京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

うちあけると、ふっと楽な(3)

2017-11-22 14:25:14 | 日記
うちあけると、ふっと楽な (3)
         金澤 ひろあき
 青島さんと会う約束があった。台風が近づいていて雨が降り出していたが、会いたい気持ちが強かったので会った。
 伸びきった髪も切りたかった。入院すれば髪の手入れはできまいと思ったからだ。けれど、理髪店はどこも混んでいた。仕方が無いので、いつもの店はあきらめた。青島さんと会うために行った山科でたまたまとびこんだ店はすいていた。八十をこえた男の店主の方が柔らかく話しかけてくれるお店だった。その娘さんで四代目のお店だ。大正時代以来の同じ店構えだという。仕事はゆっくりで丁寧であたたかい雰囲気がいい。この人達も、私に全力を出して下さっている。時間はかかりそうだが、お任せしよう。青島さんを待たしてしまうのは悪いが、ふとそう思った。
 青島さんと会って病気入院のことを告げ、話しを聞いてもらった。こんな時、友はありがたい。また、句が出てくる。自由律だった。
  うちあけるとふっと楽なひなたぼこ    ひろあき
  人生見直したいとき病が来る
  入院おめでとうと言った高僧
  やかんが細く鳴る入院準備
  嵐のとき入院マンガみたいに行けばいいが
  病気でも腹は減る
  さいごのひとりになる冬銀河
  ひとりにしないでというもみじ

うちあけると、ふっと楽な(2)

2017-11-22 11:18:11 | 日記
うちあけると、ふっと楽な (2)
         金澤 ひろあき
 眼科の先生は親切だった。緊急で手術をすすめられた。二週間ほど入院することを伝えられた。すぐに入院という言葉に、少しためらった。ちょうど学校では大切な行事もある。顧問をしている放送部の大会にもつきそえない。別の所に入院している家族のこと。いろいろなことが頭をよぎった。妻にはすまないと思った。
 しかし、目の前の眼科の先生は、私の治療に全力を尽くそうとしている。この先生の目を見た時、それが伝わった。私のために全力を尽くして下さる人の思いにそむいてはならない。心の中でそんな声がした。すべてをお任せすることにした。職場に戻り、職場の人にも、放送部の生徒にも事実を伝えた。いろいろな人に、私の入院後のこともお願いした。その後、心の区切りのつもりで、一緒に大会に行けなくなった放送部の生徒の朗読を聞かせてもらった。大きな励ましをもらった。
 帰宅してから、俳句の会の人達に連絡をした。また、励ましの言葉をいただいた。
  全力尽くす人達の無言の励まし   ひろあき