馬鹿琴の独り言

独り言を綴ります。時にはお相手して下さい。

ノイシュバンシュタイン城に登ってきました

2024-08-31 23:57:12 | 何ちゃって城

2024年8月31日、ノイシュバンシュタイン城に行ってきました。日帰りの弾丸ツアーでくたくたに疲れました。

すべては台風10号のお陰です、台風め!!

 

まずは昼過ぎに姫路に着。もう晴れていました。

お腹が空いたので、例のえきそばで冷やし鳥天そばをいただきました。

姫路駅前でバスを探します。

2番乗り場で白鳥台行きに乗ります。ただ本数が少なくて困ります。

30分くらい、490円掛かりました。白鳥台3丁目のバス停で降ります。

バス停を降りて道をローソンさんに向かって歩いてると……

えーーーーーーーーーーっ!!本当にノイシュバンシュタイン城ですっ!!

眼をこすってもう一度。

いわゆるファッションホテルの規模ではありませんね。

角度を変えてみました。天気が良くなってきましたね。

目指す場所は太陽公園でした。

ん、ちょっと幅が細いかな?でも良い感じです。

10分ほど歩いて太陽王国白鳥城の入り口に来ました。

中に入ります。

今は左側のお城のエリアにいる訳です。

太陽公園

お気づきでしょうが、本当にドイツに行った訳ではなく(笑)、太陽公園に行った訳なのです。

ドイツ辺りの古城群のレリーフ。

リヒテンシュタイン城はリヒテンシュタイン公国ではなくて、ドイツにあるのですか!

ややこしいなあ、もう。

入口から見上げたノイシュバンシュタイン城白鳥城。

受付で入場料1,500円ですが、割引クーポン券があるので1,300円で入場できます。

白鳥城のスケールモデル、良く出来ていますね、感心します。

モノレール乗る人、集合、と招集が掛かりました。

台風明けのせいで人が少ないです。

モノレール代は入場料込みなんですよ。

最前列に乗れました。

お、白鳥城が見えています。

モノレールが動きました。お城がどんどん近づいてきました。

降り立って白鳥城を見上げます。

実際のノイシュバンシュタイン城の2/3スケールだそうですよ。

ウサギさんとトランプの像。可愛らしい感じです。

お城の横を通って入口へ。

ここが正門ですよ。

ドイツ連邦共和国総領事の方の文があるのですが、ドイツ語ですので分かりません(´・ω・`)

中に入りましょう。

おお、これは凄い、かなり凝ってますね!!

真ん中に白鳥のスワンちゃんが鎮座しております、さすが白鳥城。

スワニーと呼びたくなるのをぐっと我慢。

お城の中は意外と近代的、もうハロウィーンの飾りがあったりします。

観光用ポスター。「姫路にあるもう一つのお城」って良いコピーですねえ。

窓には鎧騎士の甲冑が。少しへっぴり腰(笑)

お、落ちる~

ジュラシックパークに来たのでしょうか。

イルカのキス。

しろくまを味わう白熊さん。

こんなトリックアートが展示されていました。

部屋を覗くと死神さんがいます。

墓場でゾンビと悪霊です。

お姫様と髑髏と眠る鎧騎士。

白い部屋。リモートワークの背景に使えそうな感じです(笑)

あ、一転して黒く塗られた部屋。

黒く塗られた部屋があれば、やはりありました、血の伯爵夫人エリザベト・バートリのポートレート。

最初メアリ・スチュワートかと思ってしまいました。

エリザベト・バートリと気づいて、一瞬、背中が凍ります。

怖い怖い。

さっさと怖いコーナーを抜けましょう。

王の玉座です。

座って「この雑種が」とか笑いながら言ってみましょう、王様の気分になれます。

神戸異人館群のスケールモデル。ラインの館、萌黄の館、風見鶏の館です。

こちらは白鳥城。規模はさすがに大きいのです。

お城の書斎。まあ、絵なんですけどね。

アリスのお部屋だそうです。

1/1ギャン、ではなく鎧騎士。

最上階の7階に着きました。すでにお食事コーナーは閉まってしました、残念。

謎のギリシア風神殿。

私一人ですので何か出て来たら、失神してしまうかも(´・ω・`)

ん?It's a small world?

くるみ割り人形でした。

人形の原型はこんな感じなんですねえ。

まだクリスマスには早いです。

豪華な雪のアクセサリー。まだ暑い時期ですけれども。

ここで中庭に出ます。

なるほどコスプレイヤーが集う訳ですね。雰囲気出ますもの。

窓からルードヴィヒ2世狂王が覗いて……いそうな感じ。

中世や異世界のバトルが行われそうな感じなのです。

誰もいないのでお城を占領した気分です。

妖雲が出てきました(笑)

モノレール乗車口に来ました。

下に見える野球場は、古豪東洋大姫路高校のグラウンド。台風の後でも熱心に練習をされていましたよ。

さてバスが来ておりました。お城のエリアから石のエリアまで走って下さるのだそうです。

歩いても10分くらいですがお世話になることにしました。

今日は全然お客様が来られない、と嘆いていらっしゃいました。明日またきっと増えますよとお慰めする私。

 

