穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

昔っこ 猿一ぱ・キジ一ぱ

2022-07-12 18:09:39 | 昔っこ・民話

このお話は 私が子供のころ 囲炉裏端で 何夜 祖母に聞いて そらんじるほど聞きました。

寝る前に 昔っこを聞くのが 習慣になって もう少し・もう少しとせがんだものでした。

「さる一束(いっぱ) キジ一束」 懐かしく思い出しまして 掲載しました。

 

むがし むが~し(昔) ある所にさると キジおったど。そしてな 同じ田んぼを二人で作っていたど。

春になってな キジがさるに「さる・さる田越しに行がねが」と言ったら さる

「今日だば おれ せんきで(腰やお腹の痛む病気)行がれね(行けない)」というので

キジ一人で 田を耕しに行ったど。 やがて田植えの時が来たので 「さる・さる 稲植えに行がねが」

と言ったど。そしたら「おら 脚気で行がれね」と 断るものだから

キジ 一人で田に苗を植えたど。 その苗もどんどん育って 秋になったど。

      

雉は、いつもうちの畑の所にいます 👆      お猿さんイラストは、無料素材をお借りしました

 

そこでキジが「さるさる 今日も脚気だが。稲こ刈りに行がねが?」と聞いてみたど。そしたら

「今度まだ せんき(腰やお腹の痛む病気)起きで 行がれね」と言ったど。

キジまた一人で寂しく稲刈りに行ったど。  そのうちに刈った稲も乾いたので キジが

「さる・さる稲分けねが(分けないか)」と誘ったら 「んだ(そうだ)早く分けねば いけねな!」

と、言うが早いか どんどん田んぼに走っていったど。

そしてな、さる、自分の所には 二束を一緒にして 「さる一ぱ・キジ一ぱ」

「さる一ぱ・キジ一ぱ」と 分けたど。 んだども キジ 文句も言わねで

そのまま家にもってきて 少しづつ大事に 大事に食べていたど。

 

さるの方は あざねくて(大事にしないで) どんどん食ってしまったもんだから 

すぐに米こ なくなって キジの所に もらいに行ったど。

「キジ キジ おめだば稲こ いっぺ(たくさん)取ったえて まだあるべ。俺さ少しよこせ」

と おどかしたけれど 今度だけはキジも 「んた(嫌だ) やらね。」と 

きっぱり断ったもんだから。キジをひどい目にあわせたり 

「今度から せんきも脚気もならねで 働くから」と だましたりして とうとう稲を取って行ったど。

それで、キジあしたから食べる米こ ないもんだから、困ってシクシク泣いておったど。

 

そしたら、ちょうどそこへ 栗と蜂と臼が来て 「キジ・キジなして泣ぐ」と なぐさめるので

今までの事、みんな教えたど。そこで三人相談して そのうち、きっとさるが また来るだろうから

その時こそ さるを懲らしめることにしたど。

やがて さるが来た。「キジ、何か食うもの寄こせ。ああ寒。おお寒」

と 勝手に上がり込んで、囲炉裏に近づいたものだから、栗 この時とばかりに「バガーン」と

さるの顔めがけて はねたど。「あっちっちち・・・」と叫んで 水がめのあるところに走ったど。

ちょうどそこに蜂が隠れていて 「ブーン・ブスッ!」と顔も手も足も 刺したど。

さる あまりに痛くて 「いで・いでででで・・・」と 戸のぐち(入口)の方に 逃げて行ったら

軒に隠れていた臼が 「ドシーン」と 落ちてきたもんだから

さる ひとたまりもなく 組み伏せられてしまったど。

     

ネットより 無料イラストです  

 

「キジをなして(どうして)ひどい目にあわせたんだ。

これからずるいことしねば ごめんするがら謝れ」と

とっちめたら「あどしね(もうしない)。絶対しね」と、誤ったど。

それで許してやったら さる、オイオイ泣きながら 家さ帰ったど。

とっぴんぱらりのぷう・・・

小さかった頃を 思い出して楽しんでくださいね。

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伝説・民話 ヘビ杉

2022-04-28 12:27:42 | 昔っこ・民話

久しぶりに 秋田の伝説を… お孫さんと一緒にお楽しみくださいね~

 

