民平的幸せ体感記3【40代編】

かつて世界一周一人旅をした「みんぺ~」のユルくてどうでもいいブログ。ちょっとハッピーな気持ちになれるとかなれないとか。

児童養護施設職員の日々〜破壊の先にあるものは?〜

2019年10月11日 | 児童養護施設の仕事
思い通りにならないと暴言を吐いて何かを壊してしまうAくん。

部屋のあちこちに穴があき、その都度修復している。全てのキミを受け入れるよ。

そんな受容的アプローチも大切だけど、ダメなことはダメといういわゆる「壁」になってあげるアプローチも時に大切だと考えている。

色んな事情あり家族のもとで生活出来なくなったコを、施設に入所させ、血の繋がらないボクらが癒やし、育て直す。

普通に我が子を育てるのも大変なんだから、その大変さは想像出来るだろう。

でもたぶんそんな想像の何倍もしんどい時がある。

積み重なった「大人への不信感」を「大人への信頼感」に変えるには、時に壁になり向き合う「大人の覚悟」が必要だ。

目の前で怒りをぶつけてくる子がいても、感情的にならず、淡々と、プロとしての意識や姿勢は忘れずに対応しているつもり。

「大切にされている」

そう感じてもらうまでの時間はかかる。

不安が強い子は、食べる、寝る、起きるなど、基本的な生活が落ち着かないコトも多い。

超巨大なおにぎりを毎日二つ食べるAくんを、ボクたちは日々、見守っている。

不眠が課題だったAくんには安心出来る「光」が必要だった。

光光とした部屋でいつも寝てたAくん。

もちろん眠りは浅く、不登校にも繋がった。

そこで我が家で使わずにしまわれていた「ぬりかべ」の置き型電灯を設置してみた。最初は気味悪がってたけど、そのうちに気に入って、寝る時は部屋を暗くしてそれを使ってくれるようになった。そんなぬりかべ電灯も先日キレた時に破壊してしまった。落ち着いている時のAくんはとても素直だ。

施設に来る前はモノを破壊する行為はなく、その代わりに自分の身体を傷つけていたんだと話してくれた。

痛みは感じなかったそう。

怒りの理由についても色々教えてくれた。

そう考えると、今は止められない怒りからくる破壊欲求を、自分でも人でもなく、モノに当たるってのは、良くはないけど、悪くもない気がしてきた。

ぬりかべさんの破片、危ないし処分しようか?

そうAくんに伝えると、彼は言った。

あのさー、今度一緒に直してよ。

破壊の繰り返しの先に光や希望を感じた。こういう一言が「死ね、クズ、ゴミ、カス、消えろ、殺す」など理不尽にボクが浴びた暴言を帳消しにしてくれるんだから不思議なもんだ。これからもAくんにとってのサポーターの一人でありたいと思う。

時に壁になりながら。

ボクは児童養護施設で働いています。

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