石のエリアに入ります。

兵馬俑の像たちがお出迎え。

中に入りましょ。

凱旋門だ~少し小さな感じですが。

どっちが表か裏か、パリに行ったことのない私には分かる訳もないのです。

メキシコ、オルメカの巨石像。

おや、チャックモールです、この間メキシコ展でお会いしました。

チャックモール像はこの他にもたくさんありました。

コロンビアの牙のある神像。これは知りませんでした。

イースター島のモアイ軍団。

古式ゆかしく眼が付いています。

メソポタミアの石像。こちらも初めて知りました。

いきなりコペンハーゲンにワープ。悲しい人魚像。

タヒチの神像ティキ。こちらは名前だけは辛うじて知っていました。

もちっと伐採して下さいよ。

ギリシャとメキシコの関係性が謎です。

ボリビア太陽の門。これも凄い遺跡ですよね。

同じく月の門。ちょっと小さいけど。

マヤ遺跡カパーのアーチ。

ワステカ。アステカではなさそうです。

メキシコもいろいろ遺跡があるのですよ。

ベルギーのプチジュリアン君こと小便小僧軍団。群れ過ぎです。

メキシコ凄過ぎです。

ジャガー人間ですって。これ、このままスピーカーのデザインで出したらいかがでしょう?

とうとう自由の女神像まで。

かとおもえばオーストラリアの裸婦像まで。たくましいですね。

何か歴史ある象かと思いきや、水の出ないマーライオン(笑)

イスラム以前のシリア。まだ内乱は継続していますね。

かつて西安、即ちかつての長安に行ったことのある私からすれば、兵馬俑博物館は行かねばなりません。

結構本格的な感じ。

こ、これは

凄いですよ、実際の兵馬俑の規模よりはさすがに小さいですがそれでもかなりのもの。

参りました、舐めてました、この博物館本気です。

万里の長城です、入りましょう。

獅子の像に守られております。

長城では、兵馬俑の兵士たちがところどころを守っています。というより談笑中ですね。

まだまだ長城は続きますが、ちょっと左に折れます。

三韓征伐の時、神功皇后が新羅王子を連れ帰って開いたお寺なんですって。

知りませんでした~

ミクロネシアのヤップ島では石のお金が有名なんだそうです。

石灯篭に沿って歩いていきます。登りですね。

うわ、ピラミッドが現れました。黄色くないし白黒です。

エジプトなのかインカなのか、どっちなんだい!?

聖帝十字陵か?

スフィンクスがいるじゃないですか、エジプトと思いましょう。

スフィンクススフィンクスしてるスフィンクス。

ハーピーっぽくもあります。

ピラミッドの中を見れるようですよ、中は……

まさかのツタンカーメンのマスクでした、王家の谷!!

気を取り直して上に登ると、鶏足寺。

本物の鶏足寺は、天正年間に秀吉に歯向かったため、焼き打ちにあったんですって。

お釈迦さんも涅槃しちゃうし、五百羅漢もいるのです。

また万里の長城に戻り進みます。

これは……

紫禁城と天安門広場。

六四天安門を忘れてはなりません、戦車を置いて欲しいです。

天安門広場の横をまた長城が続きます。

中国の太原にある双塔寺。

タワーの一つが見えています。

逆光ですが、二つのタワーが見下ろしています。

最初見た時は、西安の大雁塔小雁塔かと思っていました。

ふぇーまだ万里の長城は続きます、万里は伊達ではありません。

あれ、行き止まり。

雨と地震のせいでしょうか、麿崖大仏の方に行けませんのでここが終点です。

引き返します。

30分ほどてくてく歩いて戻ってバス停に到着です。

妖雲に包まれた白鳥城。

ローソンさんから見るとこんな不思議な感じ(笑)

あっ、バスが来てくれましたよ、姫路駅方面に向かいます。

世界を一周してきました、弾丸ツアーは終わりでございます。

でわ。

コメント (7)
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超意訳:南総里見八犬伝【第十四回 駕籠を飛ばして侍女、谷川を渡す/錫を鳴らして丶大、数珠を探す】

2024-08-28 01:38:45 | 南総里見八犬伝

 そばにいた堀内貞行らは伏姫の自決を止められず、あえなくも美しい花を散らせてしまったことが残念で仕方がなかった。
 そんな中に金碗大輔孝徳は、男に勝る姫君の末期の一句に奮わされて、身を置くところがなくなったのか、亡骸の近くに落ちていた血に染まった刀を拾った。そして再び腹を切ろうとする。
 その時、里見義実は大きな声を出して、
「大輔よ、うろたえたか。その身に大きな罪がありながら、私の命令を待たずに自害しようとは奇妙なことをするものよ」
 金碗大輔は震えた。
「伏姫が一旦蘇生したので罪を一等減じることができるが、この山に入る者は首を刎ねよと掟を定めているので、法度を曲げて私が決めるのだ。腹を切ることは許さんぞ、観念せよ」
 と進んで近づき、刃を引っ提げて立った。
「願うところでございます」
 金碗大輔は、居直って合掌しうなじを伸ばす間もなく、煌めく刃の稲妻。はっしと打った太刀風は、思い掛けなくも大輔の髻だけを切り捨てていた。
「これは」
 と見返る罪人も、諫めることができずに呆然としていた堀内貞行も驚き、そして仁君の恩義に大いに畏まった。

