心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

いつも心の中に・・・vol.7

2024-01-20 20:54:00 | いつも心の中に


リョウがいつになく
イライラしているのを感じていた
そういえば
今週に入ってからというもの 
あいつからの電話に出ていない
業務連絡と称した 
ヒミツのメモを手渡すこともしていない

意地を張っているわけではない

ふとあいつと目があった 
何か言いたそうに立ち上がる
後輩であるミズキとの間に
新しい命が芽生えたと切り出された時の
あの驚きと動揺が
頭の中に一瞬影を落とした
あの時から、都合の良い女でもいいと
あたしは負けを認め、
ひとりでもがいていたのだ

そんな時間を 
リセットさせてくれるきっかけが
向こうからやってくる
今夜時間作って
はい、わかりました。

仕事上の受け答えをして 
すぐに立ち上がる
重たい空気を払いたくて そとへ出た

ああ・・・今日もいい天気だ
   こんな日はヒロキとあの海へ

あれからほんの短い間に
ヒロキとは何度も会っていた
こころもからだも満ち足りた
そんな日々があった
リョウは、明らかに不機嫌で
一気に言いたいことをぶつけてくる
でも待って
矛盾したこと言ってるわよ

心の叫びを 
声には出さず沈黙する

ますますエスカレートしそうな気配を
“どうやって切り抜けようか?”
そんなことを 
ふと、他人事のように考えていた。


あたしの気持ちを感じれば
感じるほど

惜しくなった? 
全て自分の思いどうりに行くとでも思った?

この慌てようは何?
自分が、情けなくなった
こんな男のどこがよかったんだろう
ねぇ?
あたしにどうしてほしいの? 
この先このままで何があるというの?
もう無理だってわかってるんでしょ? 
可愛い奥さまを大事にして差し上げて
半ば吐き捨てるように言い放つと、
あたしは 静かにその場から立ち去った

背中にグラスの割れる音

もう振り返ることはなかった