満開の桜が散り、あわただしく蕊(しべ)降る季節になった。
風に吹かれて降った蕊が、道を赤く染めている。
見上げる枝には若葉も芽吹き始め、「山笑う」青葉の季節が来た。
「桜蕊降る」
桜散り蕊降り歳また重ね 鷹羽狩行
「山笑う」
故郷やどちらを見ても山笑う 正岡子規
美しい季語に、心躍る季節なのに・・・
今年の桜シーズンは、新型コロナウイルスで外出自粛要請、ゆっくり花見を楽
しむことなく、感染の恐怖におびえる殺伐とした日々のなかで過ぎ去った。
花は咲き誇り若葉が萌える「山笑う」春なのに、球春が来てもスタンドもグラウ
ンドにも人影はなく、劇場・映画館は沈黙、学校では子らの歓声が消え、ビジネ
ス街が活気を失い・・・「ソーシャルディスタン(社会的距離)」という耳慣れ
ない言葉が連日飛び交う。
この厄災に満ちた風景は、農薬など化学物質汚染で春になっても鳥も鳴かなくな
ると警告したレイチェル・カーソン著「沈黙の春」そのままの世界ではないか。
*** ***
緊急事態宣言の外出自粛要請で、明日土曜日(18日)のフラワーアレンジ教
室を休むことにし、先生に欠席メールを送った。
バス、電車を乗り継いで隣の西宮・甲子園口に毎月1回通っていたが、もし感染
したらと思うと、とても出かけられない。
欠席は初めてのことだ。
先生から快く承諾いただいたが、申し訳ない限り、許してほしい。
寒を越え山笑うころコロナ来る
もうヤケッパチな駄句・・・
見上げると桜の蕊が文様を描く
葉桜の季節だねえ