昔々、船岡の庄内に 松兵衛という木こりが住んでいた。身の丈6尺(約2メートル)もあり、10人力という

まるで、仁王のような大男だった。また、大変な大酒飲みだった。

木こりのくせに、木を切るのは面倒だと 近くの山から 立ち木を根こそぎ抜いてきて 根元の方から

囲炉裏にくべるので 端の方は家からはみ出し、垣根を越えて道をふさいでしまった。

 

ある時、松兵衛は村人に頼まれて ブンナ森の大きな杉を切ることになった。この大杉は庄内からも

見えるほど高く天にそびえていた。村人たちからは、神様の住む木のように思われ 恐れられていた。

松兵衛は、大きなにぎり飯を腰につるし、大マサカリを振り回して、杉の木を切りにかかった。

静かな山々に まさかりの音がこだました。しかし、いかに10人力の松兵衛でも 大人4・5人でも

やっと抱えるような大杉を、一日で切り倒すことは出来ない。日暮れまでかかって

やっと半分、切り込むのがやっとだった。 次の日、松兵衛は朝早く起きて山に向かった。

             

 

「きょうは、必ず倒してやるぞ、こんな杉に3日もかかったといわれては、俺さまの名がすたる」

ところが山に着いてみてびっくりした。昨日確かに半分切り込んでおいたはずの杉の木が

元通りになっているのだ。松兵衛はあまり不思議なので、杉の木にさわってみたり、ぐるぐると

回ってみたりしたが、傷跡一つついていない。 松兵衛は、しばらく首をかしげていたが、やがて大まさかりを

持ち直して、一振り、ふた振り 力任せに切りつけた。昼休みもとらないで、頑張ったがその日も

半分ほどで日が暮れた。 3日目の朝、杉はまた元通りになっていた。

「ややっ、なんとしたことだべ。こんたらごとしていたら、1年かかっても切り倒すことはできねぇ。

 なんとも困ったこった。何としたらええべ」

 

松兵衛は、杉の根元に腰をおろすと、腕組して考えこんだ。やがて昼近くになったころ、松兵衛は

膝をたたいて立ち上がった。松兵衛は近くから杉の葉や 枯れ枝を集めて火をたいた。

ぼうぼうと燃え盛ると 松兵衛は大まさかりを振り上げた。杉の幹はみるみる切り取られていく。

松兵衛は、その切り取られたコッパ(切り取った木片)を、燃え盛る火にくべる。

その日も、半分切り取ったところで終わったが、松兵衛は「これでよし!もう、焼いたから

 元通りにはなれねべぇ。だども、念には念をいれておぐべ」 松兵衛は沢に下りて、

一抱えもある大石を探し出し、それを担ぎ上げて、いままで切り込んだ傷口に どっかと押し込んだ。

その日の真夜中、大地震のような山鳴りがしたかと思うと、家が揺れ、柱も折れるかと思うほど

きしみだした。松兵衛は飛び起きた。見ると恐ろしい大蛇が、家を3巻き、4巻きにし、

大きな目を輝かし、口からは、炎のような舌をはきだして、松兵衛をにらんでいた。

      

              まさかり・へびは、無料イラストよりお借りしました

 

一度は驚いたが、元々力自慢の男だったから、土間にとび下りると、大まさかりを手にして 外に出た。

そして、襲い掛かる大蛇の目をめがけて切りつけた。戦いは2時間以上も続いた。

松兵衛は、最後の力を振り絞って、切りつけた。さすがの大蛇もその一撃で力尽きて倒れた。

松兵衛は、大蛇の死骸をマキのように、プツン、プツンと切って積んだ。それは、高さ4尺(約1.2㍍)

横6尺(約1.8㍍)もある、大きな釜に7杯半ぐらいもあったという。

 