 里見義実は氷の様に輝く刀をいきなり鞘に納めて、堪えていた涙を振り払い、
「蔵人、見ろ。私がみずから罪人に刑罰を与えた。法度は主君の制定するところ、主君がまたそれを破るというのは昔の人の金言、もっともなことだ。私がもし皆と今日この山に登らなかったら、大輔に咎はなかった。その首に代えた髻は、大輔の亡父へのわずかながらの厚意である。幼い時から名を大輔としたのは、大国の補佐の臣になれ、と行く末を期待し、私の官職もようやく進んで治部大輔となった。読み方こそ異なるが、文字面は変わらず、主従は同名だ、だからこそ主人である私の身が受けるべき祟りをその身に受けてしまったのかもしれない」
 星祭りの苦い思い出が里見義実に甦る。
「未来洋々たる若者が世の中の埋もれてしまうこと、返す返すも不憫である。親の八郎孝吉は大功があり、大輔も忠がある。親といい子といい、勲功あるが行賞を受けずに、死に臨んで罪に陥ることになっては、主人の私も助けられないなど、我が子の不幸にまして、哀傷の涙を堪えきれない」
 改めて大輔をきっとにらんだ。
「良いか、大輔よ、孝徳よ。我が心を良く悟って、亡き親のため、姫のために、命を保ち、自分自身を愛し、仏に仕え苦行して高僧となって知識を蓄えよ、良いか、心得たか」
 と丁寧に諭すので、金碗大輔は主人の優しさに対し、地に伏して、返答しようにも落ちる涙にむせび、声が出ない。仕方がないとばかりに、堀内貞行は鼻をかんでから進んで前に出てこう言った。
「今に始まらず、主君の仁のお心、大輔、お主の身に取っては、一郡の守護になるより、あるいは万貫の禄をいただける様になるより、満足であろう」
 と言われてようやく頭をもたげ、
「私は真に不肖ではございますが、如是畜生も菩提に入りました。今より日本を回国して、霊山霊場を巡礼し、伏姫の来世を弔い、我が君ご父子の武運をお祈りします。姫上のご落命も剃髪も、みんな八房が原因でございます。犬という字を二つに割り、犬にも及ばない大輔が、大の一字をそのまま、犬の点をいただいて、ヽ大(ちゆだい)と法名にいたします」
 金碗大輔がそう言うと、里見義実は叫んだ。
「良く言った。件の犬は全身に黒白の八つの斑があったから八房と名づけたが、今から思えば八房の二字は、つまり一尸八方に至るという意味だ。一尸は一人の屍。それだけではない、伏姫は亡くなる間際、傷口から白い煙がたなびき、仁義八行の文字が現れた。百八の珠が閃き、文字のない珠は地に落ちて、残りの八つは光を放ち、八方へ散ってとうとう消えてしまった。それには理由があるはずなのだ」
 言い聞かせるように続けた。
「後になれば分かることもあるかもしれない。菩提の門出の餞別には、この数珠の他にはない。大事にするのだぞ、ヽ大入道」
 主君が諭して幾つかの数珠を与えたので、金碗大輔は手で受けて、再三大切に額にかざすのだった。
「これはありがたき我が君の賜物、今から諸国を遍歴して、飛び去った八つの珠の落ちたところを尋ね求めます。元の様に数珠を繋ぎ、百八の数に満たなければ、安房に帰りませんし、お会いいたしません。何年かたっても音沙汰なければ、旅から旅の野ざらしになり、亡骸は飢えた犬の腹を肥やしているとお思い下さい。今日こそ今生のお別れでございます」
 と決心して返答した。
 
 すでにこの時日は暮れて、夜は早くも初更(午後七時ごろ)を回っていた。
 しかし昼よりもなお明るい月には雲もなく、山にはたくさんの木々の影があった。激しく流れる水の音、強く吹き松を揺らす風の声は、断腸の思いを一層悲しくさせた。更に鹿は山の上で鳴き、白露が霜となっていく寂しさ。猿は深山幽谷に叫び、孤独の旅の宿を寒くさせていく。
 滅多に来たこともない者でも訪れれば寂しく感じる深山幽谷である。こんな山奥で、ただ独り心強くも菩提に努めた伏姫のことを考えると、里見の主従はしきりに嘆いた。

