心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

いつも心の中に・・・vol.9

2024-01-22 13:36:00 | いつも心の中に


ユーコ大変
大変なのよ
ゆっくり話せないかしら

電話の主はリカコ

リカコは今
客室乗務員の仕事を辞め
CA時代の広い人脈を生かした
仕事をしていた。

彼女らしい生き方だ
あたしは
それなりに幸せに暮らしている。

あの事があってからしばらくは
何もする気が起きず
ただなんとなく日々を過ごしていた

それでも今はとても穏やかで 
あたしのすべてを
やさしく包んでくれる
そんな人が隣にいる。

周りからは
いつも羨望のまなざしで見られていた

実際あたしは
とても幸福だった

心にあいている小さな穴さえ
誰にも知られなければ
本当に幸せで何不自由なかった。


ユーコ ちょっと聞いてるの?
よくって?
電話では話せないのよ
近いうち
いいえ 今夜!
時間作りなさいよ

とにかく重大ニュースなのよ


うそ でしょう?


うそじゃないわよ!

心がざわついた
それもそのはず
いちばん大切だと思っていたその人が
生きている。
そうね
自分で勝手に思いこんでいた
きっと事故にでも
巻き込まれてしまったんだろうと
まだ知らないことが 
多すぎたとは言っても
あたしの名前くらい
出してくれると思っていたから

いい ユーコよく聞いて
あの彼ね
あの日やはりあなたが言っていたように
事故にあったらしいの
あのかわいいクルマは
使い物にならない程の状態だったけれど
彼 見た目には 
どこにもケガをしてなかったんだって
自分のことや仕事のことなんかは
ちゃんと話したそうなのよ

でも頭を 打っていたようでね

自分でもよくわからないけれど
何か忘れている感じが
いつもあったらしいのよ
それが
あなたのことね
出会っていたことすら
覚えてなかったみたい。

でもね、来月帰って来るそうよ!

こんな情報 
リカコはどこで仕入れたんだろう?
でも彼女の人脈の広さには
恐ろしいものがある
きっと偶然が重なったのだろう

先日アメリカでのパーティの席で
紹介された日本人を見て
びっくりしたのよ
まさか? ってね
彼もなぜか
私のことが気になったらしく
彼から話しかけてくれたのよ

“以前どこかでお会いしませんでしたか?”
ってね
で、
まさか記憶が飛んでるなんて知らないから
ユーコ あなたの話をしたら
初めは 怪訝そうな顔つきだったけど
ほらあなたがよく言ってた 
“星の話”あれを話したら
あなたのことを思い出したようで

“会いたい”と話していたわ

とりあえず
ケータイの番号聞いておいたから
教えておくわね!

リカコはニヤリと
笑みを浮かべ目の前で
ヒロキのケータイデンワの番号を
メールしてきた。