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プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。
現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
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インフラ劣化の象徴が電柱である。最大瞬間風速57.5メートルを記録した台風15号では、千葉県山中の2つの鉄塔と道路沿いの電柱2,000本が倒れ、最大93万戸が停電した。昨年9月の台風21号では近畿地方で約1,300本が倒れ、最大240万戸が停電した。今回、我が家でも15号で10日間、19号で3日間に及ぶ大停電を体験したが、なぜこんなことが起きるのかの理由は簡単で、 。。。。。。
固定電話が停電と共に使えなくなるのは当然として、そういう時こそ威力を発揮するはずの携帯電話や無線ネットも、使えるのは停電後24時間で、その後はプツンと切れて何日間も通じない。我が家の場合は15号で6日間、19号で3日間ダメだった。調べてみると全国に携帯基地局は約74万局あり、そのうち24時間のバックアップ電源を持つのはわずか5,800局のみで、自治体の災害対応の施設が中心。その他は数時間程度のバッテリーしか備えていない。
つまり停電は起きても数時間、最大でも丸1日中には復旧するという想定で予備電源を考えていたわけで、これではまったく役に立たないことが今回判明した。総務省は、自治体施設だけでなく病院や避難所となる建物などに長時間電源を用意するよう携帯各社に求めていく方針という(10/18読売)が、そんなふうに少し範囲を広げたくらいでは話にならない。例えば、我が家の近所では、東北電力から駆けつけた応援部隊が山間の道に入っても倒木があって通れないのだが、本部に電話をして指示を仰ぐことができず、そのまま引き返していくといったことが起きていた。これが停電の復旧を大きく遅らせる要因となったことを思うと、すべての基地局の予備電源を強化して、災害の時こそ携帯に頼れるようにして国民の安心を保証すべきだろう。
ちなみに、県と市町村がいざという時に連絡を取り合うための独自回路である「防災無線システム」も停電で作動せず、これよりも携帯基地局の強靱化を進める方が遙かに意味がある。
電気が来ないと水も止まる。大元の給水場で加圧ポンプが動かず、またそうでないところでも中継ポンプ場が動かず、思いのほか広域で断水が続いた。電力を用いて配水する施設は全国に1万745カ所でそのうち62%=6,693は自家発電設備を持っていない。おまけに、これまた40年の法定耐用年限を過ぎた水道管が増え続け、特に地震には脆弱になっているが、全国1,263の水道団体の3分の11=419は赤字で、改修する体力がない。政府の対応はインチキで、この10月施行の改正水道法で「民間委託」を推進するとしている。
ほかにも電気が来ないと動かないものがたくさんあって、信号が点かないので道路が渋滞し、事故も起こりやすい。高速道は、風も雨も止んだのに何日も閉鎖が続き、なぜかと思えば、自家発電を持たないのでゲートが開かず、ETCカードが読み取れず、電光指示板は表示できず、トンネルのランプも点かないので車を通せない。
ガソリンスタンドも非常用電源を持つところだけが給油していて、そこに車の長蛇の列ができた。コンビニやスーパーも、品物があってもレジが動かないので、電卓で計算して現金で収受していた。キャッシュレス化がトレンドだと言って政府も旗を振るが、電気が来なければそれも無理ということになる。
このようにして、道路も橋もトンネルも、堤防も水門も港湾岸壁も、何もかもが40~50年を過ぎて行こうとしているのが今で、それをインフラの全般的危機と捉えて立て直す総合戦略が必要である。内閣官房HPには「国土強靱化」の特集ページがあるが、それは全身が衰弱に向かっている高齢者に部分的な筋肉トレーニングを勧めているかのようなチグハグなもので、戦略の体をなしていない。政府がこのように怠慢であることに野党もメディアも怒り、対案を立てて迫るべきである。
このようにして、道路も橋もトンネルも、堤防も水門も港湾岸壁も、何もかもが40~50年を過ぎて行こうとしているのが今で、それをインフラの全般的危機と捉えて立て直す総合戦略が必要である。内閣官房HPには「国土強靱化」の特集ページがあるが、それは全身が衰弱に向かっている高齢者に部分的な筋肉トレーニングを勧めているかのようなチグハグなもので、戦略の体をなしていない。政府がこのように怠慢であることに野党もメディアも怒り、対案を立てて迫るべきである。
編集=上田裕資
テクノロジー 2019/10/31 12:30
マイクロソフトのセキュリティ部門トップで副社長のトム・バートは10月28日、
ロシア政府との関連が疑われるハッカー集団が、2020年の東京オリンピックを控え、既にスポーツ関連組織への攻撃を開始したと公式ブログで発表した。
このハッカー集団は「ストロンチウム(Strontium)」と呼ばれるグループで、APT28やFancy Bearという名称でも知られている。ストロンチウムは2016年に世界アンチドーピング機関(WADA)からリオ五輪に出場するアスリートの医療データを盗み、ウェブで公開していた。
マイクロソフトはこの集団が9月16日に活動を再開したことを検知した。バートによると「3つの大陸にまたがる、少なくとも16のスポーツ団体及びアンチドーピング組織がハッキング攻撃のターゲットになっている」という。
ストロンチウムはこれまで政府や軍、人権団体のネットワーク侵入に用いられた洗練度の高いハッキング手法を用いている。その中には、ターゲットを厳密に絞り込んだフィッシング攻撃であるスピアーフィッシングや、総当たり攻撃とも呼ばれるブルートフォースアタック呼ばれる手法が含まれている。
総当たり攻撃は比較的ローテクで古典的な手法ではあるが、大規模に仕掛ければ必ず成果を挙げられるものだ。ストロンチウムは高度なカスタマイズを加えたマルウェアも用いて、ネットに接続されたデバイスから情報を盗もうとしている。
マイクロソフトは、ターゲットとされた組織や機関には、既にその脅威を報告し、セキュリティ向上のための支援を行っているという。
ストロンチウムは2016年の米国大統領選の直前に、民主党全国委員会(DNC)のネットワークに侵入し、ドナルド・トランプに関する分析データを盗み出した。この攻撃もロシアの資金援助を受けて実施されたと見られている。また、今年3月には、欧州議会議員選挙のネットワークに侵入していた。
セキュリティ企業FireEyeによると、ストロンチウムは五輪に関わる組織を脅かし、信頼を失墜させる目的でハッキング攻撃を行っているという。平昌オリンピックにおいても、彼らの活動は確認されていたという。
FireEyeのアナリストのJohn Hultquistは、ロシア政府は2020年の米国大統領選においてもストロンチウムを用いて、妨害活動を行う恐れがあると指摘した。
マイクロソフトはハッキング被害を防ぐためのいくつかの、初歩的な対策を推奨している。全てのアカウントを2要素認証で管理することや、フィッシング詐欺に対し十分な警戒を行うこと。さらに、外部の怪しいサイトへのリンクや不審なファイルを警告する、アラートを有効化することなどを求めている。