東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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筋ジストロフィーの方にもおすすめ!任天堂switchやスマホでのゲーム支援

2024年06月24日 | 紹介
はじめに
筋ジストロフィーは筋力低下や筋萎縮を引き起こす進行性の遺伝性疾患です。日常生活の多くの面で困難を伴いますが、現代のテクノロジーを利用することで、QOL(生活の質)をぐっと向上させることができます。特に、任天堂switchやスマホを使ったゲームは、筋ジストロフィーの方々にとって素晴らしい支援ツールになります。私たちの病院でも、ゲーム支援を患者様と頭を悩ませながら取り組んでいるところです。今回はゲーム支援の魅力と、実際の使用方法も2つほど紹介したいと思います。

2. モチベーションと自己効力感の向上
ゲームは目標設定と達成感を味わう絶好の場です。例えば、RPGゲームではキャラクターを育成し、ストーリーを進めることが目的となります。レベルアップやボスキャラクターを倒すことで、達成感を味わうことができ、日常生活の中で自己効力感を高める手助けとなります。いままでできなかったことが、工夫をすることでできるようになる経験をしていくことで、自己肯定感を養い、モチベーションを維持することにつながります。

3. 社会的つながりの強化
オンラインマルチプレイヤーゲームは、世界中のプレイヤーとつながることができる点が魅力です。これにより、家にいながらも他人とのコミュニケーションが生まれ、社会的孤立感を和らげることができます。
また、スマホゲームでも、リアルタイムで他のプレイヤーと協力してしたり、バトルを行ったりするゲームがあります。これらのゲームは、他のプレイヤーと出会う機会を増やします。
ゲーム内で友達を作ることも可能です。チャット機能やボイスチャットを使ってコミュニケーションを取り合うことで、実際の社会生活でも役立つスキルを養うことができます。家族や友人とも一緒にゲームを楽しむことで、絆を深めることができます。

4. カスタマイズ可能な操作設定
任天堂switchやスマホゲームは、多くの場合、操作設定をカスタマイズすることが可能です。例えば、ボタン配置を変更したり、感度を調整したりすることで、自分に合った操作方法を見つけることができます。
switchでは、別のコントローラーを使用することで、より快適な操作感を得ることができます。有名なものにはフレックスコントローラーというものがあります。また、アクセシビリティ設定を利用して、操作を簡単にすることもできます。スマホでも、アクセシビリティやタッチ操作の感度や反応速度を調整できるものもあり、筋力が弱い方でも使いやすい設定に変更していくことができます。これにより、ゲームを楽しむためのハードルが低くなり、より多くの方が自分に合った方法でゲームを楽しむことができます。
また、特殊スイッチを使用して操作をする方法もあります。画面のタッチができない方でも感度のよいスイッチが一つあれば、設定次第でできることを増やしていくことができます。設定は知識が必要になるものの、わずかな動きしかできない方にも自身で操作をする体験が可能となり、生活や交流にも広がりが生まれます。

6.任天堂switchを操作できるように工夫した例



こちらの方は、もともと任天堂switchを車いすに座った姿勢で楽しんでいました。機能低下が進み、ベッド上で寝たきりの状態になったことで操作ができなくなっていた方です。しかし、コントローラーを写真のような突起をつけたり、台を作成してコントローラーを安定させたりと、工夫で再び操作をすることができるようになりました。現在すべてのボタンが使えるわけではなく、リハビリ時間を基本として楽しんでいる状態ですが、ポケモンソードを実際にクリアして、ドラクエモンスターズの攻略を目指しています。空き時間にはインターネットで攻略方法を調べるなど、リハビリ場面だけでなく生活のなかでの行動変化もみられています。

7.アクセシビリティで操作方法を調整しアプリゲームを楽しむ例



こちらの方は、リハビリで外部switchを使用し、ipadの操作練習を始めた方でした。はじめは動画や画像の検索から、switch操作の練習をしていましたが、操作方法が限られてしまう、操作手順がなかなか定着しないといった課題がありました。ご本人様の希望もあり、アプリゲームを使用しながらの操作練習も開始しました。アクセシビリティで操作方法を登録することで、フリック操作もswitchを押す操作で可能となり、フリック操作が必要なアプリゲームを楽しむことができるようになりました。ゲームを進めるためには、画像や動画の検索に比べ、switchを操作する機会が多くなり、自然と操作方法を覚えることができています。また、ご自身の操作で話がすすんだり、操作により変化があるため、楽しんで取り組めるようです。速さが求められるゲームなどでは、操作が追い付かず、まだ楽しめないゲームはありますが、「こんなゲームをしたい」といった希望もあり、目下練習中です。

まとめ
筋ジストロフィーの患者様にも私たちと同じように、個性があり、それぞれの興味の幅があり、残存機能の違いがあります。生活に対する支援でもゲーム支援でも、一人ひとりの希望を聞きながら、一緒にできることを模索して新しい体験を増やしていく関わりは、私たちにとっても素晴らしい体験になっています。


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