月刊美術編集部ブログ

アートにどっぷりとひたる毎日

平山郁夫 最後の版画作品

2010年01月25日 | 管理人兼水泳部員N
昨年平山郁夫先生が亡くなられました。
平山先生といえば、広島での被爆体験に発して、日本の文化の源をシルクロードに求め、平和を願い続けた稀有な日本画家です。東京藝術大学の学長を二度勤められ、国連関係の仕事も数多くされていました。

我が月刊美術では、15年前から版画のリトグラフのシリーズを制作させていただきました。初めは塔シリーズといって、日本の古寺に残る塔を毎年一枚描いていただき、それを限定100枚のリトグラフにして、一般の皆さんに楽しんでいただきました。第二シリーズとして始まったのがシルクロードシリーズで、「古代ローマの遺跡」を皮切りに、ブルーモスク、エルサレムの金のドーム、シリアのパールベック神殿と続き、今年は「明けゆく法隆寺」のタイトルで、朝陽に輝く法隆寺五重塔を描いていただきました。

ところが、絵が完成し、版画を起こし、その最終チェックも終わって、あとはサイン入れをするだけという時になって、先生が急逝されてしまいました。これまでは、最後の仕上げに先生が自筆で一枚一枚に鉛筆サインを書いていただいていたのですが、今年はそれがかなうはずもなく、版権者となられた平山美知子夫人の了解のもと、版上サイン、つまりサインを版に起こしてそれをサインの代わりとしました。その代わり、作品が真性であることの証しとして、弊社が保証書を発行することとしました。

こうして作家亡き後、その新作版画が世に出ることとなったのです。
「明けゆく法隆寺」は、まぎれもなく平山郁夫先生の最後の版画作品であり、現時点でも最新作でもあります。

是非、多くのみなさんにご覧いただき、日本画家・平山郁夫先生の画業に思いを馳せていただきたいと思います。
http://www.gekkanbijutsu.co.jp/shop/goods/10021001.htm
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