ところどころにおもしろい文章がある。
引用しておく。
これこれしかじかの流れで著者はこのように言っている、という形で引用したいが、なにしろ頭が憂鬱なので要旨をまとめあげる作業が困難だ。
**************************************
だがやはり決定的なのは現代の電波メディアの情報、テレビやパソコンや携帯電話に(*)もたらす情報だろう。新しい情報は活字情報に比べて刺激が強く、しかも断片的で瞬間的な訴求力に富んでいる。それらは絶えず先行する情報を陳腐化し、長期的な問題について人間を忘れやすくするのである。
山崎正和 2007年11月4日(日)讀賣新聞 地球を読む
『扇動者なき暴走 変容する世論』
**************************************
対象であるキノコを観察する目が、正確なのだ。きっと。キノコをキノコ以上に見ようとしない。同時にキノコ以下にも見ようとしない。
過剰な期待をしないこと。そのうえで信頼すること。人と人との間で「優しさ」と定義されるような対しかたを、熊楠はキノコ及び研究対象全般に常に行っていたんだろうなあと、本書を眺めながら思ったのだった。字面は柔らかだけれど、「優しさ」は冷静な自律を必要とする行為だ。巨人の、巨人たる由縁、である。
川上 弘美 2007年11月4日(日)讀賣新聞
『南方熊楠 菌類図譜』の書評
**************************************
(*)ここの助詞「に」にひっかかってわたしは読み直してしまったが、
この文章で「に」を使うのは当たり前のことなのかしら。
どうも一人勝手に変換機能が働いて「に」→「が」と読んでしまう。
引用しておく。
これこれしかじかの流れで著者はこのように言っている、という形で引用したいが、なにしろ頭が憂鬱なので要旨をまとめあげる作業が困難だ。
**************************************
だがやはり決定的なのは現代の電波メディアの情報、テレビやパソコンや携帯電話に(*)もたらす情報だろう。新しい情報は活字情報に比べて刺激が強く、しかも断片的で瞬間的な訴求力に富んでいる。それらは絶えず先行する情報を陳腐化し、長期的な問題について人間を忘れやすくするのである。
山崎正和 2007年11月4日(日)讀賣新聞 地球を読む
『扇動者なき暴走 変容する世論』
**************************************
対象であるキノコを観察する目が、正確なのだ。きっと。キノコをキノコ以上に見ようとしない。同時にキノコ以下にも見ようとしない。
過剰な期待をしないこと。そのうえで信頼すること。人と人との間で「優しさ」と定義されるような対しかたを、熊楠はキノコ及び研究対象全般に常に行っていたんだろうなあと、本書を眺めながら思ったのだった。字面は柔らかだけれど、「優しさ」は冷静な自律を必要とする行為だ。巨人の、巨人たる由縁、である。
川上 弘美 2007年11月4日(日)讀賣新聞
『南方熊楠 菌類図譜』の書評
**************************************
(*)ここの助詞「に」にひっかかってわたしは読み直してしまったが、
この文章で「に」を使うのは当たり前のことなのかしら。
どうも一人勝手に変換機能が働いて「に」→「が」と読んでしまう。