1本は観ちゃった、という方にも、もう1本がオススメです。
どちらも単なる「食の安全」にとどまらず、「食を守ることは地球上のすべて
のいのちを守ること」という強いメッセージが全編に迸る「祈り」のような作
品。
「天のしずく」はいのちのスープで有名な辰巳芳子さんのドキュメンタリーで
すが、クランクイン直後に福島原発事故が発生。
もともと「放射能を海に流してはいけない」と六ヶ所村再処理工場に反対して
いた辰巳さん、ショックを受けながらも「どうやってこれからの時代を生き抜
くか」をスープ教室の生徒に教える場面から映画はスタートします。
被災地で保育園を流された子どもたち、緩和ケア病棟の患者さんへのスープ・
サービスのシーンの美しさ。
そして、ハンセン病で70年隔離された生活を送る宮崎かづえさんとの交流の
場面は圧巻です。
「世界が食べられなくなる日」が捉えるのは二つの核汚染。
「いったん汚染されたら取り返しがつかない」遺伝子組み換えと放射能の危険
性を、事実を重ねて訴えていきます。
そしてカメラは福島へ、祝島へ。
遺伝子組み換え、食の危機を捉えた映画は他にもありますが、「核」と重ねて
捉えたこの作品の深さは群を抜いています。
大企業の利権にどう抗していくか、暗澹たる思いの底から、人への深い信頼と
希望が立ち上がる2作品。傑作です。 前田せつ子