朝炊いたご飯をお弁当に入れ、残った分をおひつに移して
晩に食べる。
家族の人数も少ないので、3合用の小さなおひつを使っている。
関東のおひつは蓋がスッポリはまるタイプ(江戸櫃)らしいが、
関西では写真のようなのせ蓋タイプ(地櫃)が主流だ。
おふきん(日本手ぬぐいの布巾)を間に挟んで蓋をする。
材質は木曽さわら。
さわらは、ヒノキ科の針葉樹だが、ひのきの様に香りは強く無い。
柔らかな香りはご飯との相性が良く、殺菌効果もある。
適度に油分を含んでいるので、水に強くて軽いのが特徴だ。
白木のさらりとした手触りが気持ち良く、
スッと通った木目が美しい。
去年の夏、山登りの帰りにちょっと寄り道して、
木曽路の木工品店で買った。
余分な水分はおひつが吸ってくれるが、ご飯は乾かないし
色も変わらない。
木が呼吸をして水分調節をしてくれる。
冷やご飯になっても、もちもち、しっとりして、
炊きたてよりも美味しいのだ。
手入れはそれ程難しくは無い。
毎日使うので、おひつが空になったら洗って風通しの良い所で
陰干しにして置く。
夜に洗って、蓋を開けたまま放置しておいたら、
朝には程良く乾いている。
ご飯を入れる前に、濡れぶきんでさっと拭くと、黒ずみ防止になる。
家電メーカーの努力を貶める気持ちはサラサラありませんが
米と喰う生活様式や文化から生まれた道具の秀逸さは、
効率を優先した機器の及ぶところではないでしょう。
古いから善いのではなく、時を越えた善いものは普遍です。
布きんや手拭いの効用も、暮しの中から見出された智恵でしょう。
子供のころ、腹を空かせて帰った夕暮れ
お櫃から御飯を取り出し握り飯を作ってもらい、
味噌や醤油を塗った焼きおにぎりを食べた記憶は
どの世代まで共有できるのでしょうか?
まずはお櫃の蓋を開けてました。
(行儀の悪い子供でした)
炊飯器はありましたが、当時の炊飯器には
保温機能が付いてなかったので、
我が家には大きなお櫃がありました。
祖父母と両親に兄弟…今から思えばウチは
大家族だったんですね。
毎朝かつお節削りをやらされたりしましたよ。
子供が削ると、薄く小さく削れるので良いんだ…
なんて言われてね。
お櫃、良いですよ~
ご飯が美味しくなるんです。
炊飯器の保温は即「切り」です。
節電にもなります。