北陸新幹線の敦賀（福井県）から大阪までの延伸について議論している与党の検討委員会は２７日、大阪の終着駅は乗り換えしやすいように天王寺ではなく新大阪とすることを決めた。

　検討委は小浜・京都など３ルートについて、建設費や所要時間などの調査を国土交通省に求めることを正式に決めた。京都から大阪までは、関西文化学術研究都市などを通る２ルートについて調べる。国交省は秋にも結果をまとめ、検討委は年内にもルートを決めたい考えだ。

　米原（滋賀県）から東海道新幹線に乗り入れる「米原」、小浜（福井県）と京都を経由し大阪市内を終着とする「小浜・京都」、さらに舞鶴（京都府）を通る「舞鶴」を調査することは３月に決まっていた。

　小浜・京都と舞鶴のルートでは、ほかの路線との乗り換えなどを考慮し、終着駅を新大阪にする。さらに、それぞれ京都―新大阪を最短で結ぶものと、奈良県と京都府、大阪府にまたがる関西文化学術研究都市を通るルートを調べる。

　北陸新幹線は２０２２年度に敦賀までの開業が決まっているが、延伸に必要な財源のめどは立っていない。（岩沢志気、野口陽）

■建設費確保が難題

　北陸新幹線の延伸計画は終着駅が新大阪となり、ルートについて国交省の調査も近く始まることになった。与党の検討委員会には早期の開業を求める意見もあり、計画は前進したように見える。ただ、建設費の確保はめどがたっておらず、着工へのハードルは依然として高い。

　２０１３年の関西広域連合の試算によると、建設費が最も安くすむとみられる米原ルートでも約５１００億円にのぼる。小浜・京都や舞鶴ルートは距離が長くなり、京都―大阪間は大深度の地下を通すところもあって、費用はかなり膨らむとみられる。

　整備新幹線の建設費用は、ＪＲが支払う新幹線施設の使用料を除き、国と地方自治体が２対１の割合で負担する。国や地方は財源を確保できておらず、巨額の建設費の課題は先送りされている。

　検討委の委員長で京都府選出の西田昌司参院議員は２７日、新幹線に充てる公共事業費を大幅に増やすべきだとの考えを示した。西田氏は財源について「建設国債があれば十分」と主張している。財政再建が政策目標となるなか、実現できるかどうかはわからない。

　着工の条件には実際に運行するＪＲ西日本の同意が必要だ。ＪＲ西は自らが提案した小浜・京都以外のルートについては、大阪到着まで時間がかかるなどとして難色を示している。

　ほかにも環境アセスメントや、並行する在来線をどうするかなどの議論も必要だ。与党の検討委員会では、ルート決定から１０年以内の開業を求める意見が出たが、具体的な日程ははっきりしない。