満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『トリスタンとイゾルデ』

2006-10-06 01:49:25 | 映画

皆様ごきげんよう。最寄り駅からの帰り道、前を行くサラリーマンの自転車が邪魔だったので追い抜こうとしたところ、そのリーマンが鼻歌を歌い始め、うわこれ抜くの気まずいなオイと思っていたら鼻歌から普通の歌に移行、しかもその曲が中島みゆきの「希望の星」だったのでもう抜くに抜けずしばらくそのあとをのろのろ付け回す羽目に陥った黒猫でございますよ(長いよ)。
・・・イヤ、あんだけ気持ちよさそうに歌われるとさ、邪魔できないよなかなか。


ところで今日は『トリスタンとイゾルデ』の試写会に行って参りました。

暗黒時代のイギリス。ローマ人による征服、それに続く彼らの撤退以来、イングランド(グレートブリテン島全域)は小国に分かれて派閥争いを繰り返していた。
だがしかし、そんな小国の領主たちにも、西に隣接する島、アイルランドからの侵略に悩まされ続けているという共通の悩みがあった。アイルランド人を撃退するためには、イングランドの諸王は力を合わせ、一致団結する必要があった。諸王を統べる代表者を選ぼうとしていたある日、会議の場がアイルランド軍に襲撃される。まだ少年だったトリスタン(ジェームズ・フランコ)も殺されかけるが、コーンウォールの領主マーク(ルーファス・シーウェル)に助けられる。マークはトリスタンを庇ったために右手を失い、恩義を感じたトリスタンはマークに忠誠を誓う。
トリスタンが長じた頃、イングランドに再びアイルランド軍の侵攻があり、それを迎え撃ったトリスタンは毒を塗った敵の剣の手にかかって斃れる。トリスタンが死んだと思った周囲の者により、葬船が仕立てられ、それに寝かされたトリスタンは海を漂うが、やがてアイルランドの岸辺に打ち上げられる。しかしアイルランド王の娘イゾルデ(ソフィア・マイルズ)がそれを見つけ、豊富な薬草の知識で瀕死のトリスタンを死の淵から救う。自然と惹かれ合うふたりだったが、やがてアイルランド王にトリスタンの存在が気づかれかけ、イゾルデは小船を与えて彼を逃がす。
お互いの真の身分も知らぬまま別れたふたりは、その後アイルランド王の発案による「勝った者に姫と領土を与える」という触れ込みの武術大会で再会。トリスタンは見事優勝するも、彼は己が父とも王とも仰ぐマークの代理として出場していたのだった。当然勝利者の権利はマーク王が有する。イングランドの平和のために、愛するトリスタンをさしおいて、王であるマークの妻になったイゾルデ。しかしトリスタンもイゾルデも、お互いのことが忘れられるはずもなく・・・?


というようなお話。
ロミオとジュリエットの原型にもなったというイギリスの民間伝承ですが、わたしは元ネタの話をちゃんと知っているわけではありませんでした。ただ、とにかく悲恋らしい、ということで観に行ったのですが。
・・・うーん・・・。この映画を観る限り、一番可哀想なのはマーク王だよと思いました。悲恋だってことだからきっと泣くな、と思っていたのですが、トリスタンとイゾルデではなくマーク王の振舞いに泣きました。なんて高潔で男前な。普通に考えて、彼のほうが断然素敵なんですが気のせいですか。

あと、マーク王の甥のメーロウ(だったかな?)も良かったです。非常に人間的。王の甥で、それなりの働きをしているんだから、権力を欲するのも無理のないことです。なのに自分ではなくトリスタンばかり引き立てられて、内心穏やかじゃないというのに、それでも立派に振舞おうとしているところにトリスタンの無神経なひとこと。正直、嫌な奴だなトリスタン、と思ってしまいました・・・。

恋は盲目、と言いますが、このふたりには、自分たちで選べるチャンスもあったのです。それなのに「自分には義務があるから」と、自ら選んでふたりで逃げる機会を逃したのだから、そのあと苦しいことになってしまってもわたしはあまり共感できませんでした・・・。マーク王に肩入れしすぎたってのもあるかもしれません。かっこいいんだよ、ヒゲの剃り跡濃すぎるけど(笑)。
コメント
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