動きも音も、一つに 全日本小学校バンドフェス・全日本マーチングコン、大阪で１９・２０日
2016年11月5日05時00分
川場村立川場小（群馬） 
第３５回全日本小学校バンドフェスティバルと第２９回全日本マーチングコンテスト（ともに全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催）が１９、２０の両日、大阪市の大阪城ホールで開かれます。出場するのは、全国１１支部の大会で選ばれた団体で、バンドフェスティバルには小学校３６団体、マーチングコンテストには中学校２５団
体と高校２５団体が出場します。大舞台に臨む出場団体の意気込みや思いを紹介します。
■大切な人思い、愛を込めて 川場村立川場小（群馬）
全校児童約１７０人の村唯一の小学校で、４年生以上の４４人が所属している。通称「川場キッズ」。村のバンドとして親しまれ、国体の開会式など大きなイベントでも演奏する。全国大会へは今回で６年連続の出場となる。
今年のテーマは「川場キッズから愛を込めて」。１曲目は小学生らしいマーチングの定番曲、２曲目は元気なジャズ、３曲目でミュージカル「ジキル＆ハイド」からバラード曲「ＩＮ ＨＩＳ ＥＹＥＳ」に挑戦する。「色んな表現を、愛を込めて演奏しよう」と曲を選んだ。
顧問の森下雄太教諭（２４）は「ラブソングを演奏するには人生経験が足りないかも」と心配するが、全員でミュージカルの映像を見てイメージをつけた。家族や友人ら大切な人を思いながら演奏するという。
部長の関姫愛（ひめ）さん（６年）は「元気があるところや、かっこいいところ、川場キッズらしい色んな演奏を見てもらいたい」と話している。
（篠原あゆみ）
■パワフルでクールに決める 宜野湾市立真志喜中（沖縄）
米軍普天間飛行場から西へ約５００メートル。吹奏楽部の６７人が楽器を吹きながら、ぴったり合った動きで校庭を右へ左へ駆け回る。金管の力強い音色が伸びやかに響き、遠くに現れた米軍ヘリコプターの音にも負けていない。
２０１２年以来４年ぶりの全国大会出場を勝ち取った。「マーチングで全国の頂点をとる」と部員全員で決め、土日も含めてほぼ毎日練習する。大半が女子部員。顧問の久保田知世教諭は「個性が強い子が多くてパワフル。でも、演奏になると、なぜかクールに決めてくれるんです」と笑う。
演奏するのは、ホルストの「木星」など４曲。今年の部員たちの特徴である明るさ、力強さを生かせる曲を、と久保田教諭が選んだ。部長の備瀬夏海（びせなつみ）さん（３年）は「九州大会では、演奏が終わったときにみんながすごくいい顔をしていた。全国大会ではそれ以上の演奏をして、一番いい顔を見たい」と意気込む。
（上遠野郷）
■初舞台、壮大な物語に挑む 名古屋市立平針中
初出場の舞台で、豪華客船タイタニック号の沈没事故をモチーフにした「マードックからの最後の手紙」を演奏する。アイリッシュダンス風のきびきびとした動きを取り入れ、壮大な物語を表現する。
吹奏楽部ができて３０年になるが、４年前に顧問の萩原英明教諭（４４）が赴任し、初めてマーチングに取り組んだ。「一生懸命練習している生徒たちに、成果を発表する舞台がたくさんあったほうがいい」と考えた。
部員は４３人で全員が出場メンバーだ。１年生が１７人を占め、基礎練習を繰り返してきた。学校のグラウンドで練習する。ただ、テニス部と併用しているため、毎日は使えない。グラウンドが使えない日は、校舎の廊下で動きの確認をする。
指揮と先導役のドラムメジャーを務める古沢遼さん（２年）は「人数が少ないぶん、動きのキレで音量をカバーしたい。小編成だと、ポジションのずれなどミスが目立ちやすいので気をつけたい」と話す。
（滝沢隆史）
■練習も筋トレも徹底的に 滝川第二高（兵庫）
放課後、グラウンドわきの駐車場に約７０人の吹奏楽部員が集まってきた。「そこ、ずれてるよ」「フレーズを意識して」。隊列の動きや音を確認しながら、声をかけあった。
