関越自動車道高速バス死傷事故の報道を見て

高速バスが側壁に衝突し７人が死亡した事故で、
色々と考えさせられました。

バスツアーの企画は、
大阪府豊中市の旅行会社ハーヴェストホールディング
という平成7年12月に設立の新興旅客会社で、

東京ー大阪3300円から
東京ー名古屋2400円から
東京ー仙台・福島2500円から
という激安価格を売りにしており、

資本金5千万円
売上高30億6400万円（平成23年1月）
社員数約200名、うち契約社員110名

追記
（平成21年：20億5000万円）

一方、
車両を運行していたのは、千葉県印西市の
針生エキスプレス（他の報道では「陸援隊」社長は同じ）。

「頭を下げても下げきれない」　バス運行会社社長
産経ニュース2012.4.29 10:26

関越自動車道藤岡ジャンクション付近で側壁に衝突し、
多数の人が死傷した高速バス＝２９日午前９時８分、
群馬県藤岡市２９日早朝、群馬県藤岡市の関越自動車道で
起きたバス事故で、バスを運行していた千葉県印西市の
バス運行会社「陸援隊」の針生裕美秀社長は、「大変な事故
を起こしてしまい、申し訳ない。頭を下げても下げきれない」
と震える声で謝罪した。

高速バス衝突　「無理な運転強要されたことない」
バス運行会社社員
産経新聞 4月29日(日)13時44分配信

群馬県藤岡市の関越自動車道上り線で２９日、高速バスが
側壁に衝突し７人が死亡した事故で、車両を運行していた
千葉県印西市の「陸援隊」の従業員２人が同日、同社事務所
近くで報道陣の取材に応じ、「同僚として申し訳ないと思う」
と謝罪した。同社の針生裕美秀社長は早朝の電話で、社員らに
「大変なことになってしまったので群馬に行く」と伝え、
３０日からの仕事も断ったようだという。

取材に応じた２人は、未明までの運転業務を終え事故のことを
知って同社まで駆けつけたという。運行管理については、
「社長は運転手思いの人。無理な運転を強要されたことはない」
と口をそろえた。

２人ともに社歴が浅いうえ、運転手同士が顔を合わす機会は
少ないといい、「事故を起こした運転手のことは分からない」
と答えた。また、同社では「過去に大きい事故を起こした
なんて聞いたことはない」と戸惑いを隠さなかった。

同社は正社員が５、６人で、繁忙期などで運転手が足りない
ときは臨時に雇うという。小さな４階建てビルの一室に会社
事務所があり、看板はかかっていない。所有するバスを止める
駐車場も他の運行会社などともに使っている。

・・・

旅行会社のハーヴェストホールディングという会社。

実際には、どこかの中小零細のバス会社を使っての商売
がメインの旅行会社ですね。

こういう自社車両をほとんど持たずに、ペーパーだけで
商売をする会社が業界を仕切っていく，実際に車両を持つ
バス会社を上手く使い、収益を上げて大きくなっていく
というのは・・・複雑な気持ちになります。

消費者としては・・・「安ければ安いほうがよい」
確かにそういう面はありますが、

逆に、実際に大型旅客バスを所持して、運転手を抱え、
運行する下請のバス会社・・・貧乏暇無し
というのは、いかがなものでしょうか。

だいたい、ハーヴェストホールディング自体、自社の社員
の半数以上は契約社員と、まさに不安定雇用を平然とやって
いる会社。

そして、上記の記事の内容を読みますと、
針生エキスプレスは、まさに「零細企業」のありのままの姿
ですよね。

「正社員を、おカネをケチって雇わない」というのと、
「雇いたくても、おカネが無い」あるいは「零細企業で、
良い雇用条件を出せないから、大型二種免許を持った運行経験
のある求職者が来ない」とでは、全く事情が違います。

・・・

旅行を企画した会社も、バスを実際に運行した会社も、
「どこか、世間の流れに翻弄されて、あくせく、バタバタして
いる」ように感じました。

まぁ、ＴＶ報道で、㈱ハーヴェストホールディングの建物
も見ましたが、ホームページの派手さとは一転して、
ただの事務所でしたけど。

・・・

厳しい経営状態にある業界の隙間を狙って、さらに
コスト安、料金安で、業界を揺さぶるかのように進出して
くる会社も、また中小企業。

お互いが、お互いに首を絞め合っているかのようで、
悪循環が流れているように感じます。


・・・

この旅行会社の、そしてバス会社の運行管理者（旅客）も
捜査結果によっては、ただでは済みません。

・・・

その無理をした１車で、大変な事故とならないように
することこそ、「会社を経営する」「安いとか、早いとかの
目に見える損得だけではなく、本当の意味での社会に対して
の貢献」というものではないでしょうか。