2021年 3月 京都童心の会 通信句会結果
冒頭エッセイ
もう来ないだろう
金澤ひろあき
良いお天気で、桜も開き始めています。長岡天神の隣、西向日は住宅街ですが、桜並木がすばらしいのです。
もう来ないだろうこの道の桜咲き出した ひろあき
またも異動を言われました。今は長岡京勤務なので、隣の西向日もよく訪れましたが、新年度からは足が遠のきます。異動の準備であわただしくしている中、童心306号発送の準備も進めています。あわただしさと寂しさの3月末です。
さて、皆さんの選です。
選者 裸・・裸時 真・・野谷真治 白・・白松いちろう
藤・・木下藤庵 辰・・蔭山辰子 ひ・・金澤ひろあき
硯・・中野硯池 巡・・青島巡紅 須・・三村須美子
さ・・岡畠さな子 智・・坪谷智恵子 清・・宮崎清枝
加・・野原加代子
○野谷真治
1 ビル街の底ギターと焚火 裸 智
2 御伽噺の音落とす星祭 智
3 焚火鳴く泪のかたまり 裸 ひ
4 そもさんせっぱ暗闇坂の雪催 巡
5 帽子と再会春一番の交差点 裸 巡 須 藤 加
6 終活ノートひらく急須の冬
○金澤ひろあき
7 この石は山のおへそよ山笑う (特 裸)(特 智) 須 硯
8 春の水呼べば鯉来る亀が来る 辰 藤 清 硯
9 風光る子分のおもちゃ持ちさんぽ 裸 智
10 死んでしまえば土一握り四月馬鹿 裸 巡
11 梅の蕾夜を一枚脱いでいる (特 辰) 真 加
12 髪伸びる人形もいる雛祭り 真
13 旅に飽きて家のお茶漬け福は内 藤 智
14 陽炎や親に内緒のところまで 巡 智 硯
15 コロナワクチン届く三寒四温かな 須 藤 清
16 定年後ゴジラとなって暴れるか 真 巡 加
○中野硯池
17 由良の戸の鉄橋渡る余寒かな (特 巡)裸 須
18 大原女も出て畦焼く火守りにけり
19 口吻の紅愛らしく鱵かな ひ
20 椀種に一結びする鱵かな 巡 智
21 寿司屋にもチョコ置くバレンタインの日 真 藤 清 ひ
22 灌漑の堰ほとばしる春の水 辰 藤
23 如月に鱗はねいる調理かな
24 はやばやと施設の玄関雛飾る 清
25 神奈備の雛を集めて流しけり
26 流し雛潮目に乗りし加太の海 須 辰
○坪谷智恵子
27 春ですよ頭を出したふきのとう 辰 藤 加
28 艶めいて桜の木肌春を待つ 須 ひ
29 春真近草樹いきいき待ち受けて 清
30 菜の花と葉ぼたん丸く春を告げ 藤
31 しんしんと寒さ身にしむお水取り 辰 清 硯
32 何故ねむい船をこぎつつ日向ぼこ
33 生かされる生命力がひそんでる
34 とじこもり足の甲にもぜい肉が 真 ひ
35 息切れる手押し車に追いぬかれ 巡 加
36 持たされたなれないスマホ四苦八苦 須
○青島巡紅
37 白梅やヒヨドリ二羽の新体操 (特 須)真 裸 藤 智 ひ
38 風光る手に手を取って走り出す 清 硯
39 時の航路目覚めればまた新たな日 裸 辰
40 石積みの崩れた家にマリア像 藤 ひ
41 夫婦岩独りバイクの朝日かな 真 智
42 小浜港星座巡りてサビキ釣り
43 名残雪老いても解る同級生 (特 清)(特 ひ)須 智
44 浅い夢坂の上初恋の人 加
45 音残し飛行機雲が虹跨ぐ 真 藤 智
46 小春日和編み物をする女学生 裸 清 硯
47 廃校や早咲き桜人集め 真 辰 清 硯
○三村須美子
48 引きこもるウインドウはや春物に 辰
49 春浅き黄色の目立つ土手続き 辰 清 加
50 紅梅や削れば木肌血の走る
51 襖に手梅香ほほえみ迎えけり ひ
52 茎立ちの水菜に待てず蝶の舞う 巡
53 鐘つらね三二一の土佐水木 裸
54 花便りマスクマスクも浮き気分 辰
55 袖折りてツーランク大晴着の子 ひ
56 春めくや親顔負けの受け応え 清 ひ 硯
57 ひよどりめ莟のうちに食い散らす
58 椿つらつら葉を持ち上げて柄かたち 真 辰
59 春うら上着重たくなりにけり
60 増す陽気空気出たがる葱の青 巡 真 智
○宮崎清枝
61 小春日や故郷の匂ひの宅急便 (特 藤)(特 加) 藤 加 硯
62 干し大根もう漬頃とゆるびけり 巡 須 智 ひ
