素堂俳諧事蹟年譜 **
ここで素堂の俳諧に於ける年譜を作成した。句集など多少の年移動があり、また未見資料もある。
▽寛永十九年 1642
誕生、一月四日(『連俳睦百韻』)
▽寛文 五年 1665 23
三輪神社参詣 荻野清氏の説、「山口素堂の研究」
▽寛文 七年 1668 26
伊勢踊 伊勢、加友編。信章、発句五。
▽寛文 九年 1670 28
一本草 未琢編。発句一。
▽寛文十一年 1672 30
蛙井集 山口清勝編。信章、発句一。
▽延宝 二年 1674 33
信章歓迎百韻
十一月二十三日、上洛して北村季吟や湖春ら以下の歓迎百韻の
席にのぞむ。
信章、付句十一。
▽延宝 三年 1675 34
宗因と百韻興行 江戸下向中の宗因を中心に、桃青(芭蕉)等と共に百韻興行。
信章、付句九。
俳諧繪合 高政編。信章、発句二。
▽延宝 四年 1676 35
俳諧当世男 蝶々子編。発句一。
到来集 胡兮編。発句二。
草枕 旨恕編。旨恕・信章百韻一巻。
▽延宝 五年 1677 36
六百番俳諧発句合 岩城平城主、内藤風虎編。発句二十。
江戸三吟 冬、伊藤信徳・桃青と共に三吟三百韻興行。
▽延宝 六年 1678 37
江戸三吟 春、前年に続き三吟三百韻興行。
江戸八百韻 幽山編。発句一。付句七。
新附合物種集 井原西鶴編。付句五。
江戸新道 言水編。発句六。
江戸廣小路 不卜編。発句七。
鱗形 雪柴編。発句一。
☆夏の頃、江戸を出立して長崎に向かう。
▽延宝 七年 1679 38
☆肥前唐津にて新春を迎える。清水茂夫氏(故)は
「二万の里唐津と申せ君が春」は、仕官していた唐津の主君の
新春を祝っているのでないかという。
☆暮春頃、江戸に帰着する。
☆致任して、不忍池畔に退隠する(?)
玉手筥 蝶々子編。発句一。
富士石 岸本調和編。発句二。
江戸蛇之鮓 言水編。発句一。号来雪。
二葉集 西治編。付合四章。
▽延宝 八年 1680 39
誹枕 ◇始めて序文を著す。幽山編。
始めて素堂と号す(正式な名称も山口素堂)
発句十七、幽山・素堂両吟半歌仙一巻。
大矢数 ☆五月、井原西鶴が難波本覚寺で興行する。
号、信章で付句一。
江戸辧慶 言水編。発句二。
向之岡 不卜編。発句三。
▽天和 元年 1681 40
東日記 言水編。発句二。
三物 ☆芭蕉・木因・素堂。
▽天和 二年 1682 41
月見の記
高山麋塒(伝右衛門。老中、秋元但馬守の家老)主催の宴。
武蔵曲 千春編。付句十、発句四。
芭蕉庵再興勧化文
前年冬の焼失した芭蕉庵を再建する為有志を募る。
▽天和 三年 1683 42
虚栗 荷興十唱他二句。
空林風葉 自悦編。発句二。
▽貞享 元年 1684 43
孤松 尚白編。発句二。
▽貞享 二年 1685 44
稲筵 清風編。発句一。
一楼賦 風瀑編。発句三。◇跋文(漢文)
古式百韻 ☆芭蕉等と古式の百韻興行。付句十三。
白根嶽 調実(甲斐市川の人)編。発句一。
▽貞享 三年 1686 45
蛙合 仙化編。発句一。
芭蕉の瓢に「四山」の銘を与える。
▽貞享 四年 1687 46
春、上京する。
蓑虫説 ☆蓑虫に関する芭蕉との遣り取り。
句餞別 ☆十月、長崎旅行の折に求めた頭巾を芭蕉に贈る。
発句一、詩三絶。
続虚栗 ◇序文、(芭蕉に先がけ「不易流行」を説く)
其角編。発句五。
続の原 不卜編。芭蕉・調和・湖春と共に四季句合春の判者。
▽元禄 元年 1688 47
素堂亭残菊宴 発句二。
