エコネットワーク津山

個人・団体のネットワークを通じて未来につながる持続可能なまち津山の実現を目指す環境市民団体です。

津山エコ建築研究会 活動報告書(第一回)

2006年06月17日 | まちづくりグループ
親子エコフェスタ2006ご苦労様でした。

津山エコ建築研究会では2006年1月に活動報告書を津山市に提出しました。
今回から何回かに分けて報告書をブログに掲載します。
やや長い文章ですが、ご覧ください。(山岡)



目次

1.エコ建築の考え方
 (1)津山環境基本計画と津山エコ建築研究会
 (2)なぜエコ建築?
 (3)津山のエコ建築をつくるために
2.エコ建築の例・1
 (1)鳥取県環境共生住宅
 (2)鳥取県環境衛生研究所
 (3)鳥取環境大学
3.エコ建築の例・2
 (1)京(みやこ)エコロジーセンター
 (2)ハンス・エーク氏 『地球環境と無暖房住宅』
4.エコ建築研究会 19の提案
5.今後の研究課題
 (1)エコ建築の例・3
 (2)その他
参考資料
津山エコ建築研究会名簿

1.エコ建築の考え方

(1)津山環境基本計画と津山エコ建築研究会

(a)津山環境基本計画

2003年3月津山市は環境基本計画を策定しました。
地球レベルでの環境破壊によるさまざまな諸問題の解決と世界平和の実現を命題として、津山地域における多くの問題や課題に取組み、持続可能なまちづくりを目指す内容となっています。
津山市の環境基本計画の策定にあたり、市民委員は津山市の将来像とそれに伴う105項目にのぼるプロジェクトを2002年3月市民提案として津山市に提出しました。 提出された市民提案の環境基本計画を基に、それをさらに一年にわたり行政と市民委員が協議を重ねました。これらのプロジェクトを予算や実現可能時期等の諸条件を吟味して、より実現可能なものとして作りあげたのが津山市環境基本計画です。
 これらの項目の中でとりわけ、津山市の環境政策で重要と思われる項目を13項目とりあげています。さらにそれらの項目(リーデイングプロジェクト)を推進させるための組織(市民、行政、事業者、市民団体)のパートナーシップ体制を作っています。

  

(b)津山エコ建築研究会

環境基本計画は大きく4分野に分かれています。自然の保全と再生、まちづくり、ひとづくり、環境づくりの4分野です。
まちづくりの分野では「住んでみたいまち、住んでいたいまち」をビジョンとして、津山市民が自分たちのまちを誇りに思い、将来にわたって住み続けられるような住みやすい心暖かなまちをめざしています。
自然や歴史環境に配慮し、静かな佇いや住みやすいまちづくりを目指したこのプロジェクトはエコ建築大作戦として、津山地域におけるエコ建築に関する理念を築き、次世代に継承できる歴史的、文化的なまちなみ形成を目的としています。エコ建築大作戦の目的を実現するための理念や指針を作る組織としてエコ建築研究会は作られました。

(c)報告書の目的について

エコ建築研究会では、津山市環境基本計画が掲げる総合ビジョン「刻を積み、いのちはぐくむ水、土、緑未来につなぐにぎわいのまち」を大きな目標とし、「住んでみたいまち、住んでいたいまち」を実現するために、この報告書をつくりました。
エコ建築の事例を中心に、エコ建築を作るに当たっての検討項目をまとめてあります。内容が不十分である箇所は今後の研究課題としています。
「エコ建築」という分野は奥が深く、本研究会で調査した内容はほんの一部に過ぎませんが、これからの津山エコ建築へ向かって大きな一歩であると考えています。

(2)なぜエコ建築?

(a)室内環境から考えるエコ建築

毎年のように起こる異常気象は、その原因が私たちの暮らし方そのものにあるらしいと言われています。
人間による環境破壊はますます人間そのものを住みにくくしています。さらに地球全体での人口の急激な増加は、環境破壊をより一層深刻にすると予測されます。
これからの私たちの暮らしを早急に再考する必要がありそうです。
私たちは、多くの時間をエアコンというとても便利な機械に頼った室内環境のなかで暮らしています。(※1)
つい40~30年ほど前迄暑い夏は、窓先にすだれを掛け、蔓性植物の棚で日除けをつくる、夜は外気を取り入れ蚊帳を張って寝る。そして寒い冬は、襖で家の中を小さく仕切り、部屋全体を暖めるのではなくこたつやいろりなどで体を温める。化石燃料にあまり頼ることなく心理的に物理的に、寒さや暑さを和らげる工夫をしてきました。
冷房ということばが何気なく使われていますが、ちょっと変な言葉だと思います。冷たい房(部屋)、これはちょっと変です。涼しい房、「涼房」くらいのところが住み心地がよさそうです。そして暖房(実際は暑房だったりする)、
暖(あたた)かいではなく温(ぬく)い房、温房くらいが体にもよさそうです。
機械装置による冷暖房という二元論的な方法をとることによって積み重ねられてきた工夫に頼る必要がなくなり、先人の工夫は軽視されてきました。しかし最近の研究では小さなエクセルギー(※2)を利用することが快適性につながるということが確かめられています。(※3)
また建築物の気密化による、揮発性化学物質、エレクトロスモッグ、ラドンガス等による室内環境汚染も心配です。機械換気だけに頼らない対策も必要です。
これからの室内環境は、人間が本来持っている能力を活かせる、質のよい室内環境にしたいものです。質のよい室内環境を創りだすことで、地球全体の環境破壊を食い止めることに参画する、このことも津山エコ建築の目的のひとつです。