63 儘ならぬ釦かけいる朝寒し 須 辰 ひ 硯
64 山続く広沢の池水ぬるむ 藤
65 水仙の花解き幾日かわりなく
66 コロナ禍にかかわりもなく梅ひらく (特 硯) 辰 加
67 春寒や命の重さ老いて知る 巡 智 硯
○木下藤庵
68 煙雨の日鴉も啼かず風もなし
69 蚊トンボが舞い舞いコンコ雨近し ひ
70 お隣の金柑数えて去年と同じ 清
71 さわさわとユーカリそよぐ冬弱日 加
72 冬の日の日溜まり嬉し煙草が旨い 加
73 柔らかなひと雨待ちのチューリップ苗 真 須 辰
74 お隣の梅がほっこり一二輪 清 硯
75 コロナ禍で戸外で遊ぶ子らの声なし
○野原加代子
76 飛びて舞い春告げ鳥や見惚れてや
77 道端にぺんぺん草よ春告げし (特 藤)
78 ひなまつり今年も来たり顔合わせ
79 春一番風が吹きしてさわやかさ
80 春うれひ新たな道を友よ去り ひ
81 たんぽぽや野道に咲きて母想い 裸 藤 清
○蔭山辰子
82 桜だより人も小鳥も待ちわびて
83 野鳥たちベランダに並ぶ二羽三羽 加
84 心動く餌やりたいが見るだけに 須 智
85 緑なす散歩はマスクハコベ畑 裸 清
86 卒業式各教室で黙って聞く 巡 真 ひ 硯
87 娘夫婦仕事で祖母(わたし)がお迎えし
88 夕飯の赤飯をセットする電気釜
○白松いちろう
89 鴨は鴨で春を愉しむ 須 加
90 ここですよ沈丁花の香る 真 裸 巡 智 加
91 モスグリーンに衣替え屋根も春
92 鴉が天辺で今日は何人と問いかける 須
93 コロナ長雨に溶けて普段はそこまで
94 マスク越し味も会話も新時代 藤 ひ 硯
95 歩いて歩いて千歩ごとに汗と消え 裸
96 ハートの白チョコから孫の顔
97 一段と滑らか今日のガトウショコラ
98 白い富士の向う黄砂の恐怖が迫る 加
○ 裸時
99 酔芙蓉女子の尻尾を握りしめ 巡
100 書家の声大きく響け棗の実 硯
101 氷湖には目玉焼きを敷き詰めて (特 真)
102 鴨嘴リールがあってレールない
103 前回に作った椅子が丈夫です 真 巡
冒頭エッセイ
もう来ないだろう
金澤ひろあき
良いお天気で、桜も開き始めています。長岡天神の隣、西向日は住宅街ですが、桜並木がすばらしいのです。
もう来ないだろうこの道の桜咲き出した ひろあき
またも異動を言われました。今は長岡京勤務なので、隣の西向日もよく訪れましたが、新年度からは足が遠のきます。異動の準備であわただしくしている中、童心306号発送の準備も進めています。あわただしさと寂しさの3月末です。
さて、皆さんの選です。
選者 裸・・裸時 真・・野谷真治 白・・白松いちろう
藤・・木下藤庵 辰・・蔭山辰子 ひ・・金澤ひろあき
硯・・中野硯池 巡・・青島巡紅 須・・三村須美子
さ・・岡畠さな子 智・・坪谷智恵子 清・・宮崎清枝
加・・野原加代子
○野谷真治
1 ビル街の底ギターと焚火 裸 智
2 御伽噺の音落とす星祭 智
3 焚火鳴く泪のかたまり 裸 ひ
4 そもさんせっぱ暗闇坂の雪催 巡
5 帽子と再会春一番の交差点 裸 巡 須 藤 加
6 終活ノートひらく急須の冬
○金澤ひろあき
7 この石は山のおへそよ山笑う (特 裸)(特 智) 須 硯
8 春の水呼べば鯉来る亀が来る 辰 藤 清 硯
9 風光る子分のおもちゃ持ちさんぽ 裸 智
10 死んでしまえば土一握り四月馬鹿 裸 巡
11 梅の蕾夜を一枚脱いでいる (特 辰) 真 加
12 髪伸びる人形もいる雛祭り 真
13 旅に飽きて家のお茶漬け福は内 藤 智
14 陽炎や親に内緒のところまで 巡 智 硯
15 コロナワクチン届く三寒四温かな 須 藤 清
16 定年後ゴジラとなって暴れるか 真 巡 加
○中野硯池
17 由良の戸の鉄橋渡る余寒かな (特 巡)裸 須
18 大原女も出て畦焼く火守りにけり
19 口吻の紅愛らしく鱵かな ひ
20 椀種に一結びする鱵かな 巡 智
21 寿司屋にもチョコ置くバレンタインの日 真 藤 清 ひ
22 灌漑の堰ほとばしる春の水 辰 藤
23 如月に鱗はねいる調理かな
24 はやばやと施設の玄関雛飾る 清