芭蕉庵十三夜 発句一。
追善興行 大通庵道円居士の追善興行に芭蕉・曾良等と参加。
付句三。
▽元禄 二年 1689 48
送別賦 芭蕉「奥の細道」行脚に出立。素堂「松島の詩」
其袋 名月を賞して、十三唱。
曠野 荷兮編。発句六。
▽元禄 三年 169049
其袋 服部嵐雪、素堂の助力で『其袋』の撰を成就。
酒折宮奉納漢和 序文。漢和。
甲斐酒折宮奉納の漢和俳諧八句の序文を草
す。(漢和の部分は前年)
忘年会 冬至の前の亡年会。
松の奥 梅の奥 俳諧作法書。一部では偽書とされる。
いつを昔 其角編。発句五。
吐綬鶏 秋風編。発句一。
秋津嶋 団水編。発句一。
後の塵 其詞編。発句一。
▽元禄 四年 1691 50
誹諧六歌仙 鋤立編。序文。
俳諧勧進牒 路通編。発句五。
雑談集 角編。発句一。
元禄百人一句 江水編。発句一。
色杉原 友琴編。発句一。
餞別五百韻 立吟編。発句一。
西の雲 ノ松編。発句一。
▽元禄 五年 1692 51
母喜寿の賀 ☆連衆、芭蕉・嵐蘭・沾徳・曾良・杉風・其角。
発句一。
和漢連句 芭蕉・素堂両吟の和漢連句(別項参照) 序文。
俳諧深川集 芭蕉・嵐蘭・曾良・洒堂等を招き、年忘れの会。
発句一。付句一。
俳林一字幽蘭集 沾徳編。序文。発句四。
己が光 之道編。発句一。
旅館日記 許六編。発句三。
▽元禄 六年 1693 52
杉風書簡 宗匠にて無レ之者のも名高きは素堂と申者にて御座
候。
残菊の宴 芭蕉・其角・桃隣・沾圃・曾良・馬等出座。
☆幕府儒官、人見竹洞、素堂に素琴を贈る。
☆竹洞、素堂宅を二三人で訪れる。
☆本所深川に四百二十九坪の土地を買い求める。
流川集 露川編。発句一。
桃の實 兀峰編。発句一。
▽元禄 七年 1694 53
蘆分船 不角編。序文。発句一。
隠家百首 戸田茂水編。和歌一首入集。号・信章素堂。
《芭蕉没》
枯尾花 芭蕉追善歌仙に参加。
妻の死 ◆十二月素堂は曾良宛書簡で「妻の死」を伝える。
炭俵 野は唐変。発句二。
句兄弟 其角編。発句一。
名月集 心桂編。発句一。
芳里袋 友鴎編。発句二。
☆芭蕉没に際して竹洞から贈られた素琴の弦を切る。
▽元禄 八年 1695 54
歳旦詩 乙亥歳旦詩一篇。
甲山記行 夏、母が急逝する。母の生前の願い「身延詣」の旅
に出る。宿を外舅野田氏宅。
花かつみ 文車編。発句一。
住吉物語 青流編。発句一。
笈日記 支考編。発句四。
▽元禄 九年 1696 55
裸麥 芭蕉三回忌追善の句。
翁艸 里圃編。発句十二。一座の歌仙二巻及び文章一篇。
▽元禄 十年 1697 56
陸奥鵆 桃隣編。跋文。発句五。付句一。
俳諧錦繍緞 其角編。発句四。
署名、江上隠士山松子(山口松兵衛か)、序文。
韻塞 許六編。序文・跋文。発句一。
真木柱 擧堂編。発句十二。
末若葉 其角編。発句一。
柱暦 鶴声編。発句一。
▽元禄十一年 1698 57
歳旦詩 歳旦、六言六句の詩一篇。(『素堂家集』)
★夏から秋にかけて京都に留まる。芭蕉の塚に詣でる。
鳴滝で茸狩り、多くの詩歌発句あり。
続有磯海 浪化編。発句二。
続猿簔 芭蕉遺編。発句一。
泊船集 風国編。発句一。
寄生 桂聚亭編。発句二。
去来抄 ☆素堂、去来に新風興行を持ちかける。
▽元禄十二年 1699 58
海道東行 良因編。序文。
俳諧伊達衣 等窮編。発句一。
皮籠摺 涼菟編。発句一。
簔笠 舎羅編。発句一。
▽元禄十三年 1700 59
