あの日ヒロキは
約束の場所に現れなかった
あの海へ行こうと約束していたのに
遠くで聞こえるサイレンの音が
あの海へ行こうと約束していたのに
遠くで聞こえるサイレンの音が
妙に気になった
ケータイデンワなどというものは
ケータイデンワなどというものは
まだなかった頃
連絡が取れないまま
連絡が取れないまま
不安な夜をひとりで過ごした。
「ユーコ 聞いてる?
僕は思うんだ
いつも
きっとどんな時も
「ユーコ 聞いてる?
僕は思うんだ
いつも
きっとどんな時も
僕はユーコだけを想っている
それは何年たっても変わらない
奇跡っていうのは
それは何年たっても変わらない
奇跡っていうのは
たびたび起こらない
だから奇跡なんだ
でも僕とユーコの間には
でも僕とユーコの間には
奇跡が何度も起こるかもしれない
諦めないでいて、
諦めないでいて、
いつも、いつも心の中にいるよ」
“きっと奇跡は起こるから”
昨夜のヒロキのささやきが
“きっと奇跡は起こるから”
昨夜のヒロキのささやきが
頭の中を駆け巡る
昨夜の電話ではいつも通り変わらなかった
あの屈託のない笑顔を
昨夜の電話ではいつも通り変わらなかった
あの屈託のない笑顔を
受話器の向こうに感じながら
今日を楽しみに眠りについたのに
不安は ますます大きくなったが
あの頃のあたしには
今日を楽しみに眠りについたのに
不安は ますます大きくなったが
あの頃のあたしには
どうすることも出来なかった。
空を見あげるのが 好きだと言った。
なぜ?
オリオン座 知ってるでしょ?
あの真ん中に三つ並んでる星
あれがなぜだか好きなんだ
あの頃のなんでもない会話を
空を見あげるのが 好きだと言った。
なぜ?
オリオン座 知ってるでしょ?
あの真ん中に三つ並んでる星
あれがなぜだか好きなんだ
あの頃のなんでもない会話を
よく覚えている
ほんの短い期間に
ほんの短い期間に
沢山の言葉を交わした
でも
あまりにも知らないことが多かった
そう まだ本当に始まったばかりの
そんな二人だった
あれから何年経ったのだろう
あたしは
でも
あまりにも知らないことが多かった
そう まだ本当に始まったばかりの
そんな二人だった
あれから何年経ったのだろう
あたしは
ただなんとなく日々を重ねていた
心にぽっかりと穴が開いたまま
心にぽっかりと穴が開いたまま