25 神奈備の雛を集めて流しけり
26 流し雛潮目に乗りし加太の海 須 辰
○坪谷智恵子
27 春ですよ頭を出したふきのとう 辰 藤 加
28 艶めいて桜の木肌春を待つ 須 ひ
29 春真近草樹いきいき待ち受けて 清
30 菜の花と葉ぼたん丸く春を告げ 藤
31 しんしんと寒さ身にしむお水取り 辰 清 硯
32 何故ねむい船をこぎつつ日向ぼこ
33 生かされる生命力がひそんでる
34 とじこもり足の甲にもぜい肉が 真 ひ
35 息切れる手押し車に追いぬかれ 巡 加
36 持たされたなれないスマホ四苦八苦 須
○青島巡紅
37 白梅やヒヨドリ二羽の新体操 (特 須)真 裸 藤 智 ひ
38 風光る手に手を取って走り出す 清 硯
39 時の航路目覚めればまた新たな日 裸 辰
40 石積みの崩れた家にマリア像 藤 ひ
41 夫婦岩独りバイクの朝日かな 真 智
42 小浜港星座巡りてサビキ釣り
43 名残雪老いても解る同級生 (特 清)(特 ひ)須 智
44 浅い夢坂の上初恋の人 加
45 音残し飛行機雲が虹跨ぐ 真 藤 智
46 小春日和編み物をする女学生 裸 清 硯
47 廃校や早咲き桜人集め 真 辰 清 硯
○三村須美子
48 引きこもるウインドウはや春物に 辰
49 春浅き黄色の目立つ土手続き 辰 清 加
50 紅梅や削れば木肌血の走る
51 襖に手梅香ほほえみ迎えけり ひ
52 茎立ちの水菜に待てず蝶の舞う 巡
53 鐘つらね三二一の土佐水木 裸
54 花便りマスクマスクも浮き気分 辰
55 袖折りてツーランク大晴着の子 ひ
56 春めくや親顔負けの受け応え 清 ひ 硯
57 ひよどりめ莟のうちに食い散らす
58 椿つらつら葉を持ち上げて柄かたち 真 辰
59 春うら上着重たくなりにけり
60 増す陽気空気出たがる葱の青 巡 真 智
○宮崎清枝
61 小春日や故郷の匂ひの宅急便 (特 藤)(特 加) 藤 加 硯
62 干し大根もう漬頃とゆるびけり 巡 須 智 ひ
63 儘ならぬ釦かけいる朝寒し 須 辰 ひ 硯
64 山続く広沢の池水ぬるむ 藤
65 水仙の花解き幾日かわりなく
66 コロナ禍にかかわりもなく梅ひらく (特 硯) 辰 加
67 春寒や命の重さ老いて知る 巡 智 硯
○木下藤庵
68 煙雨の日鴉も啼かず風もなし
69 蚊トンボが舞い舞いコンコ雨近し ひ
70 お隣の金柑数えて去年と同じ 清
71 さわさわとユーカリそよぐ冬弱日 加
72 冬の日の日溜まり嬉し煙草が旨い 加
73 柔らかなひと雨待ちのチューリップ苗 真 須 辰
74 お隣の梅がほっこり一二輪 清 硯
75 コロナ禍で戸外で遊ぶ子らの声なし
○野原加代子
76 飛びて舞い春告げ鳥や見惚れてや
77 道端にぺんぺん草よ春告げし (特 藤)
78 ひなまつり今年も来たり顔合わせ
79 春一番風が吹きしてさわやかさ
80 春うれひ新たな道を友よ去り ひ
81 たんぽぽや野道に咲きて母想い 裸 藤 清
○蔭山辰子
82 桜だより人も小鳥も待ちわびて
83 野鳥たちベランダに並ぶ二羽三羽 加
84 心動く餌やりたいが見るだけに 須 智
85 緑なす散歩はマスクハコベ畑 裸 清
86 卒業式各教室で黙って聞く 巡 真 ひ 硯
87 娘夫婦仕事で祖母(わたし)がお迎えし
88 夕飯の赤飯をセットする電気釜
○白松いちろう
89 鴨は鴨で春を愉しむ 須 加
90 ここですよ沈丁花の香る 真 裸 巡 智 加
91 モスグリーンに衣替え屋根も春
92 鴉が天辺で今日は何人と問いかける 須
93 コロナ長雨に溶けて普段はそこまで
94 マスク越し味も会話も新時代 藤 ひ 硯
95 歩いて歩いて千歩ごとに汗と消え 裸
96 ハートの白チョコから孫の顔
97 一段と滑らか今日のガトウショコラ
98 白い富士の向う黄砂の恐怖が迫る 加
○ 裸時
99 酔芙蓉女子の尻尾を握りしめ 巡
100 書家の声大きく響け棗の実 硯
101 氷湖には目玉焼きを敷き詰めて (特 真)
102 鴨嘴リールがあってレールない
103 前回に作った椅子が丈夫です 真 巡