 堀内貞行は金碗大輔と話していた。
「姫上の自決で思わぬ時間が掛かってしまった。日は暮れてしまい、山道は険しく、下山は不安である。しかし夜をここで明かすのであれば、姫上の亡骸をいかがいたそうか。毒蛇や猛獣の心配がないとは言えないぞ。進退は困難だが、お主はどう思う」
 と問われて、しばらく考えていたが、金碗大輔は、
「おっしゃることはごもっともでございます。ここで夜を明かすことは配慮がないと言えます。あなた様と私で姫の亡骸をお運びし、我が君にはみずから松明をお持ちいただき、急いで下山いただきましょう。麓にはお供の人々がいる、と承っておりますので、お迎えに参ることでしょう。例え迎えの者たちが怖がって谷川を渡らなくても、向こう岸から会うことができます。この手段はいかがでしょう」
 と語り合う。
 これを聞いた里見義実は、
「伏姫ですらただ独り去年からここにいたものを、弓矢取る身分の主従三人が毒蛇、猛獣を恐れるあまり、一晩亡骸を守ることもかなわず、慌てて麓に下るというのか。それを聞いて姫を思うと、伏姫の覚悟の立派さを知らなかった親として、恥ずかしいものがある。ああ、姫が男に生まれて来れば良かったと思う。妻の五十子に泣き立てられて、心弱くもはるばると自分から姫を訪れたことは、今更ながら慚愧に堪えない。だからこそ、今その死に及んでも私は一滴の涙も出ない。もし姫の魂が未だここを去っていなければ、お前たちの議論は女々しいと、伏姫に笑われてしまうぞ。枝を折って火を焚きつけよ。今更だが私も弁当箱を開こう、急ぐことはない」
 と言うので、堀内貞行と金碗大輔は感激して、まず伏姫の亡骸を洞の中へ入れた。
 主従は入口近くの木の下で車座に座り、静かに夜明けを待った。

 その時、向かいの岸に数多くの松明が閃くのが見え、人々の声もかすかに聞こえてきた。
 堀内貞行は遥かにこれを見て、
「ようやくお供の方々がお迎えに参りましたぞ。さあ、この瀬を渡ってもらおう」
 と言って、すぐに水際に走り寄って、
「そこにおいでの松明は、お迎えの方々か。殿はこちらにいらっしゃいますぞ。私はすでにこの川を渡りました。風聞とは反対に、意外と流れは緩く瀬は浅うございます。早くお渡りなされ」
 声を限りに呼び掛けた。折よく追い風となり、その声は確かに向う側に届いた様である。
 松明があちこちで閃き、坂を下って岸に降り立つと思われる者、先に進む者、後に続く者、声を合わせて馬を引入れながら、多くの人が渡って来る様であった。
 こちらの岸に近づくのを見てみると、思いがけずも現れたのは、釣台にくくりつけられた婦人用の駕籠である。体格の良い男が七八人、赤裸になって駕籠を運んでいた。その他は、麓に残されていた従者や新たに滝田からやってきた者もいた。
 堀内貞行はそれを見て不審に思い、
「あれは何だ」
 と問うと、男たちは水際で駕籠を降ろすと、こう返答した。
「我々は申し合わせておりました。日が沈むまでに殿がお帰りにならなければ、途中までお迎えに参ろうとしていたのです。出発したところに、奥方様から火急のお使いが参られました。そこで一緒に山に入り、急いで向かったものの、しばらく行くほどに日も暗くなり、何とかあちらの岸まで参りました」
 堀内貞行はうなずいて先を促せた。
「そこでお声を掛けていただいたのですが、我々だけで川を渡す手段もございませんでしたので、雨具と松明などを乗せてきた釣台に奥方様からのお使いの駕籠をくくりつけ、どうにか渡らせたのでございます」
 再び堀内貞行はうなずき、
「それは良く話し合ってきたものだ。さあ、使者よ、こちらへ急ぎ参られよ」
 急がせると五六人が立ち上がり、手早く細引きの麻縄を解いて、駕籠の戸を引き開けた。中を見ると、使いの者は侍女の長で年のころは四十あまり、名前を柏田(かへた)といった。かつて伏姫の安否を知るために、使いの命を受けて、向かい側の岸までやってきた者であった。

