安倍首相 役員会で辞意表明 列島に衝撃
安倍晋三首相の持病である「潰瘍性大腸炎」は大腸に炎症が起きて大腸の粘膜が傷つき、ただれたり潰瘍ができたりする。腹痛や下痢、血便などが主な症状だ。欧米で多いが、日本でも患者が増えており推定約22万人に上る。発症原因は分かっておらず、食生活の欧米化や遺伝子など複数の要素が絡んでいるとみられる。
安倍首相はこの病気の症状悪化により2007年9月、第1次政権の任期途中で辞任した。08年1月の月刊誌「文芸春秋」で、17歳で発症した持病の潰瘍性大腸炎が辞任の判断につながったと初めて公表した。その後、「アサコール」と呼ぶ新薬の登場などで病状が改善したという。
人体には、外敵から身を守る免疫機構が備わっている。潰瘍性大腸炎は大腸の免疫に異常が起き発症すると考えられている。発症には遺伝的要因と食事や腸内細菌の状態など様々な環境要因が重なっているようだ。完治は難しく、国が難病に指定している。
生命には直接関わらないものの、1日に何度もトイレに駆け込むなどの支障が生じる。ストレスなどは症状を悪化させる原因になる。杏林大学の久松理一教授は「生活の質(QOL)を損なうため、しっかり治療を続けて症状を抑えることが重要になる」と話す。
20~30歳代に発症する人が多いが、中高年や子どもでも発症する場合がある。患者は軽症が圧倒的に多い。中等症を含め、患者の多くは通院で治療を受けられるという。
潰瘍性大腸炎を長く患っていると、大腸がんになることもある。発症後10年を過ぎるとリスクが徐々に上がるという。大腸の粘膜で炎症が続くため、がんができやすいと考えられる。

総理が辞意表明 まもなく会見(2020年8月28日)
中国メディアは28日、安倍晋三首相が辞任を決めたという日本の報道を引用して相次いで速報した。国営中央テレビ(電子版)は、NHKの報道を引用して「持病悪化などが国政に影響をもたらす事態を避けるため、首相の職を辞することを決めた」と報じた。
安倍晋三首相は28日、辞任する意向を固めた。新型コロナウイルス感染症への対応で、年明けから6月20日まで147日連続で執務するなど激務が続いており、健康状態の悪化が理由とみられる。複数の関係者が明らかにした。
首相は今月17日、東京・信濃町の慶応大病院に約7時間半滞在し、日帰りで検診を受けた。官邸関係者は「休み明けの体調管理に万全を期すためだ」と強調。病院関係者は、6月13日に首相が受診した人間ドックの「追加検査」だとしたが、健康状態を不安視する声が出ていた。
首相は24日にも慶応大病院で受診。首相は受診後、官邸で記者団に「先週の検査の結果を詳しく伺い、追加的な検査をした」と説明。検査結果については「またお話をさせていただきたい」と話し、具体的に言及しなかった。
首相は平成18年9月に第1次内閣を発足。しかし、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し約1年で退陣した。24年12月の第2次内閣発足以降は薬の効果もあり、長期政権を実現。今月24日には連続在職日数で歴代最長の佐藤栄作を抜き1位となった。近く説明する機会を設ける考えを示した。首相は歴代最長を更新したことについては、「体調管理に万全を期し、これからまた仕事を頑張りたい」と述べていた。
首相の体調に関しては、自民党の甘利明税制調査会長が16日のフジテレビ番組で、「ちょっと休んでもらいたい。責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」と述べるなど政府・与党から気遣う声が多数上がっていた。しかし、首相が「夏季休暇」として職務を休んだのは16日からの3日間だけで、19日から公務を再開していた。
安倍晋三首相は28日夕の記者会見で、体調悪化を理由に辞任すると正式に表明した。理由について「政治で最も重要なことは結果を出すことだ。7年8カ月、結果を出すために全身全霊を傾けてきたが、病気と治療を抱え、体力が万全でない苦痛の中、大切な政治判断を誤る、結果を出せないことがあってはならない」と語った。
首相は「新型コロナウイルス禍の中で職を辞することになり、国民の皆さまに心よりおわび申し上げる」と陳謝。「次の首相が任命されるまで、最後まで責任を果たしたい」と述べた。
6月の病院診察で持病の潰瘍性大腸炎が再発した兆候があり、7月中ごろから体調に異変が生じて8月上旬に再発が確認されたとも明らかにした。新しい投薬を始めたとした上で「継続的な処方が必要で、予断は許さない」と説明した。
辞任を決めた時期については「先週と今週、診断を受け、今週の診断を受けた後に決めた」とし、「新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断した」と語った。
次期首相となる後継の自民党総裁の選出については「執行部にお任せする。(次期総裁に関し)私が誰と申し上げることではない」と述べた。
日英貿易協定の大筋合意、9月へずれ込む公算 農産品難航
日本と英国の両政府が交渉中の新たな貿易協定に関し、目標としていた8月末までの大筋合意が9月にずれこむ公算が大きくなったことが28日、分かった。ブルーチーズなど英国産農産品の関税をめぐる協議が難航しているため。 両政府は8月6、7日に英国で閣僚会合を行い、協定の大半の分野で実質合意。8月末までの大筋合意を目指すと表明していた。