自転車の一人旅で、約1年8カ月をかけて世界24カ国を走破した女性が香芝市にいる。同市穴虫の西畑由香さん(44)だ。「自分の目で見て、感じるのが何よりも好き」。各地で講演をこなしており、12日には東京で、旅の魅力などについて話す。

 旅をしたのは2007年5月~08年12月。ネパールをスタートし、インドやパキスタン、トルコなどを経由、コソボまで駆けた。以前から興味があった流浪の民、ロマの足跡をたどる旅だった。

 宿はその日に決め、時にはテントで野宿をした。女性1人の旅は危険だと旅の経験者からは言われたし、寝ているうちに貴重品が入ったカバンをあさられたこともあったが、警戒だけは怠らないようにした。何より、不安より楽しみの方が大きかった。

 ログイン前の続き習慣や文化を身近に感じたいと、旅行中は映画観賞や芝居を積極的に楽しんだ。現地の人が泊めてくれるなら、喜んで世話になった。できるだけ現地の生活を感じたかった。

 大阪市出身。小学校高学年のころ、隣町の大きな建物まで自転車で行ってみたいと思った。いつも見えるのに、行ったことのない場所。小学生にとってはちょっとした冒険だった。初めての風景にわくわくした。

 20歳で就職し、マウンテンバイクを買った。自転車仲間ができ、誘われるまま、クロスカントリーやダウンヒルの競技会に参加するようになった。1996年にはケニアの競技会に出た。だが、決められたコースを走る競技では物足りなかった。

 自転車で海外を旅してみたいと、4年で退職。同年、約2カ月かけてネパールやインドを自転車で走り回った。初めての自転車一人旅だった。

 99年に再就職したが、また自転車の一人旅をしたくなり、退職。そうして出たのが、24カ国をめぐる1年8カ月の旅だった。

 「いろんな人と出会い、心を通い合わせられるのが楽しい。自分の目で見て、感じることは、本で読むのとはまったく違うんです」

 帰国後、36歳で結婚し、奈良に移り住んだ。今は主婦として、夫(45)と長女(4)とともに暮らす。家族3人で自転車に乗り、世界中を旅するのが次の夢だ。

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 西畑さんは30回ほど、各地で講演をしてきた。12日には東京都新宿区の「JICA地球ひろば」で旅の魅力や注意点について話す。問い合わせは主催のシルクロード雑学大学(042・573・7667)。