石川 知史は
ちょっぴりむくれていた
せっかく憧れの美菜ちゃんと
ゆっくりお近づきになれる
せっかく憧れの美菜ちゃんと
ゆっくりお近づきになれる
チャンスだったのに、と
「先輩が大きな声で
「先輩が大きな声で
美菜ちゃんの名前を出すから
さっかくの飲み会が
あ~でもいいや、
さっかくの飲み会が
あ~でもいいや、
そもそも千秋先輩を誘ったんだから」
「悪いね、石川!
「悪いね、石川!
ま、また今度ゆっくりね
今回は みんなで割り勘しよう
あ、でも美菜ちゃんの分は
あ、でも美菜ちゃんの分は
ヤロウ達持ちでヨロシク!」
上田美菜 24歳
ふわふわとした可愛い系女子
男ならほおっておけないだろうな
という容姿で
上田美菜 24歳
ふわふわとした可愛い系女子
男ならほおっておけないだろうな
という容姿で
やや天然
しかしその雰囲気は
しかしその雰囲気は
決して計算によるものではない。
実は 芯はしっかりしている
実は 芯はしっかりしている
三人姉妹の長女だ
石川知史 26歳
身長が高く ややマッチョ
本人は
本人は
わかっているのか定かではないが
かなりのイケメン男子で
学生時代はゴルフ部に所属していた
プロになれそうなほどの
かなりのイケメン男子で
学生時代はゴルフ部に所属していた
プロになれそうなほどの
腕前だったらしいが
腰を痛めてあきらめたそうだ
岡崎さんのお誘いどうしよう
私は 揺れていた
誘われて飲みに行ったら
きっとまたあの人のことを
腰を痛めてあきらめたそうだ
岡崎さんのお誘いどうしよう
私は 揺れていた
誘われて飲みに行ったら
きっとまたあの人のことを
思い出すだろう
そして
そして
もしかしたら、また会える?
なんて期待してしまうかもしれない
早めの忘年会をする人も
なんて期待してしまうかもしれない
早めの忘年会をする人も
多いだろうこの時期
石川が行きたかった店は
石川が行きたかった店は
予約でいっぱいだったらしい
それでも根性で見つけた店は
それでも根性で見つけた店は
どこにでもありそうな店だったが
女の子と二人で来たら
女の子と二人で来たら
結構いい感じになれそうな
雰囲気のいい
こ洒落たイタリアンの店だった。
こ洒落たイタリアンの店だった。
大いに盛り上がり
やや飲みすぎた感があったが
私はお酒
私はお酒
かなりイケる方で
後輩男子がいい気分に盛り上がる中
ある意味冷静に
ある意味冷静に
周りを見渡し
気のきくいい女風を 演じていた。
千秋せんぱ~い 私ちょっとお手洗い
千秋せんぱ~い 私ちょっとお手洗い
そう言って美菜が席を立つと
男たちは一斉に仕事での愚痴を
こぼし始めた
ねぇ~君たち
ねぇ~君たち
その話は
ここでなくてどこか他でやりなさい
そんな話美菜ちゃんが聞いたら
そんな話美菜ちゃんが聞いたら
きっと呆れるわよ
情けないヤツってね
後輩たちは苦笑いして
後輩たちは苦笑いして
話を途中で切り次の店へ移動する話で
盛り上がりだした。
・・・ったく
・・・ったく
しっかりしてよ
後輩たち
美菜が戻ってきたと同時に
美菜が戻ってきたと同時に
石川が会計を済まして戻ってきた。
どうやらこの後は
どうやらこの後は
男同士でこれからの自分たちの立場やら
仕事の方向性やらあれこれ話すそうだ
店の外で後輩たちと別れた私たちは
仕事の方向性やらあれこれ話すそうだ
店の外で後輩たちと別れた私たちは
駅へと向かった。
千秋先輩お疲れ様でしたぁ
私これから彼と待ち合わせなんです
そう言ってにっこりほほ笑んだ美菜は
千秋先輩お疲れ様でしたぁ
私これから彼と待ち合わせなんです
そう言ってにっこりほほ笑んだ美菜は
駅の改札へ向けて歩きだした。
あ、そうなの
あ、そうなの
あなた男いたのね
そりゃそうよね
そりゃそうよね
あなたみたいなかわいい子
ほおっておかないわよね
ほおっておかないわよね
と、ひとりつぶやき
ちょっぴり取り残され感で
ちょっぴり取り残され感で
さみしくなった私は、
結局岡崎に連絡するために
懐かしいあの店へ向かうことにした。
懐かしいあの店へ向かうことにした。