 火急の使いであったので、道すがらずっと駕籠を担ぐ者たちを急がせてやってきた。駕籠の中には三尺(約90センチ)あまりの白布を結んでおり、その身には衣服の下に帯からみぞおち辺りまで白い練り絹を何周にも巻き、身体を締めている。鉢巻も捩じり巻いていた。
 これは俗に駕籠を早く走らせる早打ちというもので、大変厳しいものだ。長い距離を揺られて来たので、柏田はめまいを起こして、左右の介添えがなければ立つことができないでいた。男たちは、柏田を助けて外に出してやった。
 堀内貞行はまず里見義実の近くに行って、状況を伝えると、柏田も後について里見義実に目通りを行った。
「何の用件で来た。気がかりであるから、早く申してみよ」
 訪問の理由を問えば、柏田は臆することもなく、頭を上げて返答した。
「殿には今朝早く館を出発なさってから、奥様の具合がますます重くなられました。殿はお帰りにならないか、と何度も聞かれ、あるいはうわごとでございますが、姫上がすぐそばにおいでになるような感じでお話になり、そしてお嘆きになるのです。私には奥様が痛ましいこと、限りなく思えました。他の侍女も姥たちも言うまでもありません。義成御曹司もとうとうお慰めに困りなさって、実は父上は姉上を自らお訪ねなさって富山に行かれております、明日は必ず姉上を連れてお帰りになりますとなだめられたのですが」
 柏田は言葉を切って里見義実を見た。しかし何も言わないので続けるしかなかった。
「奥様はひどく驚きになって、富山は名だたる魔所と聞く、殿がそこへ行ったのなら何かが起きずにお帰りにならない、すぐに呼び返してあげなさいとご機嫌悪くされました。これにはいよいよ義成御曹司もなすすべもなくお困りになりました。柏田は富山の案内を知っていると聞いた、と御曹司は言われました。父上が出発なされてからまだひと時も立っていない、急げば途中で追いつくかもしれないので、今すぐ行って事情を話してくれ、とおっしゃいましたので、とりあえず慌てて館を出たのです。一緒に参った者が疲れれば、里々で駕籠を担ぐ者を替えて、歩みを急がせ、辛くもここに参りました」
 と言ったところで、外にいた従者たちが騒ぎ出した。
「向かいの岸にちらちらと見える火の光が見えていたが、今はもう水際に来ている。まさしくあれは駕籠だ。そうであろう、それとも違うのか」
 とばかりに、大きな声でうるさいのである。
 堀内貞行と金碗大輔は聞いた途端、走り出て川岸を見た。
「再度の早打ちか、心もとない様子だ。こちらからも助けてやり、川を渡れる様にせよ」
 そう命じすると、屈強な下僕たちは承ったと返答した。十人ばかりで例の釣台を抱え上げて、川の流れを切り、石を踏み避けて、向う側に行った。

【使者の早打ち、夜に水を渡す】

扇子を持った堀内貞行さんと馬。

左の川の中には駕籠が見えますが、何かあっぷあっぷしてそうで怖いです。

ちょっと激流すぎませんか?

 

 柏田の時と同じ様に新しい駕籠と釣台をくくりつけ、従者とともにやがてこちら側に渡ってきた。駕籠を下ろして戸を開くと、中からまた一人の侍女が現れた。年頃はまだ二十になっておらず、名を梭織(さおり)と呼ばれる者である。艶やかで美しい髪と額にねじ切りの鉢巻きをして、強そうに見える格好は、柏田よりも見映えがした。
 梭織は駕籠を出た途端、気絶してしまい、たちまち倒れてしまった。堀内貞行と金碗大輔孝徳は驚きながらも、顔に清水を注ぎ、薬を飲ませてやった。
 介抱しているとやがて梭織は我に返り、二人に礼を言い挨拶をした。元から使いの役に選ばれた者であるから、長駆の疲れをものともせず二人に誘われて、里見義実の前に出た。
 里見義実は声を掛けて、
「一度ならず再度の使いとはいよいよ気がかりなことだ。五十子はいかがした」
 と聞けば、梭織ははらはらと流れる涙を拭わずに、
「奥様は今朝、巳のころ(午前9時から午前11時の間)に」
 最後まで言えずに沈黙してしまえば、先に来ていた柏田が泣き出してしまった。
 里見義実は嘆いて、
「こと切れたか」
 梭織はわずかに頭をもたげ、
「ご臨終のことをお話いたしますのは、容易なことではございません。柏田がお使いに出発した後、すぐにお亡くなりになりました。義成御曹司が言われるには、騎馬でこのことをご報告するのは簡単だが、お忍びのご入山であるので差しさわりがある。お前は以前に柏田とともに密命を受けて富山に行ったことがあると聞いているので、山に向かって父上にお伝えして欲しい。今晩を過ごすな、早く行けとお急がせになるので、そのまま駕籠に担がれて参りました」
 と言ったので、金碗大輔と堀内貞行は顔を見合わせてから、頭を垂れてため息を吐く。
 里見義実は子細を聞くと、
「五十子の今際の願い、聞き届けられなかったことを残念に思うが、娘の末期に逢えなかったのも幸いなのかもしれん。もしも明日まで生き永らえたとしても、姫が帰っても何と言うべきだろう。お前たち、あれを見よ」
 侍女たちは、里見義実の指し示す洞穴を見て、置かれている亡骸に気づいてしまった。柏田と梭織は胸を騒がして、差し込む月の明かりを頼りに、洞穴の中を何度も見て、等しく同時に声を出していた。
「これは姫上におわします。猛獣に傷つけられなさいましたか、そうでなければ刃で果てなさいましたか。何という浅ましいことでございましょう、お痛ましいことでございましょう」
 亡骸の周囲で二人は伏して、涙でむせ帰る様に泣いた。
 さすがの里見義実も見ておられずに、堀内貞行らに言う。
「義成がさぞかし待ちくたびれてことだろう。人々がたくさんいるので、朝に掛けて山を下ろう。金碗大輔は十余人の下僕とともに留まって、明日は伏姫の亡骸をこの辺りに埋葬せよ。また犬の八房も埋めよ。思いもがけず姫が話し相手を得ることができた。柏田も梭織もこのまま、今宵一夜は残ってくれ。母の使いを今は亡き姫の御霊に手向けとして、通夜をせよ。埋葬の儀はこの様にせよ」
 と、丁寧に指示し、侍女たちを労い、従者たちをも賞してやった。そして従者が引いて来た馬に乗り、川岸に向かっていく。
 残った者は金碗大輔とともに主人を見送り、主人に従う者は堀内貞行とともに松明を照らして、川の瀬踏みをしつつ渡って行った。

