🎏こいのぼりが、泳ぎがなかったのですが⁉️
今日の夕方になって、やっと🎏こいのぼりが、泳ぎました‼️
中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
中国の権威ある大学の研究チームが北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)地下核実験場は「既に崩壊し、使用不能状態」と指摘したのに対し、労働党委員長、金正恩が南北首脳会談で自ら反論する異常な状況が出現している。ガラス細工の中朝関係を象徴するエピソードでもある。
南北首脳会談では金正恩が米朝首脳会談に先立つ5月中に核実験場を閉鎖し、米韓の専門家やメディアに廃棄の様子を公開すると言明。あえて「既存の施設より大きな2つの坑道が健在だ」と説明し、中国を発信源に世界中の話題になった「使用不能な実験場を廃棄するだけ」との見方を否定した。
核実験場廃棄を巡っては先週、このコラムで釣りに例えるなら米大統領、トランプを首脳会談におびき寄せるための「まき餌」である、と指摘した(「『金正恩VS習近平』、経済開放巡り巨龍と暗闘」参照)。その直後に中国で極めて興味深い発表があった。
中国トップレベルの理系大学、中国科学技術大学(安徽省合肥市)が、実験場は2017年9月3日の第6回核実験の結果、「既に崩落している」との分析を公表。英語版や関連発言を含めると、実験場自体が使用不能になった事実を示していた。
17年9月3日、核実験の地震波を観測した8分半後、再び大きな地震波がとらえられた。2度目の核実験か――。当時、そう騒がれた現象は、最大規模の核実験で出現した空洞に向けてほぼ垂直に440メートル崩落したのが原因だったという。
研究チームは豊渓里付近で頻発した謎の小規模地震の地震波を1972カ所の観測所のデータなどから詳細に分析。「崩落によって放射性物質が漏れた可能性について観測を続ける必要がある」と強い懸念を示している。
核実験場が既に崩壊し、使い物にならないとすれば、金正恩が派手に打ち出した措置に関する解釈が全て違ってくる。「核実験をもうやらない」という金正恩の譲歩ではなく、「核実験をやりたくても、しばらくはやれない」ということになる。
それなら金正恩による実験場廃棄の発表は、魚が食べることができる小エビなどの「まき餌」でさえなかった。完全に偽の餌である毛針、もしくはルアーなどを意味する。魚は食いついた途端に、騙されたと気付くが、時は既に遅い。
核実験場が使えない危機に瀕した金正恩はひとまず、これを逆利用してトランプへの譲歩を装う一芝居を打ったようだ。さらに「北朝鮮の核放棄」ではなく「朝鮮半島の非核化」という入り組んだ言葉の綾(あや)も繰り出した。ここは在韓米軍基地の存在をけん制したい中国への誘い水でもある。
トランプとの交渉は長引いてもよい。南北米、南北米中、もしくは日本とロシアを入れた6者協議に持ち込んでも時間を稼げる。そこで新たな核実験用の坑道を掘るなり、別の離れた場所に実験場を新設すれば済む。既に一定の核技術は確保したのだから、残るのは小型化を含めて核技術の信頼性を高め、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に積めるようにするだけだ。
「トランプは秋の中間選挙を前に『目に見える成果』を強く求めた。それを知る金正恩が(韓国大統領の)文在寅の口を借りて早期の実験場閉鎖をトランプに伝えた。だが、そもそも実験場が使えなかったとすれば、まったく痛みのない見せかけの譲歩だったことになる」
これは北朝鮮の内情に通じる中朝関係者の解説である。
その後、中国では奇怪な動きがあった。核実験場の崩落を明言した中国科学技術大チームの分析結果が同大のホームページのトップから突然、削除されたのだ。