最高検が7月4日に、試験的に実施している可視化についての発表があった。
検察の取調中の可視化(ビデオレコーダーによる録画・録音)についてである。
※最高検 ~ 最高検察庁 Kotobank.jp
今年4月までに逮捕した延べ98人のうち、約9割の91人で可視化を実施した。
うち全過程の撮影は39人だった。
今の検察を取り巻く環境を列記してみると、
・ 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件
東京地検特捜部が小沢一郎の元秘書の石川知裕議員を取調べした際に虚偽の
報告書を作成したのではないかという件
・ 冤罪(えんざい)を実質的に認めた東電OL殺人事件のネパール人被告の釈放など
国民からの信頼感が非常に低下している状況である。全ての取調べを録画・録音して
地道な活動で信頼回復を図るしかない状況なのに、今1つ積極的ではないスタンスだ。
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件 Wikipedia
障害者団体が大量の郵便物を出す場合の割引制度は厚生労働省の証明書が必要で、
大量の郵便物を出した会社に厚生労働省の元局長が便宜を図ったとして、元局長が逮捕された。
しかし、大阪地検特捜部が証拠のフロッピーディスクの日付を改ざんしたのが明るみになり、
元局長が無罪となった事件。
北海道新聞の社説で取り上げていました。
以下、全文 7/8/2012 【聴取の可視化 弊害強調は検察の都合】
最高検は、容疑者を取り調べる際の録音・録画(可視化)の試行について検証結果を公表した。
供述の信用性が確保できるなど可視化の有効性を記しつつ、その「弊害」を強調した内容だ。
「惨めな姿が残る」「正直に話せない」。可視化を嫌がる容疑者の言葉が並ぶ。
可視化を部分的に受け入れることで取り調べの全過程を録音・録画する全面可視化だけは
押しとどめたいという検察の思惑が透けて見える。
日弁連が「なお『全過程』録画に消極的な姿勢が認められることは極めて遺憾というほかない」
とコメントしたのも当然である。
相次ぐ冤罪(えんざい)事件などで揺らぐ捜査機関の信頼回復と公正・適正な捜査の実現には
まず、取り調べの全過程を可視化する以外に方法はない。全事件を対象とし、警察の取り調べ
段階からであるのは言うまでもない。
従来の取り調べ手法にこだわり、仕事のやりやすさを守る。「弊害」を理由に全面可視化を拒む
意識が現場にあるとするなら、世論が求めた反省はどこに行ったのか。
検証対象は東京、大阪、名古屋3地検特捜部などが容疑者を逮捕した独自捜査事件や、
全地検の裁判員裁判対象事件などで、注目すべきは容疑者が可視化を拒んだ事例だ。
4月まで約1年間の独自事件98件中、容疑者が最初から拒否したのは7件。全面可視化は
39件で一部可視化の52件中12件は途中から拒んだ。
可視化は、容疑者が不当に不利益を被らないための手だてである。この点を容疑者に
どれほど丁寧に説明したのか。誘導はなかったか。「検証」ならそこにも踏み込むべきだ。
最高検は今後、精神障害などで容疑者の刑事責任能力が疑われる事件なども可視化の
試行対象に加える。
だが、少年事件は、「録音・録画による精神的負担への配慮」などを挙げて「検討」にとどめた。
心理学者らの意見を聞きながら可視化の対象に加える方向で検討してほしい。
最高検は従来の取り調べを見直し、これを踏まえた検察官の研修・指導のあり方も検討
するが、それだけでは不十分だ。全面可視化を前提に、これを実現するための現場の意識
改革が欠かせない。
法相の諮問機関・法制審議会の特別部会は昨年6月から可視化の制度を検討。全面可視化を
求める弁護士、有識者の委員と、捜査への悪影響を指摘する警察など捜査機関の委員の間で
意見が対立している。
今回の検証結果は部会に提出される。冤罪の温床と指摘されて久しい「密室」の取り調べを
容認する社会が健全であるはずがない。これを肝に銘じて論議すべきだ。
筆者は検察に加えて、警察署での取調べの状況も可視化すべきと思っています。
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