出場１１回目。練習への前向きな姿勢が、レベルの高い関西地区を勝ち抜く実績を支える。ドラムメジャーの小松あかりさん（３年）は「１日でも休むと、モチベーションが下がる」。練習の日程を決めている３年生に、西谷尚生顧問（５２）が「そろそろオフの日を……」と声をかけるほどだ。
ひざを伸ばし、足を長くきれいに見せる歩き方ができるよう、週２回は筋力トレーニングに取り組む。基本姿勢となるつま先立ちの練習では、かかとの上げ下げを１００回行うため、足がつる部員もいる。
今回は、金賞だった２０１２年と同じラテン調の曲「マラゲーニャ」などを披露する。１３年と１５年の出場では、いずれも銀賞。小松さんは「絶対に金賞を取ります」と力を込める。
（南有紀）
■出場団体（出演順）
◎小学校バンドフェスティバル（１９日）
●前半の部
奈良 生駒市立俵口
宮城 仙台市立向陽台
長野 上田市立西内
富山 砺波市立出町
宮崎 宮崎市立大淀
富山 高岡市立野村
福島 いわき市立錦
大分 日田市立日隈
東京 台東区立富士
栃木 那須塩原市立南
兵庫 伊丹市立桜台
群馬 高崎市立東部
徳島 徳島市国府
群馬 川場村立川場
広島 広島市立安西
東京 江東区立明治
栃木 高根沢町立阿久津
●後半の部
鹿児島 薩摩川内市立平佐西
長野 小諸市立野岸
岩手 滝沢市立鵜飼
東京 江東区立東陽
山口 防府市立中関
奈良 河合町立河合第三
埼玉 さいたま市立蓮沼
愛媛 松山市立余土
山口 防府市立華城
千葉 習志野市立大久保
香川 高松市立円座
富山 富山大付属
長野 坂城町立南条
茨城 水戸市立石川
大阪 池田市立呉服
山形 山形市立滝山
◎マーチングコンテスト（２０日）
●中学校の部
兵庫 加古川市立平岡
沖縄 宜野湾市立真志喜
愛知 愛西市立佐織
徳島 徳島市加茂名
愛知 名古屋市立平針
東京 足立区立第十一
兵庫 西宮市立甲陵
宮城 仙台市立広瀬
千葉 習志野市立第二
広島 広島市立安佐
東京 足立区立第十四
千葉 野田市立南部
兵庫 姫路市立飾磨東
山梨 甲州市立塩山
千葉 船橋市立法田
愛知 名古屋市立植田
長崎 雲仙市立小浜
富山 砺波市立庄西
福岡 北九州市立木屋瀬
福島 郡山市立郡山第三
京都 宇治市立宇治
広島 府中町立府中緑ケ丘
群馬 高崎市立塚沢
●高校以上の部
高知 土佐女子中高
愛知 木曽川
熊本 熊本工
富山 高岡商
熊本 玉名女子
愛知 愛工大名電
福岡 九産大九産
愛知 安城学園
兵庫 滝川第二
千葉 市立船橋
群馬 東京農大二
青森 弘前実
大阪 箕面自由学園
千葉 市立柏
福岡 精華女子
大阪 淀川工科
東京 東海大高輪台
宮城 聖ウルスラ学院英智
東京 八王子学園八王子
高知 高知学芸
千葉 習志野
岡山 岡山東商
埼玉 伊奈学園総合
島根 出雲北陵
■審査員
大塚哲也（テューバ）
岡崎耕二（トランペット）
中島大之（ホルン）
中村均一（サクソフォン）
平子久江（打楽器）
福田淳（オーボエ）
丸尾卓巧（クラリネット）
＝敬称略
■大会案内
◇小学校バンドフェスティバル １９日［土］午前９時２０分開演
◇マーチングコンテスト ２０日［日］中学校の部＝午前９時開演。高校以上の部＝午後２時開演
◇会場 大阪城ホール（大阪市中央区大阪城３の１）ＪＲ大阪城公園駅から徒歩５分
◇入場券 自由席は小学校バンドフェス１５００円、マーチング中学校の部２千円。セブン―イレブン、サークルＫ・サンクス、チケットぴあの店頭とホームページ（http://t.pia.jp/
事前に無料の会員登録が必要）で販売中。Ｐコード小学校バンド５６１・０６１、マーチング中学校の部５６１・０５９。当日券は小学校バンドフェスとマーチング中学校の部のみ。同高校以上の部（全席指定）の販売は終了しました
◇問い合わせ 全日本吹奏楽連盟（０３・３２３４・６０２８、メールｉｎｆｏ＠ａｊｂａ．ｏｒ．ｊｐ）
主催 全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社