朝ドラ過去10年の期間視聴率トップ5 |
NHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」が24日に最終週を迎える。視聴率は話題先行型で右肩上がりだった「あまちゃん」とは対照的に、開始当初から関西地区では20%前後、関東では22~23%をキープ。19日の放送終了時点で、関西、関東ともに、全期間平均視聴率が過去10年でトップが確定している。(豊田昌継)
◆関西の平均21・7%
「ごちそうさん」は、東京の洋食店で育っため以子(杏さん)が、大阪・天満出身の悠太郎(東出昌大さん)のもとへ嫁ぎ、大阪ならではの「始末=倹約」の精神を学びつつ、食を通じて戦前・戦後の家族や社会とのつながりを描いた。
東西とも週間ランキングの上位をほぼ独占し続けており、昨年9月30日の放送開始から昨19日までの平均視聴率は、関西で21・7%、関東では22・4%(ビデオリサーチ調べ)。
この時点で、最終回を待たずにすでに全期間の平均視聴率は、これまで関西でトップだった「カーネーション」(19・6%)、関東の「梅ちゃん先生」(20・7%)を抜いて、いずれも過去10年でトップとなることが確定。流行語「じぇじぇじぇ」を生み出すなど話題先行型だった前作「あまちゃん」のような派手さはないが、一度取り込んだファンをくぎ付けにした格好だ。
「話題性ではなく、ドラマの中身そのものが評価・反映された点で、NHKはもとより、制作陣にとって理想的だったのではないだろうか」と影山貴彦・同志社女子大教授(メディア論)は語る。
◆現代に通じる価値観
同番組の人気の理由について、雑誌などメディアでは、関東で火がつくように東京編からスタートしたことが功を奏した▽「嫁いびり」が受けた▽さまざまな料理がアクセントになった▽「あまちゃん」効果で幅広い層に見てもらえた-といった分析がされている。
影山氏はそれらを踏まえたうえで、「家族や社会との関係について、現代に通じる価値観を描き切れた」ことを最大の要因に挙げる。「教科書にも書物にも出てこない一般女性・め以子の魅力をナチュラルに表現できた。例えば、23週のめ以子の闇市摘発の場面でも、戦争反対や女性の権利を声高に訴えるのではなく、夫と息子を戦争に取られた一女性の心情として『どこまで取ったら気ィ済むねん!』と叫ぶ。ドジはするし、小姑にもいびられる。夫の浮気疑惑には嫉妬する。そんな等身大の姿に、視聴者は“あるある”と共感したのではないでしょうか」
最終週を前に、視聴者の間では「夫の悠太郎は戦地から戻ってくるか」に注目が集まっている。最終回は29日に放送される。