奥田瑛二主演によるテレビドラマ「永遠のアトム手塚治虫物語」(1999)を観た。こうして実写で活きた手塚先生を見ていると、より一層先生の人と成りが実感できる。こうして活字を追いかけても奥田瑛二演じる手塚先生が浮かんでくる。
中でも興味深いのは宝田明演じる父親粲(ゆたか)も登場する。父は幼い治虫に影響を与えたとある。先生はピアノも弾かれるが、それは母の影響でもあると書かれている。裕福な家庭に育っているのだろうなと子供心に想像はしていたが、ドラマを観てより具体化した。
「手塚治虫ロマン大宇宙」上巻 大下栄治著は、そうした先生の家族の事も書かれている訳だが、いまさらだが人間は育った環境、とくに父や母の影響というものは大なのだなと、つくづく感じ入ってしまった。言うと、ひがみになるが自分にはないものがそこにはあった。
奥田瑛二が演じる手塚治虫を見なかったら、この本は購入しなかっただろう。それほど奥田が演じる手塚治虫は好演していたと思う。そして奥田自身も手塚治虫を楽しんでいたに違いない。それは宝田明をはじめ他の家族にもいえる。観るこちら側としては、手塚家へお邪魔した気分だ。
先にも書いたとおり、この本の活字を追いかけていると、奥田瑛二演ずる手塚治虫が挿し絵として浮かんでくる。それは他の家族にも言える。賑やかで明るい手塚家が具象化して活字の前に浮かんでいる。それはもう、静止画ではなく活字を追う度に動画となってしまっている。
これは下巻もある。