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会津高原 森林の楽校2023

2023-10-07 | 会津高原 森林の楽校
10月7日(土)〜8日(日)に福島県南会津町で行われた「会津高原 森林の楽校」の報告です。
33名(内地元15名)の参加がありました。

参加者の声

 私は「会津高原 森林の楽校」に参加して、日本の森林が抱える問題とそれをプラスに変えようとする会津高原の方々の思いに触れ、感銘を受けました。

 最初に訪れた「あたご作業所」では、南会津産間伐材を使用した「樹恩割り箸」をつくる工場を見学し、そこで働く障がい者の方々と、併設する施設で生活介護を受けられている障がい者の方々との交流会を行いました。
私はてっきり、貴重な木材を使って割り箸をつくり利用することは環境問題の一因であると思いこんでいましたが、日本の間伐材を使用してつくる割り箸は、日本の里山を守り、日本の森林を元気にするということを学び、衝撃を受けました。
また、割り箸をつくる工場を今まで見たことがなかったものですから、木材が削られ、障がい者の方々の流れるような、洗練された作業によって、みるみるうちに割り箸ができていく工程に目を奪われました。

 交流会では、障がい者の方々と一緒に簡単なゲームを行い盛り上がりました。
ニコニコと笑顔で自己紹介をしてくださる方や、拍手をしてゲームを盛り上げてくださる障がい者の方々から元気をもらうと同時に、あたご作業所の従業員の方々が、障がい者の方々と信頼関係を持って密接に関わっていることを知りました。
あたご作業所のように障がい者が働き、生活できる施設が増えれば、日本の障がい者への理解が大きくなり、障がい者とその家族にとって優しい社会ができていくと思いました。私もまずは家族や周りの友達にあたご作業所と樹恩割り箸について話してみようと思いました。

 次に、如活様の森に訪れ、間伐体験を行いました。
森に入るとフカフカな苔で覆われた地面にまず驚きました。
適度に間伐が行われた健全な森は、地面にまで太陽光が届き、背の低い植物も生き生きとしていると聞きました。
そんな森に人生で初めて足を踏み入れて感動しました。
いざ間伐を行うとなると、ノコギリすらまともに扱ったことのない私は少し緊張しましたが、ともに1本の杉を切る班の仲間達と、専門家の方々のサポートもあって、6~7メートルほどの杉をノコギリで無事切り倒すことができました。
間伐するには少し小さな杉の木だったらしいのですが、倒れたときには地面を伝って大きな鈍い音がして、本当に自分が「生きている木」を切って、人間が使えるような木材へと変える1工程に携わったという実感が沸いていました。

 その後、如活様の森の奥に鎮座する如活禅師の墓を訪れ、あたご作業所に戻り、「如活様の紙芝居」を聞きました。
私自身、紙芝居を拝見するのは幼稚園の頃以来で、とても迫力があり、夢中で聞き入っていました。
紙芝居は、如活禅師が南会津の中荒井区にもたらしたものと、そのエピソードを追っていくものでした。
私は地区で大切にしている言い伝えと、そこに生活する人々の思いが今でも残されていることに感動しました。
その後、現在の中荒井区の集落活動についてお話がありました。
人口が減少し高齢化が進む集落でも、農業や林業において地区住民が共同事業を行うことによって、元気な状態を維持し、大学生をはじめとする県外の若者とつながりを持つことができているということを聞き、私は驚きました。
また、住民が集落を守る努力をされているからこそ、私が今回参加した森林の楽校を開くことができているという事実を知ってとてもありがたく思いました。

 夜にはあたご作業所で働く方々と懇親会を行いました。
普段聞くことができない貴重なお話を聞くことができ、ともに森林の楽校に参加している仲間とも交流を深めることができました。
近頃は長いコロナ禍で、今回の懇親会のようなお酒の席で本音を交えて交流する機会があまりなかったものですから、住むところ年齢に関係なく打ち解け合うことができ、とても楽しい時間でした。

 2日目は最初に「第15回南会津新そば祭り」の会場を訪れました。
会場には全部で6つのそば屋が出店しており、各店舗の前に地元の方々や県外から来られた観光客で列ができていました。
私は「南会津産 会津のかおり」というそばを使った十割そばを食べました。
弾力があって、新鮮なそばの香りがして、とても美味しかったです。

 その後、そば祭り会場にある、「一十八日ワークショップ」で、オリジナルアロマスプレーづくり体験を行いました。
アロマスプレーは自分の好きな香りの精油を自由に組み合わせてつくることができます。
しかし、精油を思うままに混ぜたとしても良い香りになるわけではありません。
精油には存在感の強い香りから、ほのかな弱い香りなど様々です。
一十八日さんからアロマ配合のコツと、会津の里山で採取から蒸留を行ったこだわりの精油についてお話を聞きながら、私はクロモジとハッカと杉と柚子の製油を混ぜて自分オリジナルのアロマをつくりました。
ほのかに甘いようですっきりとした香りでとても気に入っています。

 アロマ体験を行った後、「みなみあいづ森と木の情報・活動ステーションきとね」を訪れました。
きとねは南会津産の木材をふんだんに使用した施設で、木材建築の美しさを感じられ、ゆっくりと過ごせる素敵な場所でした。
このようにそば祭り会場で様々な体験をして、私は南会津の魅力を味覚と嗅覚と視覚でじっくり堪能することができました。

 次に、そば祭り会場を出て、「南会津樹木育苗センター」を訪れました。
ここはカラマツの苗木を育て出荷をしている施設でした。
私はカラマツという品種をあまり深く知らなかったのですが、カラマツの苗木を育て出荷し植林する流れはまだ全国的に珍しいそうです。
というのも、木材として昔から重宝されてきたのは杉やヒノキで、カラマツは用途があまり無いとされてきた品種だそうです。
しかし、近年、カラマツを建築材として活用する技術ができたり、日本の針葉樹の中で唯一落葉する美しい姿が注目されているそうで、カラマツの苗木を育てる動きが始まっているようです。
大切に育てられた苗木はどれもかわいいサイズで、私はその姿に癒やされ、苗木が植林され育っていく姿を思い浮かべていました。
また、雪国でのハウス栽培の工夫にも注目しました。
雪に負けない背の高い頑丈なハウスと大きな暖房設備、熱を層に分けて断熱する仕組みなど、大学の工学部で熱力学を専攻している私にとって興味がそそられるもので、とても勉強になりました。

 次に地元の方が近々農家民泊に活用する予定の、建物に向かいました。
今後の下見も兼ねて、昼食場所として使わせて頂いたのですが、ここで2日間の学びのおさらいをしました。
学びを整理し、それをこれからどう活かしていくかを話し合うことで、どれほど2日間が充実したものだったかを改めて実感することができました。
他の参加者も今回の森林の楽校での体験にとても満足している様子でした。

 参加者のみなさんは、森林の楽校に参加するにあたって、森林づくり活動について体験したり学ぶことを目的にしている方がほとんどでした。
しかし、実際に2日間の学びを振り返ってみると、森林の現状を学んだり間伐体験をするだけでなく、南会津の魅力を知り、そこに住む人々の温かさや、地区をみんなで盛り上げていこうとする大きな思いをしっかりと感じ取ることができていました。
私も南会津という場所があることを忘れずに日本の環境問題や森林・林業の問題、人口問題について考え続けていきたいと思います。
そして、少し疲れたらまた南会津を訪れて癒やされたいと思うようになりました。


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