さて、1度はマキのように積んだ大蛇の死骸を 松兵衛は、近くの沢に捨てた。

ところが、その沢に とても美味そうなキノコが生え出した。松兵衛は、きっと大蛇の死骸に生えたものに

違いないと思い、初めのうちは食べなかった。キノコは、年々増えて、いい匂いをまき散らした。

ある年、酔っぱらった松兵衛は、とうとう我慢できなくなって、そのキノコを食べてしまった。

すると、たちまち腹痛をおこし、転げまわって苦しんで、死んでしまった。

村人たちは、大蛇のたたりだと口々に言いあった。

今も、ブンナ森には、大杉の切り株と、切り口に押し込んだ大石が残っている…  

          ―仙北郡協和町―     秋田県国語教育会編

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伝説・昔っこ 坊さんとワラビ

2022-03-01 18:48:37 | 昔っこ・民話

玉米の奥地に一人の旅の坊さんが入ってきた。もう日が暮れてしまったので、今夜はここあたりに

泊めてもらおうと、あちこちの家に頼んでみた。しかし、どこの家でも泊めてくれようとしなかった。

がっかりして、山道を入っていくと、1軒の荒れ果てた小屋を見つけた。小屋の中にはひとりの娘がいて

父親らしい病人を看病していた。病人がいては気の毒だと思ったが、

「もしもし、旅の僧ですが、宿がなくてこまっています。邪魔にならないようにしますから、

小屋のすみっこにでも、泊めてもらえませんかな」と頼んでみた。娘は少しの間考えるようにしていたが

「この通りの小屋で、布団どころか食べ物もないのですけれど、それでもよろしかったら、

どうぞ泊まって行ってください」といってくれた。

 

「いやいや、そんな心配はいりません。ただ夜つゆさえ しのげればいいのですから」

坊さんは、気持ち良く泊めてもらうことになった。翌朝何度も礼を言って、小屋をでようとすると

「こんなものでも良かったら、どうぞ食べていってください」

娘は、きれいに盛った山菜を差し出した。「ほほう。これはおいしいものだ。何というものかな」

「はい。これはワラビと言って、一晩あく抜きして食べるものです」

「娘さん、私をそのワラビの生えている所に 連れて行ってくれないかな」

しばらく娘の顔を見ていた坊さんは言った。娘は裏山に案内して行った。

 

そこには、山一面に、ワラビが生えていた。

「ここに生えているのがワラビです。ここらの山は、どこへ行ってもいっぱいありますよ」

と、娘はいった。坊さんは1本のワラビを採ると、何やらお祈りしていたが

「娘さん、この山に生えるワラビは、あくぬきしなくても食べられるようにしてやりましょう。

それから、きょうのワラビを寝ている病人にも食べさせてみなさい。きっといいことがありますよ」

と言うと、サッサと山を下りて行った。

娘は、またワラビをいっぱい摘んで帰り、あくぬきしょうと思ったが、ふと、さっきの坊さんの言葉を思い出し

お湯を通したままのワラビを食べてみた。すると、不思議なことに苦みがなくなっている。

おどろいた娘は、さっそく寝たっきりの父にも 一口食べさせてみると 今まで死にかけていた病人が

夢から覚めたようにお気あがった。不思議な出来事に娘は泣いて喜んだ。

村人たちはこのことを伝え聞き 誰いうともなくこの土地を、善徳ということになった。 

                             ―由利郡東由利町に伝わる伝説―

今年も寒風山に ワラビ採りに行こう! まちどおしいなぁ・・・

あく抜きしなくても食べられるワラビ あったらいいね。

 

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昔っこ・地蔵様とダンゴ

2022-01-14 15:49:50 | 昔っこ・民話

昔っこ「地蔵様とだんご」を お孫さんと楽しんで下さいね。

 

昔々 あるところに たいしたうめぇダンゴを作る婆さんがいたっけど。

ある日 いつものようにダンゴを作っていると 出来立てのダンゴがころころと 

外へ転がっていくものな。不思議な事もあるもんだと 婆さんはあとをつけて行ったわけだ。

するとダンゴは 地蔵様の前で ピタッと止まったもんだ。婆さんがたまげていると

「婆さん、婆さん こったにうめえダンゴ すまねぇなす」と 地蔵様がいったもんだから

「へば、これから毎日作って持ってきてける」と 答えたんだと。

 

