<form id="JSID_formKIJIToolTop" class="cmn-form_area JSID_optForm_utoken" action="/async/usync.do/?sv=NX" method="post">
米大統領選は共和党候補、ドナルド・トランプ氏が民主党候補、ヒラリー・クリントン前米国務長官を接戦の末破った=AP
トランプ氏が大統領に就任することで、日米同盟は転機を迎える。米軍を「矛」(敵地攻撃)、自衛隊を「盾」(専守防衛)とする考えの日米安全保障条約を同氏が批判し、日本の核武装を容認しているためだ。米軍駐留経費の全額負担など予算と軍事の両面で、日本は再考を迫られる。
米メディアの集計によると、トランプ氏の選挙人獲得数が勝利に必要な過半数の270人に達した。
トランプ氏は激戦州のオハイオやフロリダ、ノースカロライナのほか、ウェストバージニア、インディアナ、テネシー、ケンタッキー、テキサスなどを制した。
一方、クリントン氏はバージニア、マサチューセッツ、ニューヨーク、イリノイ、オレゴンなどの各州で勝利を確実にしたが、選挙人の獲得数でトランプ氏に届かない見通しとなった。
開票は東部時間8日午後6時(日本時間9日午前8時)から順次始まった。米大統領選の勝敗は各州に割り当てた計538人の「選挙人」の獲得数で決まる。過半数(270人)を得た候補が来年1月に次期大統領に就任する。
共和党は8年ぶりのホワイトハウス奪還を目指してきた。当初、泡沫(ほうまつ)候補とみられたトランプ氏はビジネスで成功を収めた経験を前面に「米国を再び偉大にする」と呼びかけ、予備選を勝ち上がった。既存政治に反発し、景気回復から取り残されたと感じる白人の中低所得層を中心に支持を得た。副大統領にはインディアナ州のマイク・ペンス知事(57)が就く。
一方、クリントン氏は2008年に続いて民主党の候補指名争いに出馬し、早くから本命視されていた。女性の昇進を阻む「ガラスの天井」の最後の一枚を破ると訴えたが、及ばなかった。
これまで大統領選で日米安保条約や日米同盟そのものを非難した候補はいなかった。戦後日本の経済的な発展は、日本の防衛を米国にほぼ丸投げして、その分を経済に傾斜できたためだ。1951年に日米安保条約を締結した吉田茂元首相が唱えた軽武装、経済重視の方針がその原点だ。トランプ氏のようにそこに疑義を挟むことは、認識不足の部外者として淘汰される傾向にあった。
日米を巡る問題は両政府や専門家らの内輪(インナーサークル)で議論され、方向づけられてきた。トランプ氏の認識不足がきっかけにせよ、一般の米国民に日米安保に疑問があるかのように思わせたことで、日米関係はさざ波が立った。新たな日米関係の構築は、まず立て直しから始めなければならない。