※1 室内環境に滞在する時間
前橋工科大学の学生を対象と調査では、平均で、1日の内91%の時間を室内環境(車内も含めた)の中で暮らしています。

※2 エネルギーとエクセルギー
エネルギーとは「仕事をする能力」を示す言葉でエクセルギーとは「利用可能なエネルギー」を示す言葉、エネルギーは全体の量は変わらず、全てが利用できるわけではないので、エクセルギーでの評価をすることが必要です。

※3 低エクセルギーの利用と自然共生建築
(武蔵野工業大学宿谷研究室)を参照

(b)外部環境から考えるエコ建築 

室町時代の末期に来日した宣教師ルイス・フロイスも、
江戸時代末期に来日した考古学者シューリマンも日本の景観の美しさをその著書の中で書いています。
近年来日したドイツ政府の住宅局長は日本の景観の中で一番美しかったところはとの質問を受け、トンネルの中と答えたそうです。
昔ながらの美しい景観が少なくなってしまったことは、残念なことです。その原因は、いくつもあげられると思いますが、最大の原因のひとつは循環が出来なくなっていることではないでしょうか。それに伴って“清める” “慈しむ”“懐かしむ” “繕う” “もったいない”そして“綺麗に大切に長持ちさせる”というような気持ちが薄くなったためではないかと思うのです。
地下資源をできるだけ使わないで、地表から大気圏のなかのものだけを利用して暮らせば循環が可能だそうです。江戸時代の日本は今でも世界に誇るべきリサイクルシステムの整った社会だったといわれています。これからの日本にはもう一度かつてのようなリサイクルシステムを構築することが必要です。

(c)電力消費から考えるエコ建築
現在の私たちは電気のない世界は考えられないほど、生活の多くを電気に依存するようになりました。しかし電気は比較的新しい技術であり、電気が人間の健康に対して、潜在的に害を及ぼす可能性があることが深刻に考慮されるようになったのはごく最近のことです。私たちの住まいは電気器具や設備があふれ、その配線回路とともにトラブルを起こす電磁波汚染(エレクトロスモッグ)のもとになっています。
例えばコンピュターでは、静電気などの電磁波・放射線・空気中のマイナスイオンの枯渇など、人体へ種々の悪い影響を与えることが心配されています。
電力はとても大変便利なものです。均質で質のよいエネルギーです。配線さえされていればどこでも利用でき、比較的安全で、使用場所の空気の汚染も少なく、その熱源などの動力源も石油・原子力・水力・石炭・多様なものが利用できます。
しかし質の高いエネルギーであるが故に、熱源に対する効率はガスなどに比べてもかなり悪く、日本のように発電所が利用地から遠く離れて立地している所では、送電ロスとその及ぼす害もとても大きくなります。
また発電には再生産のきかない燃料資源を消耗しており、発電のための動力源をミニ水力・風力・太陽光・地熱・バイオマスなどの新エネルギーと呼ばれているものに転換していくことも検討課題でしょう。
また現在の社会は電力に依存し過ぎているために、ひとたび停電になればパニックを起こしかねない危険性をはらんでいます、地震などの災害が冬季に起きて停電が長引けば生命の危険もあります。送電線により景観も損なわれていると思います。
これらの問題の対策として地域レベルでは発電所を利用地の近くに立地させ、多様な動力源を利用することが挙げられます。家庭や事業所などでは、熱源を電力だけにしないで、エクセルギーに配慮した適切な熱源を組み合わせることも必要だと思います。


親子エコフェスタ2006開催

2006年06月11日 | その他、全体イベントなど
今年も、津山中心商店街で地球温暖化防止推進イベント「親子エコフェスタ2006」が開催されました。幸い天候に恵まれ多くの親子の参加がありました。作陽保育園鼓笛隊のパレードに続き、オープニングが行われました。子どもたちは各会場で地球温暖化防止や、環境についての体験、展示、クイズを楽しみました。エンディングは、津山太助の環境劇のあと、参加者がスタンプラリーの木の葉を枯れ木に貼り付けて、緑の木を作りました。

鼓笛隊パレード


ソーラーパネル、太陽光クッキング

親子エコフェスタは、「エコネットワーク津山」が企画を担当しています。

親子エコフェスタ2006まもなく開催(6月11日)

2006年06月09日 | その他、全体イベントなど
6月11日(日)に、地球温暖化防止推進イベント「親子エコフェスタ2006」が津山中心商店街で行われます。イベントに先立ってソシオ一番街に市内の小学生が作った環境啓発の「のぼり旗」38本が立てられました。「親子エコフェスタ実行委員会」が募集したものです。
オープニング 11:00~11:30(アルネ東広場)
わくわく体験とスタンプラリー 11:30~15:00
エンディング 15:00~16:00(ベルフォー津山)
→ 親子エコフェスタ2006