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佐藤信之 『JR北海道の危機 日本からローカル線が消える日』

2017-11-05 17:26:23 | Weblog

こんなアナウンスが聞かれる。「ただ今、先行する列車が遅れているため、5分遅れで運転しています。お急ぎのところご迷惑をおかけいたします。」と。それでは、先行列車ではどのような説明をしているのだろうか。「そのまた先の列車の遅れのため」と、想像する。これってそもそもの原因の説明になっていないのでは?

 

『JR北海道の危機 日本からローカル線が消える日』(佐藤信之著 イースト新書 2017年刊)              

11月1日(水)北海道新聞第1面書籍広告に本書が紹介された。著者については、名前だけ佐藤信之とあった。どこかで聞いたことのある名前。そうだ!先日までBS12水曜日20時からの30分番組「発掘!鉄道記録映像」でコメントをしていたあのクールな鉄道博士のような人だ。

本書には、国鉄時代から現在のJRまでの北海道における鉄道について、とにかく詳しく記されている。マニアックと言えばそれまでかも知れないが、路線、車両、ダイヤ、経営の歴史的な経緯、また貨物列車や競合する高速道路や高速バスについて小さな変化まで拾って書かれている。JR問題を考えるにあたり、まさに「真実は細部に宿る」ということなのだろう。

僕がこどもの頃から利用している釧路―札幌間の推移も記憶の中であいまいになっていたことについても、特急「おおぞら」の登場、函館行き特急が札幌までとなった時期、かつては富良野経由だったのが石勝線への切り替え、振り子車両の登場と高速化、夜行列車の廃止など改めて自分の記憶を再確認できた。

現状に対する著者は、少し遠慮がちにだが、国鉄の分割民営化時点と現在は経営安定基金の金利が低下するなど大きく情況が変化していることを踏まえ、改めてフレームワークを見直すべきと提言している。その中には、JR貨物の線路使用料の見直しも含まれる。また、上下分離方式にして、公共が担うインフラ経費を消費税や道路財源を充当すべきと言う。

僕は、そもそも鉄道をどう捉えるかが肝心と考える。JR北海道を民間会社なのだからあくまで路線廃止などを行って自力で採算をとるべきとするのか。鉄道事業の持つ公共性、公益性を認めて一定の公費を導入するか。僕は後者だと考える。安定的な経営のためには勘の鋭い麻生財務大臣が発言したようにJR東日本との合併が現実的だと考える。そして、かつてのようにリゾート列車や新型車両を開発し、高速化にも取り組んでほしい。JR社員の士気が上がり、利用者が夢見る鉄道であってと切に願う。

コメント (2)
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