私がその老人に出会ったのは病院の外の施設であるグループホームでした。最初は「好々爺」といった感じだったのですが、他の職員は「✕✕さんはウソばっかり言って」というのが日常茶飯事の話になっていました。その上、「わがままばっかり言って」という話しも…。そんな話しを耳にする前に接したのですが、初回、二度、三度と会うたびに「ん!やっぱり噂は本当か!?」と思いました。それが一ヶ月、三ヶ月経つと、確かに都合の悪いことからは逃げるし、てきとうな嘘もつく、発言も二転三転して責任者や支援員を戸惑わせていました。私が全てを見通しているわけではありませんが、「さすがに全部うそじゃあないだろ」と思うわけです。しかし、今まで散々振り回されてきた支援員は「全部ウソ!」というわけです。まぁ「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」てなもんです。もうその老人という本人は見えなくなっていて「嘘つきな老人という虚人」を作って非難しているだけのように見えました。
・・・これはですね、「障害者支援員」として、よくよく観察して「虚言の真意」を見極める必要があると思いました。また、それは障害名は違いますが精神障害を背負ったもの同士の「嗅覚」を存分に発揮して支援すべきと思いました。そんなわけで、「満腹感」、「身体的苦痛」は虚言。「女性関係(相手は二十代でした 汗)」、「金銭問題(生活保護だったので障害者同士の貸し借りはあった)」はホント。やっぱり、その「嗅ぎ分け」が必要だと実感した一件でした。その方も、もう3年前ほどに老人保養施設で鬼籍に入られたことを病院の電子カルテ(電カル)で確認して心の中で合掌した次第です。
全ての人に人生/スト-リーはある!
侮るなかれ!