東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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「感覚障害に対するリハビリテーション戦略を考える」後半戦

2017年06月16日 | リハ科勉強会
前回記事「前半戦:感覚障害と可塑性変化」からの続きです。
第3章「感覚障害に対するリハビリテーション」の内容で後半戦が始まります。
ちょうどサッカーW杯予選をやっていたので,前半・後半の2部構成にしました。

ということで、

感覚を考える上で、まずは上下肢の機能的目的から考えてみましょう。



そもそも感覚障害は自然に回復するものなのでしょうか?
確認してみましょう。



では、誰もが考えるテーマになります。
感覚障害は治るのか否か、エビデンスの面から。



やっぱり。



でも、ちゃんとアプローチ方法も考えられています。
ここではNNRに掲載された上肢感覚障害を対象としたSENSe studyを見ていきます。



ちなみにプロトコルなどについて、first authorのCareyさんが説明している動画がYoutubeにあがっていました(少なくとも2年前の時点では)ので、見てみても良いかも。




ということで、アウトカムやそのプロトコルがちょっとわかりにくいですが、多面的に介入による陽性効果は認められています。

基本に立ち返り、感覚再トレーニングについて確認していきましょう。



比較的有名ですがSENSe studyのCareyさんがいう感覚機能練習の原則についてはどんな要素が必要と考えられているでしょうか?





似ていますが、さらに。





今まで見てきて、特に理学療法士の方は、上肢ばっかりの話だけど下肢はどうなってるの? と思うところでしょう。
私もです。
ただ、具体的な方略が示されていないのが、実情でしょうか。
以下、今までの原則に則った個人的な案です。



今までのポイント以外にもいくつか介入のためのオプションが考えられます。



ところで、今まで非常にマニュアルな方法を考えてきましたが、何か良いツールはないでしょうか?
実は、物理療法が効果的な手段として考えられています。



これらの中でも、比較的エビデンスが集積されているのが電気刺激です。








なんか最後に全部話題を持って行かれた感じがありますが、電気刺激療法を一考してもよいかもしれません。

ここから、電気刺激、mirror therapy、認知運動療法、treadmill歩行と電気刺激との併用効果について単一症例を引用や臨床例を紹介していますが、一例だけ。




少しわかりにくいですが、体性感覚刺激・視覚入力・理論的な認識の組み合わせや切り替えで進めます(理解能力や自主性は必須です)。

ということで最後まとめです。



まだまだエビデンスも乏しく、大きな効果も期待できない状況ではありますが、感覚障害は介入しなくてよいという訳ではありません。
今後、活発な議論と症例検討、研究が進むことを期待します。

M1(PT)

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