 次の日昼過ぎになって、富山の麓の村長は、僧侶と百姓とともに棺を担いで、喘ぎながら洞穴を目指してやってきた。明け方に里見義実は滝田へ帰城の折り、途中で堀内貞行に命じて、麓の村長らに俄かに棺と葬式の道具を作ることとそれを山中の金碗大輔に渡すことを行わせたのである。
 またこの日から木こり、炭焼き人の他すべての山で生活する者に、富山の出入りの自由が許される様になった。

 こうして入道となった金碗大輔は、村長から棺を受け取って、まず伏姫の亡骸を納めてやった。洞穴を浄めて墓所とする。しかし墓のしるしとなるものがない。ただ松と柏の常緑樹が繁っていて、それが自然と墓標となった。
 後に麓の人々が伏姫のことを伝え聞き、これを呼んで義烈節婦の墓と言う様になる。

 また八房も土葬にした。八房の亡骸は厨子に納めて、敢えて棺を用いなかった。
 そしてその厨子を、伏姫の墓から三丈(約9メートル)ばかり戌の方角(西北西)、ひのきの老木の下に埋めた。人々はそれを呼んで犬塚と言う。
 葬送がこの様にすべて質素に行われたのは、里見義実がかねてから金碗大輔に命じたためである。姫の志を汲んだのだ。

 すべてが終わってから柏田と梭織は、下僕たちを連れて泣く泣く滝田へ帰っていく。麓の村長や法師たちもそれぞれの里へ帰っていく。
 その中で金碗大輔孝徳は、円頂黒衣、つまり髪を剃り、法衣を身にまとって、ヽ大坊と法名をつけてしばらく山に留まることにした。伏姫の遺した法華経を読んで唱えること、一日一夜も休むことなく四十余日に及んだのである。

 滝田では奥方五十子の葬式が執り行われ、亡き人々のためにお布施の米がふるまわれて、貧しい民を賑わせた。また洲崎の行者の石窟へ堀内貞行を遣わして、寄進をして、参詣者のために参道の整備を行った。
 人は皆、この上ない功徳であると言った。 
 
 早くも五十子と伏姫の四十九日が近づくと、里見義実の嫡男義成を施主として、滝田の菩提院で大斂忌の四十九日法要を行うと人々は囁いた。
 里見義成は、この法要にヽ大坊を呼べ、と使いの者を富山に遣わしたが、ヽ大は山には不在であった。尚、あちこち探す中で、木こりらが以下の様に言った。

 例の法師は前から準備をしていた。仏具を入れた笈の箱を背負い、錫杖を衝き鳴らして、今朝山を下る時、木こりたちを見返って、滝田の殿からこの入道をお尋ねになることがあれば、その様に申せ、と言ってどこかへ出て行ってしまった。
 お待ちになられても、きっと法師はお帰りになりません。

 成果なく戻った使者は、滝田へ立ち返り、木こりから聞いた話を報告すると、里見義実は感心した。
「大輔は、いやヽ大は、以前、六十余国を遍歴して、飛び去った八つの珠を繋げなければ生涯安房には帰らないと誓っていた。再会は恐らく無理であろう。残念であるが」
 そう呟いて、二度と行方を探さなかった。
 しかし心には絶えず気に留めていたのだろう、ヽ大坊が無事に帰ってくることがあれば、と身を寄せる場所として、翌年伏姫の一周忌のころまでには、富山に一棟の観音堂を建立した。伏姫の生涯、八房のことさえ書き記して、姫の遺書とともに厨子の中に納めたのだ。
 今なお富山に観音堂がある。
 こうして何年経っても、ヽ大坊は音信はなかった。結局、ヽ大法師の行方はどうなったのか。それは後々の巻で明らかとなる。

 作者曰く、この書の物語の第一巻から今この巻までは、すなわち一部小説の開幕部分であり、八士出現の発端である。これより次の回は年月は続くことがなく、大分後のことに及んでしまう。
 その間に物語はない。例えば水滸伝で、龍虎山において洪信たちが石碑を開くところから、林冲たちの出現までの間は数十年、物語はないに等しい。

 またこの回の挿絵で金碗大輔孝徳が川を渡る図は、文外の画、画中の文である。この挿絵に頼らなければ、突然、雲霧が晴れていくことが分かりにくい。
 また侍女の早打ちに、柏田、梭織を描くのに、それが描かれているところを第十一回で表し、実際に登場するところを後に、今回の第十四回で出した。侍女たちの小伝、来歴、後に登場人物の口から語ることもある。出演を先にして、経歴を後にすることもある。
 挿絵もそれに従うのである。しかし挿絵画家は絵を描くのが主であるから、作者の意を捉えられないこともある。時には齟齬があるものだ。
 読者もよろしく察して欲しい。

