私には兄が二人いるのだが、小さい時から、お姉ちゃんが欲しくてたまらなかった。
一番上の兄は一回り離れているので兄弟と言うより、お父さん的な存在だったし、すぐ上の二つ違いの兄は私が生まれてくる前から、私の事を目の仇にしてたのではないかと思える程、仲が悪かった。
オヤツをもらう時も、天敵である兄を横目で見ながら、「こいつさえいなければ、全部私のものになるのに」とガッカリした。お姉ちゃんなら、可愛い妹の為に気前よく、自分の分をくれるのではないだろうか?
私が高校一年、天敵の兄が高3の時、取っ組み合いの大喧嘩をした。
それも血を見るほどの殴り合い。最初は口喧嘩から始まったものの、段々エスカレートしていって、日頃の恨みを持つ私は我慢の限界に達し、両手の指で天敵の顔面を力一杯ひっかいた。
伸ばしていた爪のせいで、天敵の顔面には、うっすらと幾筋も血が滲んだ。
すると激怒した天敵は反撃に出て、力一杯、私の横面を張り倒し、そのあげく、私は口の中が切れ、歯こそ折れなかったけれど、双方、流血の大騒ぎとなった。
花瓶は割れるわ、椅子は宙を飛ぶわで、まさに何でもありだった。
騒ぎを聞きつけた母は自分の周りを飛び交う物を器用によけながら、二人が取っ組み合ってるそばで、「二人とも兄弟なのに、頼むから仲良くして~」とおいおい泣いていた。
普通の母親なら、妹に手を上げた兄に怒るだろうに、母は私に「先に手を出した、あんたが悪い!!」と、こっぴどく怒られた。
あれは兄弟喧嘩のうちでも昭和史に残る名勝負だったね~っと正月に皆が集まり、お酒が入ると、必ず、その名勝負の話題になる。
今、私も兄も天敵同志では無くなったものの、顔を見れば、あの時の取っ組み合いを思い出し、戦闘態勢に入ってしまうのが可笑しい。
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