KDDIは、CDMA 1X WIN方式の機能拡張版である「EV-DO Rev.A」を2006年12月にも導入すると発表した。パケット通信における上りの通信速度が大幅に向上し、VoIPを利用したテレビ電話サービス、音声通話サービスなどが導入される予定。対応端末や具体的なサービスは来週にも発表される。
「EV-DO Rev.A」は、現在KDDIが提供しているEV-DO Rev.0(CDMA 1X WIN)方式の機能拡張版にあたる通信方式。同社が今後展開していくオールIPベースの次世代ネットワークの基礎となる通信方式と位置付けられている。上りの通信速度が大幅に向上することでリアルタイムのコミュニケーションサービスが拡充しやすくなり、まずはパケット通信(VoIP)ベースのテレビ電話サービスが導入される。その後、ブログ、メールといったコミュニケーションサービスを拡充していき、VoIPによる音声通話サービスも予定している。対応エリアは、当初は東名阪より開始する。2006年度末までに全国主要都市をカバーする予定で、3年をかけて全国に拡大していく。投資額はおよそ2,000億円規模になる見込み。
EV-DO Rev.Aの導入に先がけて、2006年9月には同報配信機能を提供する「BCMCS(Broadcast/Multicast Survices)」が導入される。多数のユーザーに向けて同一の動画コンテンツなどを一斉に配信できる仕組みで、人気番組を大容量コンテンツとして一斉配信するといったサービスが可能。BCMCSを利用したサービスを利用するには対応端末が必要になるが、基地局側は既存のEV-DO Rev.0方式の設備にソフトウェアの変更を加えるだけで済むため、サービス開始当初から全国が対応エリアになる。
22日には都内で記者向けの発表会が開催され、KDDI 技術統轄本部 技術開発本部長の渡辺 文夫氏が登壇して新方式の説明を行なった。
渡辺氏はRev.Aのポイントとして、アップロード系の強化、IPベースのリアルタイム双方向通信を挙げた。上り伝送速度の強化では、Rev.0(CDMA 1X WIN)がピーク速度で144kbpsなのに対し、Rev.Aではピーク速度が1.8Mbpsにまで大幅に向上することを解説。またQoS(Quality of Service)制御が導入されることでVoIPなどのリアルタイム・コミュニケーションサービスに最適化できるとし、VoIPによるテレビ電話などで大きな課題となる音声の遅延の問題についても「きちっと作っている」と実現できる見込みである旨をアピールした。音声の遅延の程度について詳細な数字は明らかにされなかったものの、「現在の回線交換の音声通話と同じが、それよりも短くなる」とした。
同氏は、下り・上りの伝送速度のパフォーマンスについて、セクタースループット、システム利用効率といったスペックも紹介し、NTTドコモなどが提供する予定のHSDPA方式と比べても周波数の利用効率、上り速度面での優位性を解説した。
渡辺氏は「単純な速度競争ではなく、ユーザーのメリットを最大限に考えて展開していく」と述べ、今回のRev.AやBCMCSの導入は新たなリアルタイム・コミュニケーションサービスの展開を念頭に置いた施策であることを強調した。
KDDI、「EV-DO RevA」を12月に開始
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