 

(続く……かも)

 

 

 

 

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お城の観覧料が値上げするかもしれません(´・ω・`)

2024-08-27 23:06:40 | 城攻め

2024年8月27日こんなニュースが流れました。

 

城の観覧料、値上げの動き…国宝・松本城の大人観覧料は500円以上アップへ(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 長野県松本市は国宝の松本城の観覧料について、来年4月から大人料金を電子チケット1200円、紙チケット1300円に値上げする方針を決めた。値上げは現行の700円...

Yahoo!ニュース

 

端的に言うとお城観覧料が値上げするかもしれない、ということ。

 

ふーむ、世界的には、自国人と外国人の観光施設におけるチケット代が別、というのはセオリーだそうです。

アンコールワット、ボロブドゥール、ティオティワカン、敦煌莫高窟、マチュピチュも全部違ったのかしら。

気づきませんでしたorz

 

確かに日本のお城は安いのでしょうかね。

2024年8月現在、姫路城1,000円、松本城700円、彦根城800円、松江城680円、高知城420円。

12天守以外ですと、名古屋城500円、小田原城510円、熊本城800円、大阪城600円。

 

ちょっと世界のお城を見てみましょうか。

紫禁城60元(1,200円)元は約20円と計算

ノイシュバンシュタイン城18ユーロ(2,890円)ユーロは約160円と計算

エディンバラ城15ユーロ(2,400円)

タージマハル1,300ルピー(2,720円)ルピーは約1.7円と計算

マルカッターイヤワン宮殿50バーツ(210円)バーツは約4.2円と計算、ここはタイの王宮です。

ロンドン塔39ユーロ(6,240円)

エステ城12ユーロ(1,920円)

アルハンブラ宮殿18ユーロ(2,880円)

アンボワーズ城10.9ユーロ(1,744円)

モンサンミシェル10ユーロ(1,600円)

……フー、キリがありませんね。

 

こう見ると、日本のお城は安いですねえ。

やっぱり料金値上げが仕方ないのでしょうか。設備維持費と思えばお安いのかもしれません。

 

さて、今週の週末にお城に行きたいのですが、台風め、どうしてくれよう。ギリギリギリ

でわ。

 

 

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田中敦子さん、お亡くなりに

2024-08-20 21:20:37 | 訃報

2024年8月20日、声優の田中敦子さんの訃報を知りました。

って、今日、お亡くなりになって発表したのですか!

まだ61歳のお若さ!!

 

声優・田中敦子さん死去 61歳 代表作は『攻殻機動隊』草薙素子役など(オリコン) - Yahoo!ニュース

 アニメ『攻殻機動隊』草薙素子役などで知られる声優の田中敦子さんが、8月20日に亡くなった。61歳。所属事務所の公式サイトと、息子で声優の田中光が自身のXにて報告した...

Yahoo!ニュース

 

好きだったのです、田中敦子さんの声。艶やかでありながら、知性を感じさせる声優さんでした。

最近の魔改造の夜のナレーターが、アナウンサーに変わってしまったなあとは思っていたのですよ。

闘病中だったのでしょうか。

 

合掌です。

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和泉市久保惣記念美術館で六十余州名所図会―広重と巡る日本の風景―展を見てきました

2024-08-18 01:35:42 | 日記

2024年8月17日、和泉市久保惣記念美術館で六十余州名所図会―広重と巡る日本の風景―展に行ってきました。

先日あべのハルカスで広重展で歌川広重展を見て参りました。調べるとこちらの美術館でも広重展を行っている、とのことが分かりましたので、行って参りました。

 

和泉市久保惣記念美術館はこんなところ。

 

和泉市久保惣記念美術館

和泉市久保惣記念美術館は、昭和57年に開館した和泉市立の美術館です。日本と中国の絵画、書、工芸品など東洋古美術を主に約11,000点を所蔵し、所蔵品をいかした年5回の企画...

展覧会案内

 

南海電鉄天下茶屋駅から南海高野線急行で和泉中央駅で下車。

南海電鉄と泉北高速鉄道が乗り入れているのですね。

近在の関西方面の鉄道むすめさんたちが終結していました。

ここからバスで20分くらい、和泉市久保惣記念美術館が見えてきました。

外観は日本家屋風ですが、中は近代的美術館の感じでした。

中に入りますとJAF割引で100円値引き、400円という破格の安さ。しかもスマートフォンならば撮影可。

ありがたいことです。

緑色のトンボがいました。

後で調べたらハグロトンボさん、絶滅危惧種だそうです。

 

美術館の中は狭く長い道が伸びていて、目指すべき本館へなかなか行けません。

それでも日本庭園の脇を進むと、建物がありました。

新1,000円札の裏面に描かれた富嶽三十六景神奈川沖裏が大きく張り出されていました。

あ、今日は北斎ではなく広重さんメインなんですよ(笑)

これです、これ。

こういう目録があると、しかも現代の私たちでも読めるレベルであれば、助かりますし、嬉しいものです。

では一部だけ撮影してきましたのでご紹介。

安房、小湊内浦。

八犬伝でも出て来る場所です、日蓮さんの生まれた家に建った誕生寺近辺。

広重は実際に取材(?)に房総を訪れているんですって。

江戸、浅草市。

五重塔と歳の市で賑わう浅草。

駿河、三保の松原。

富士山がありますね、そりゃそうと天女の羽衣はどこかいな?