      大内の千体地蔵より

ちょうどその時 遠くから赤いものが近づいて 近づいて来るのが見えたっけ。なんだべと思って

よくよく見ると鬼が近づいてくるところだった。 これを見ると地蔵様は

「まず、俺の背中さ隠れれ。あと何があっても声を立てるなや」と言って 婆さんどこ隠してくれたど。

鬼は地蔵様の前まで来ると 「人臭い、人臭い」といって そごらあたりを見まわしてだども

すぐ ダンゴを見つけて ムシャムシャと食い始めた。したば、あまりうめぇもんだから、

あっという間に全部食べてしまい「なんとうめぇダンゴだった。よし、何か欲しい物けでやる(あげる)」

と、地蔵様にいったわけだ。「へば(じゃ)明日までに考えておくす」って 地蔵様がいうと

鬼はすぐに帰って行った。「何か願い事ねぇか?」と 地蔵様に聞かれた婆さん

「なんもねぇす。たんだ生きている間、うめぇダンゴっこ作っていられれば、それでいいんす」って答えたど。

 

さて、この話を聞いた となりの欲張り婆さん、自分も試してみたくなった。

急いでダンゴを作ると地蔵様の前にどんと置いて 

「鬼が来てこれを食ったら、おらの願い事を鬼さ伝えてたんへ。 おらに宝物 山ほどけてけれってな」

そういうと さっさと地蔵様の影に隠れたもんだ。 そうするうちに鬼が来て、ダンゴを見つけて

喜んで食べ始めた。だども、そのダンゴだば、まんずうまくない。鬼 怒ってしまったものな。

だども、欲張り婆さんは、もうすぐ宝物がたくさん手に入ると思って、嬉しくて 嬉しくて仕方ない。

思わず声を出して笑ってしまった。 その声で、鬼は婆さんに気づいたもの。

欲張り婆さんは とうとう鬼に食われてしまったど。 

優しい婆さんだば、死ぬまでうまいダンゴを作って 幸せに暮らしたど。

とっぴんぱらりのぷう・・・           大館に伝わる民話

                                   由利本荘市大内の千体地蔵

 

北海道や北陸地方・新潟・その他の日本海側の地方の方々へ 豪雪のお見舞い申し上げます。

どうぞ お身体を大事に 無理されませんように。

当地も雪寄せで、体が痛いですが、上の地区ほどでは無いので、楽しているのかも・・・

                               

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民話・ヘビとアブ

2021-11-30 17:07:14 | 昔っこ・民話

むかし、貧乏者の 子だくさんの夫婦がいたんだと。

あんまり、子どもばかり多くて 暮らしが なんとも容易でねがったものな。

そこで、3番目息子の仁助は、「おら一人でもいねば、なんぼか暮らしも楽になるべ」と

誰にもいわねで 家を出たっけど。 ずんずん山道を歩いて行くと 蛇が1匹

だれかに切られて苦しんでいたど。そこで、仁助は持っていた薬こを つけてやった。

したば、なんと傷はすぐに治って 蛇はするするとやぶの中に 逃げていった。

 

もうしばらく歩いて行ったば、アブが飛んで来て 仁助の顔に止まって

血を吸い始めたと。仁助は「アブも腹へらしているべな」と 黙って

血を吸わせてやった。

      

そうして さらにどんどん歩いていくうちに とうとう道に迷ってしまったものな。

「なんと・困ったど。なんとすべぇ」と思っていると、足元にさっき助けたヘビが

出て来て 仁助の前をスルスルと 進んでいくんだと。

そこで、ヘビの行く方さ ついていったんだと。しばらくすると

とある村に出たものな。村ではたくさん人が集まっていて ガヤガヤと

立て札を見ていた。なにかと思って仁助も見てみると、「娘一人さ 婿8人」と

書いてある 婿探しの立て札であった。「おらもひとつ試してみるべ」と思った

仁助は、すぐそこの家に行ってみたわけだ。

 

すると山の大きな 林に連れて行かれ「この林の中に杉が 何本あるか当ててみれ。

きっぱり当てれば、婿にしよう」と 言われたっけど。

「こんな大きな林だば、なんとして数えるってか・・・」仁助が困っていると

アブが飛んで来て耳元で「千本」ってしゃべっていったど。

そこで 仁助も「千本」って言ったわけだ。 したば、「なんとよく当てたこと。

今まで、何人も 何人も来たって、誰も当てられねがった。なんと!たいした頭の

良いことだで。すぐに婿に来てけれ。」とたいした喜びようであった。

この家の娘こは、たいした美人であったし、じぇんこ(銭)も くさるだけ

いっぺあったと。ヘビとアブに親切にしたおかげで、貧乏人の仁助が

長者になったという話。 とっぴんぱらりのぷう・・・『阿仁地方に伝わる民話』

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