中国広東省深圳市で日本人学校に通う男児が刃物で刺されて死亡した事件を受け、パナソニックホールディングスは19日、中国に駐在している社員と帯同する家族に対し、状況に応じた会社負担による一時帰国の支援を実施する方針を明らかにした。
同社は「安全と健康最優先の対応を実施する」としており、カウンセリング窓口の設置や柔軟な勤務体制などの対応も行う。
中国では6月にも江蘇省蘇州市でスクールバスを待っていた日本人の母子が、50代の男から刃物で切り付けられる事件が発生。中国に住む日本人の間で不安が広がっていた。(桑島浩任)
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業界は罰金と中国攻勢に悲鳴
欧州連合(EU)が2035年に新車の温室効果ガス排出をゼロにするよう定めた計画について、イタリアのメローニ首相は18日、欧州産業の「自滅につながる」と批判した。欧州自動車工業会(ACEA)は19日、電気自動車(EV)の販売不振を理由にEUに排出規制の見直しを要求。欧州のEV移行に不安が漂い始めた。
メローニ氏の発言は、ローマで開かれたイタリア産業総連盟の会合でのもの。「環境対応によって、雇用喪失を招いたり、産業の各部門を解体させたりすることがあってはならない」と訴えた。イタリアは自動車関連産業に約25万人の雇用を抱えている。
EUは、経済と環境の両立をめざす成長戦略を描く。35年に域内で販売される全新車をゼロエミッション車とする計画はこの戦略の柱で、昨年春の閣僚理事会で合意した。計画に沿ってEV化を急ぐため、来年、新車の排出規制が強化されることになっている。
罰金総額3兆円の試算も
だが、ACEAは19日の声明で、EV市場は「下降線をたどっている」としてEUに緊急救済措置を求めた。排出規制の強化によって、自動車業界は「数十億ユーロの罰金が課される」恐れがあると指摘。各メーカーは必要な環境投資ができなくなり、雇用削減や生産調整に追い込まれると警告した。安価な中国製EVがEUに流入していることを念頭に、「競争力低下」への危機感も示した。
EUは現在、新車1キロ走行あたり平均CO2排出量の上限を95グラムと定めており、来年には93・6グラムにする。基準を超えると、販売台数に応じて罰金を科す。メーカーは罰金回避のため、新車の多くをEVに切り替える必要があるが、EUでEV市場は低迷している。
ACEA統計によると、8月のEU域内のEV新車登録台数は、前年同月比で44%下落した。新車に占めるEVの割合は14%。昨年同月の21%から減少が続き、ハイブリッド車の半分以下にとどまった。EVの低価格化が進まず、充電インフラ整備も遅れていることが背景にある。
ACEA会長でフランス自動車大手ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は今月7日に仏ラジオで、EU規制が来年強化されれば「自動車業界への罰金は総額150億ユーロ(約3兆3千億円)に達する」との試算を提示した。この負担は、計250万台の生産見送りにつながりかねないと警告していた。(三井美奈) 産経新聞
異例の残暑 関東甲信で体温超えの暑さ続出 東京36℃予想 最も遅い猛暑日か
低気圧と前線の影響で大気の状態が非常に不安定となり、20日は東北地方で大雨となった。気象庁は20日午前、秋田県沿岸で線状降水帯が発生したと発表。山形県でも日中にかけて発生する可能性があるとしている。東北と北陸では21日にかけて大雨になる恐れがあるとして土砂災害や河川の氾濫などへの警戒を呼びかけた。落雷や竜巻、ひょうにも注意が必要だ。
気象庁によると、前線を伴った低気圧が日本海を東へ進み、暖かく湿った空気が流れ込んで大気の状態が不安定になった。20日は低気圧が北日本を通過し、21日にかけて前線が東北から東日本付近に停滞する見込み。東北や北陸では21日にかけて非常に激しい雨が降る可能性がある。
22日は、台風14号から変わった温帯低気圧が日本海から三陸沖へ進み、東北から西日本の広い範囲で警報級の大雨となる恐れがある。
東北と北陸で21日午前6時までの24時間に予想される雨量は多い所で150ミリ。その後の24時間は120ミリ。
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明治生まれの歌人、窪田空穂(うつぼ)には家族を亡くす痛みを詠んだ歌が多い。母、妻。まだ幼い次女を病で失う悲哀も味わっている。<生えずとてうれへし歯はもかはゆきが灰にまじりてありといはずやも>。骨上げの際の一首という。
▼娘の歯がなかなか生えないことを、父は気に病んでいたとみえる。皮肉にも荼毘(だび)に付した後の灰の中に、それは埋もれていた(『人生の節目で読んでほしい短歌』永田和宏著)。わが子に乳歯を見つけた日は、本当なら欣快(きんかい)に堪えぬ記念日だろう。
▼事件は一緒にいた母親の前で起きた。中国の広東省深圳(しんせん)市で日本人学校に登校中の10歳の男の子が、男(44)に刺されて亡くなった。凶行のあった18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日と重なる。男は当局に拘束された。犯行動機や背景は明らかにされていない。
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【北京=三塚聖平】中国外務省の林剣(りん・けん)報道官は19日の記者会見で、広東省深圳(しんせん)の日本人学校への登校中に小学生の日本人男児(10)が男に刺され死亡したことについて、「不幸な事件」だとして「遺憾」の意を表明した。男児に対して哀悼の意も示した。
林氏は「類似の事件はいかなる国でも起きる可能性がある」と主張して「個別の事件が中日両国の往来や協力に影響しないと信じている」との認識を示した。「中国側は一貫して有効な措置を取り続けており、中国にいる全ての外国人の安全を保障している」とも強調した。
動機など詳細については「現在、調査中であり、中国側の関係部門が法に照らして処理する」と述べるにとどめた。
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【北京=三塚聖平】パナソニックホールディングス(HD)は19日、中国広東省深圳(しんせん)で日本人学校へ登校中に男に刺された小学生の日本人男児が死亡した事件を受け、家族帯同で中国に駐在している従業員の一時帰国を支援する方針を明らかにした。希望者には会社負担で一時帰国を認める。
子供連れで中国に駐在している日系企業社員の間では深圳に限らず動揺と不安が広がっている。日系企業も駐在員とその家族に対する支援に動いている。
北京の在中国日本大使館で19日開かれた緊急会合で、中国に進出した日系企業でつくる中国日本商会の本間哲朗会長(パナソニックHD副社長)は「在中日本企業にとって従業員と家族の安心と安全の確保は、中国で事業活動を継続するための基本中の基本だ」と述べ、中国政府に在留邦人の安全確保などを求めた。
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