ちなみ天女の羽衣伝説の同系のお話が、日本国内でも7、8か所あります。

男性って、女性の服を隠して無理強いをしちゃうどうしようもない生き物らしいです、昔から。

伊勢、朝熊山峠の茶屋。

昭和30年代までお茶屋さんが現存してたそうです。

伊賀、上野。

西に小さく伊賀上野城が描かれております。

摂津、住吉出見の浜。

住吉大社辺りの浜から出向する船たち。

山城、嵐山渡月橋。

春に桜が満開の渡月橋は、昔も今も人が多く賑わっています。

常陸、鹿島大神宮。

武と鹿の神社、鹿島神宮。

昔は海に面していたのでしょうか。

近江、琵琶湖石山寺。

どこが石山寺なのか見当もつきませんが、お月さんと雁、三上山、瀬田の橋と描かれています。

渋いなあ。

美濃、養老の滝。

名古屋に住んでたころ見に行ってきました。こんなに太い滝ではなかったと思うのですが。

信濃、更科田毎月鏡台山。

棚田に月がいっぱい、田毎の月、です。

現在はJR姨捨駅があり、そこから見える風景をJR三大車窓と言います。

上野、榛名山雪中。

榛名山は一度上まで登ったことがあるのですが、ロープウェイを使いました。こんなに雪が降るんですね。

赤いお堂と橋が鮮烈です。

陸奥、松島風景富山眺望の略図。

松島や ああ松島や 松島や の場所です。

越後、親不知。

大きい波が来ると、旅人が逃げられずに海へ流されてしまう怖ーい場所です。

道が狭そう。

佐渡、金山。

祝、世界遺産登録ですね。

丹波、鐘坂。

タイトルのすぐ左に見えるのが、鬼の架け橋。大江山の鬼が掛けたそうです。

大江山、季節が良くなったら登ってみようと思っております。

丹後、天橋立。

ここは説明はいらないですね。

出雲、大社ほとほとの図。

正月十四日に子供たちが、「ほとほと」と言って近在を回り、お金やお菓子をもらいます。

ハロウィンのトリックオアトリート的な感じです。

にしても大社を描かず、この様な正月風景を題材にしたのは何なんでしょうね。

左のグループが霧に隠れていて幻想的。

美作、山伏谷。

旅は大変。追剥ぎも盗賊も現れそうですし、強風で蓑も笠も飛んじゃうのですから。

安芸、厳島祭礼の図。

こちらも説明不要。厳島の海上でのお祭りです。

鹿はおりませんね。あ、これで日本三景をコンプリートしてます!!

周防、岩国錦帯橋。

先日行ってきたばかりです。右奥が岩国城のあった山だと思うんですが、当然お城はありません。

一国一城令で破却されていますからね。

別途葛飾北斎の描いた錦帯橋には、岩国城が描かれているのですよ。

おかしいなあ、山には城がないはずなのに。

美しさ | 錦帯橋~世界遺産をめざして!~

こちらで葛飾北斎の錦帯橋を見てみて下さいな。

阿波、鳴門の風波。

実際の渦潮はもう少し穏やかに見えました。左の波が、北斎の神奈川沖浪裏と似てませんか?

上部には船の影が見えます、漁船か観光船か、どっちでしょうね。

讃岐、象頭山。

中腹に見えるは金毘羅山。旅人たちは金毘羅山へお参りに行くのでしょうか。

伊予、西条。

この絵の左には立派なお城が見えます。

しかし3万石の小藩だったためか、当時は西条陣屋と呼ばれる藩庁が置かれていました。

こんなに大きくないと思うのですよねえ。

大隅、桜島。

薩摩ではないのですね。広重は別途、薩摩を題材に、坊ノ浦双剣石を描いていました。

でも私なんかは桜島は薩摩、というイメージがあり、違和感を感じてしまいました。

対馬、海岸夕晴。

大きな虹が架かっています。海の向こうは朝鮮半島だそうです。

俯瞰気味に良く描いていますね、広重さん、行ったのかしら。無理っぽいですけど。

 

以上広重の群青を堪能してきました。

他にも北斎の富嶽三十六景神奈川沖裏を題材に版画の仕組みの説明や、古代中国関連の青銅の酒器、銅鏡、世界の古地図などが展示されていました。

 

これで今年の夏休みはほぼ終わりです(´・ω・`)

でわ、家路につきますよ。

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