寒さの厳しい季節です。
昨日、関東地方に雪が降り、当院周辺は、すっかり銀世界となりました。
さて、SNSや様々な動画サイトにて、「経管栄養は非人間的で良くない」といった情報を見ることがあります。様々な立場・考え方があると思いますが、当院当科における経管栄養の捉え方についてお話をしたいと思います。
経管栄養とは、管や消化管瘻を用いて経腸栄養剤を投与する栄養補給法です。そもそも、なぜ経管栄養が必要になるのでしょうか。脳卒中や頭部外傷などにより脳にダメージを受けた患者さんの中には、嚥下障害や意識障害のため、誤嚥のリスクが高い場合や、食事で口から十分な栄養をとることが難しい事があります。また、嚥下障害に加え、認知機能低下や不穏のため食事を拒否する、心理的に落ち込み食欲が低下する、高次脳機能障害のため注意散漫で少量の食事しかとれないなどを、合併することもあります。
当院当科では、リハビリテーションに加え、様々な工夫や配慮をしても、誤嚥の危険性が高く、口からの食事で十分な栄養がとれない場合は、経管栄養にて必要な栄養を確保した上で、主治医の指示で言語聴覚療法にて嚥下訓練を行うことがあります。嚥下訓練の方法は、食事を用いない間接訓練と、食事を用いた直接訓練があります。訓練は個々の患者さんの状態に合わせて行っています。
経管栄養は様々な種類があります。当院当科で良く見られるのは、経鼻胃管栄養法と胃瘻です。経鼻胃管栄養法は鼻から胃に通す管を用い、経腸栄養剤を投与します。胃瘻は手術により、胃と外部をつなぐ瘻孔を作り、そこから経腸栄養剤を投与します。経鼻胃管栄養法と胃瘻のいずれも、それぞれメリット・デメリットはありますが、中心静脈栄養法(静脈に高カロリー輸液などを投与)に比べると、生理的な栄養補給法で腸管機能が維持できる、大きな制限なく体が動かせるなど、リハビリテーションをする上での利点があります。
最後となりますが、当院では摂食嚥下機能評価、訓練、指導を目的とした入院を行っています。ご興味がある方は、当院当科のリハビリテーション覧ください。
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【注意】
本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,
当院および当科の総意でもありません.
引用や臨床実践等は各自の判断と責任において行うようお願いいたします。