなかった。誘っても参加されない事が多かった。
 彼の生前、一回だけ行った事がある。2011年3月26日、長岡天神で会った時、興じてくれた。
髪切って友表れる花日和        ひろあき
昨日今日又も帰り寒波花雲       日出杜
句文集手渡す桜咲き染める       ひろあき
又冬の到来もう飽きた         日出杜
後ろ姿 冬山頭火のまねをする     ひろあき
放哉先生の自由律句川柳の本に     日出杜
いち早く春を迎える小豆島       ひろあき
さびしさを外ににじます        日出杜
あちこちに連れ歩いては気分変え    ひろあき
初恋の彼女求めて西東         日出杜
消えた虹また出ておいで もういいかい ひろあき

眠りの色

2019-05-17 08:05:01 | 日記
眠りの色
          金澤 ひろあき
 5月1日は令和の最初の日。雨です。この日、童心の会の皆さんと、舞子に吟行に行きました。行った先で句を即興で作るのです。
  雨に包まれ令和はじまる日の神戸    ひろあき
 8時のJR快速に向日町から乗り、乗り換えなしで舞子に着きます。雨は徐々に上がっていくようです。舞子につくと、早くから坪谷さんが早くから待っていて下さいました。瀬戸大橋のたもとにある駅で、対岸に淡路島が大きく見えています。久しぶりの海だなあと深呼吸。岡畠さん、中野さん、青島さんと合流します。
 舞子駅から舞子ビラ行きの送迎バスに乗ります。舞子ビラは高台にあるホテルで、14階から、大橋や淡路島、明石のほうまで見渡せます。雨はあがりましたが、霧が出たりで、墨絵のような色です。
  初夏の海眠りの色に淡路島       ひろあき
  主塔も幽霊となる海の霧        青島 巡紅
  つり橋の末端消える朝の霧       三村 須美子
  雨上がり淡路は指呼に五月かな     中野 硯池
 十四階から目の下に広がる景物。見ているだけで楽しい話がはずみます。
  雨曇り十四階の笑い声         巡紅
  近況の話はずみて山笑う        須美子
  海峡の霧の深まる逢瀬かな       ひろあき
 令和の初日ということで、句にもそれがあらわれます。
  改元の日の若葉風海渡る        硯池
  令和初日舞子の船のどこへ行く     須美子
  橋眺め令和初日の舟が行く       岡畠 さな子
 今日5月1日はメーデーであり、新天皇御即位の日。この二つが重なることは、たぶん今後は起こらないのではと、思ったことです。
  メーデーも即位も雨の中にあり     ひろあき
  改元のメーデーの雨上がりけり     硯池
 この日が歴史的な日になるのかどうかはわかりませんが、しっかり書き留めておきたいと思ったことでしあ。
 昼食後の俳句会、そして話に花が咲きました。
  うららかに改元気の句座開きけり    硯池
  初夏の海余白に船を置いている     ひろあき
  泳げない浜を斜めに見るホテル     巡紅
  昭和より令和になりて雨の朝      さな子
  酒盛や令和の梅の新樹光        須美子


2019年2月  長岡天神句会作品鑑賞

2019-05-16 08:03:06 | 日記
2019年2月 長岡天神句会作品鑑賞
             金澤 ひろあき
  平成も一月余り梅香る      ひろあき
 立春を過ぎましたが、気温は10度ぐらいで寒いです。晴れたり曇ったりしぐれたり。でも天神さんは梅が開いて、春の足音。西宮から岡畠さな子様もお見えになられ、なごやかな雰囲気でした。
 皆さんの句より
飴一つ銭湯への続く道         野谷真治
 昭和のレトロな時代を思い出します。子供の頃は銭湯が多かったですね。近所の人達の集まって、おしゃべりする場でした。風呂上がりにサイダーなど飲んで・・・。野谷さんは、あめ玉を楽しみながらという思い出があるのでしょうか。
雪降りし猫がトコトコ塀の上      岡畠さな子
 猫には決まった通り道があるようで、人の家だろうとおかまいなし。我が道を行っていますね。雪の日も我が道を行く猫の表情が見えてきますね。
焼芋はバスの座席で終点まで      坪谷智恵子    
 せっかく焼き芋を買ったのに、バスの座席に忘れてきてしまって。残念。その行方を想像して・・・。なんとなくおかしみを感じます。
探梅の突き当たりたつ御土居かな    中野硯池
 京都のまわりを豊臣秀吉が防御のために囲ったのが「御土居」です。大半は失われてしまいましたが、北野天満宮などに残っています。北野天満宮は梅でも有名。探梅と御土居めぐりが一緒にできます。
雪達磨子供に戻る玉となる       青島巡紅
 大雪で作った雪達磨が、日がたつにつれ溶けてだんだん小さくなる。その様子を「子供に戻る」と表現されたところに、童心を感じます。なにげないひとこまを、こんな風にとらえたいなと思いました。
ろう梅は打たれ強くて脇役で      金澤ひろあき
 寒い時期から咲いているろう梅。他の梅が咲く頃には、少ししおれ気味で、それでも一角でしっかりと咲き続けている。そんな姿に感銘を受けたのです。味のある脇役もいいなと。
節分豆一つづつ手に 話もそえて    三村須美子
 これもあたたかい光景ですね。誰と誰がといったことは書かれてないでっすが、イメージがふっと思い浮かびます。なつかしさも覚えますよ。