昔ある村に、人相を見る坊さまがおった。有る時村1番の金持ち爺さまが、寺に行って
人相を見てもらったと。すると坊さまは 爺さまの顔をまじまじと見てから こう言った。
「気の毒にのう。来年の3月までの命という相が出ておる」
それからというもの。爺さまは屋敷の草取りをしたり、息子に田畑の境界を教えたり
いつ死んでも良いように したくして暮らしたと。 そんなある日、爺さまは墓参りに行ったんだと。
すると、すぐそばの木で 女が二人 首を吊ろうとしている。あわてて止めると年上の
女が泣き泣き話し出した. 「オドが死んで銭っこに困った時、金貸しから1両借りたもの。
だども、返す銭っこに困っていたら 今日、金貸しがやってきて、明日まで返せねば 娘を連れて行くし
残りの米も 味噌も全部持って行くって。明日返す銭っこなのねぇもの。だから オドの墓の
そばで、死ぬことにしたんだす。どうかこのまま死なせてたんせ」
爺さまはたまげて
「なんとたかが1両で・・・。ここにちょうど2両ある。利子を合わせてもこれで 十分だべ。
これを持って行け。余ったら暮らしの足しにせばいい。」と懐の2両を渡してやった。
「ああいいことをした。どれ、お寺の坊さまにも あいさつしていこう」
爺さまが寺に行くと 坊さまは爺さまの顔を見るなり 「おや、長生きする人が来たな」
と いうでねえか。金持ち爺さまはこれを聞いてすっかり ごしゃいで(怒って)しまった。
「何を言うか このクソ坊主。この前は3月までの命と言っておいて、今更長生きもないもんだべ」
すると坊さまは涼しい顔をして
「なに、人は善根を積めば人相も変わって 長生きの相になるものよ。爺さまも何か
いいことをしたんでねえか」
そこで爺さまが墓地での 出来事をしゃべったば 坊さまは
「それじゃ、それじゃ それが善根の功徳というものよ」
と 語ったんだと。良いことをすれば よい報いがあるという話。
とっぴんぱらりのぷう -北秋田に伝わる民話-
*功徳といえるかどうか、わからないですが、父の弟(叔父)二人のお葬式をやってあげました。
連れ合いに先立たれ、県外で孤独̪死していた叔父、現地で火葬し、お骨で連れ帰り
自宅でお葬式を。 もう一人は、施設で亡くなった叔父ですが、火葬場に やっと山梨から
駆けつけた従弟に代わり 亡きがらを引き取り 火葬に関する、役所関係の手続きなどを。
坊さまは、ミルクさんは、功徳を積まれたので、きっといいことありますからと おっしゃいましたが
いいことが、あったとも思えないですが・・・
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昨日
雪景色は きれいですけれど・・・