女子柔道界の超新星、17歳・素根輝
兄との二人三脚で全日本を初優勝

大会後、支えてくれた兄(右隣)らと並び記念撮影する素根輝
幼少の頃からともに柔道に打ち込んできた
世界選手権(9月、アゼルバイジャン・バクー)の代表最終選考会を兼ねた皇后盃全日本女子柔道選手権が横浜文化体育館で行われ、78キロ超級で17歳の素根輝(あきら、福岡・南筑高)が史上初となる初出場初優勝を飾った
17歳9カ月での優勝は'93年に16歳11カ月で初優勝し、その後4連覇を達成した'04年アテネオリンピック女子78kg級金メダリスト・阿武教子に次ぐ、史上2番目の若さだ
ハイライトは準決勝だった。相手は昨年の本大会優勝者であり、世界選手権銀メダリストの朝比奈沙羅(パーク24)。身長174cmの朝比奈に対して162cmと上背のない素根は、重心の低さを生かすように釣り手を下から突き上げ、懐に入る作戦を採った 序盤は朝比奈の組み手が勝り、素根にとっては我慢の時間が続いた。勝負の流れが変わったのは、試合時間が残り36秒となった3分24秒だ。素根は朝比奈に「払い腰」を掛けられて、有効を奪われる大ピンチ しかし、直後に有効のポイントが取り消されると、「有効と言われたときは少し焦ったけど、あとは自分で攻めるだけと思った。ガンガン攻めていった」。
しかし、直後に有効のポイントが取り消されると、「有効と言われたときは少し焦ったけど、あとは自分で攻めるだけと思った。ガンガン攻めていった」。
「体落とし」「袖釣り込み腰」と2度続けて投げを仕掛けた後の7分5秒。守勢に回った朝比奈に3つ目の指導が出て決着がついた 昨夏の世界選手権での銀メダル以降、世界無差別選手権、グランドスラム(GS)東京、GSデュッセルドルフと3連勝していた最強の相手に、17歳は勝った。1本勝ちで突き進んだ2回戦から4回戦までは涼しげな表情だったが、朝比奈との熱戦の後は髪がぐっしょりぬれていた
「延長戦では負ける気がしませんでした。朝比奈選手に勝たないと東京五輪はないので結果が出て良かったです」 4月7日の全日本選抜体重別選手権に続いて朝比奈に2連勝した素根は、勢いそのままに臨んだ決勝で冨田若春(コマツ)を破り、見事にニューヒロインとなった
「世界一になることは小さい頃からの夢で、今は目標に変わっています。もっともっと上にいけるように、誰よりも努力していきたい。誰にも負けないパワー、しっかりかけきる技をつくって、負けない組み手をつくったら世界一になれると思います」