冬かつら 芭蕉七回忌追善吟七。
六玉川 百丸編。跋文。
暁山集 方山編。発句一。
続古今誹諧手鑑 笑種編。発句一。
▽元禄十四年 1701 60
宗長庵記 素堂、春上洛。島田宿で『宗長庵記』を草す。
秋にも上洛し、『長休庵記』と改作する。発句二。
そこの花 支考編。発句一。
きれぎれ 白雪編。発句三、一座の表六句一連入集。
追鳥狩 露堂編。発句一。
杜撰集 嵐雪編。発句一。
続別座敷 杉風編。発句一。
荒小田 舎羅編。発句一。
裸麥 曾米編。発句一。
▽元禄十五年 1702 61
知足亭逗留 京都より下る途中、鳴海知足亭に逗留。
花見車 素堂評あり。
三河小町 白雪編。発句一。
利休茶道具図 茶人、山田宗偏の『利休茶道具図』に序文。
▽元禄十六年 1703 62
歌林尾花末 梅柳軒水編。和歌一首入集。
行脚戻 五桐編。発句一。
分外 艶士編。発句一。
▽宝永 元年 1704 63
山中集 涼菟編。素堂、木因併せて芭蕉の二友と称せられる。
☆四月江戸出立、七日から十二日まで逗留。発句、連句あり。
千句塚 除風編。文章一篇、発句一。
渡鳥集 卯七・去来編。発句二。
誹諧番橙集 除風編。発句一。
五十四郡 沾竹・沾荷編。発句一。
濱萩 柳舟編。発句一。
たみの草 湖白編。発句一。
文章一、発句二。
▽宝永 二年 1705 64
歳旦漢詩 歳旦所懐漢詩二編。
寸濃字 支考・座神編。序文。
☆蝶羽亭逗留 閏四月九日、鳴海の蝶羽亭に至り、
五月五日まで滞在。
五日鳴海を発って江戸に向かう。
知足斎日々記 発句三。
誰身の秋 吾仲編。発句一。
夢の名残 海棠編。発句一。
木曾の谷 楚舟・野坡編。発句一。
やどりの松 助給編。発句一。
賀之満多知 発句一。
▽宝永 三年 1706 65
東山萬句 支考編。序文。発句一。
猫筑波 梅員編。発句一。
▽宝永 四年 1707 66
東海道記行 春、上洛。東海道記行を草す。和歌・漢詩・発句
風の上 嵐雪追善集。追悼文。
菊の塵 園女編。序文。
かくれさと 片海編。発句一。
▽宝永 五年 1708 67
とをのく集 百里編。嵐雪一周忌。
梅の時 少長(歌舞伎俳優 中村七三郎)追善集。序文。
▽宝永 六年 1709 68
星會集 輪雪編。発句一。
既望集 吟墨編。発句一。
根無草 艸士編 発句一。
素堂主人書簡 曾良宛。発句二。
▽宝永 七年 1710 69
歳旦漢詩 一篇。
三山雅集 呂茄編。発句一。
★素堂病に臥す。☆瘧(おこり)にかかる。
葛飾 芭蕉十七回忌追善集。序文。
▽正徳 元年 1711 70
誰袖 蘭臺編。発句一。
とくとくの句合 自著、この年頃成立か。
鉢扣 伊丹、蟻道追悼集。序文。発句一。
▽正徳 二年 1712 71
歳旦漢詩 京都にて歳旦の臨み、漢詩を吟ずる。
千鳥掛 蝶羽編。序文。発句六。
素堂書簡 京都にて伊丹の億麿に鉢扣贈呈の礼状。
花の市 寸木編。発句一。
▽正徳 三年 1713 72
鏡 舎羅編。発句一。
★火災遭遇 師走、火災に遭う。
▽正徳 四年 1714 73
歳旦漢詩 漢詩一篇。
▽正徳 五年 1715 74
みかへり松 祇空編。発句一。
昔の水 古梅園編。発句一。
▽享保 元年 1616 75
この馬 法竹編。発句一。
鵲尾冠 発句一入集。越人編。(刊は、翌年)
▽享保 元年
素堂、八月十五日 逝去。
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