

幼い頃通った教会でクリスマスの劇をやったりしました。クリスマスになると、何か特別の気持ちになるのは楽しかった雰囲気がいつまでも心のどこかに残っているせいかもしれません。教会のおじさんサンタが、袋からノートのようなものを出して、子どもたちに配ってたっけ。
幼いときの幸福な時間は、人生の最初の土台を心の中にしっかりと作ってくれるのでしょうか。
クリスマスには、人のぬくもりが恋しくなりますね。ヴィクトル・ユゴーは、「人生における無上の幸福は、自分が愛されていると言う確信である」と言ったそうです。
誰にも愛されず寂しいと言う前に、自分の一番身近な人を大切に思ってみること。それだけで誰かを幸せにすることが出来る・・・そう考えたら、もう寂しくはないですね。
今から100年以上も前の1897年、一人の少女が、ニューヨークの新聞社に手紙を書きました。
「サンタクロースっているんでしょうか」
それに対して、この新聞社がこのような社説で答えを書いてくれました。

バージニア、あなたの友だちは「サンタクロースなんているもんか」
といってるそうですが、
その子はまちがっています。
このごろは、なんでもかんでも
「そんなのはうそだ」
と疑ってかかる人が多いけれど、その子もそんな疑りやりやさんなのでしょう。
そういう子は、目に見えるものしか信じようとしないし、
自分の頭で考えても理解できないものは、
「あるもんか」と思ってしまうのです。
しかし、自分の頭で考えられることなど、
おとなだって子どもだって、そんなに多くないのですよ。
わたしたちの住んでいる、このかぎりなく広い宇宙とくらべたら、
人間の知識なんてものは小さな虫ていど、
そう、アリのようにちっぽけなものです。
この広い世の中にある「すべての真実と事実」を考えてみたら、
わたしたちが頭でわかっていること、知っていることなどは、
ほんの少ししかありませんよね。

そう、バージニア、サンタクロースはいるのです。
サンタクロースがいる、というのは、
この世の中に愛や、やさしさや、思いやりがあるのと同じくらい、
たしかなものです。
わたしたちのまわりにある愛や思いやりは、
あなたの生活を美しく楽しいものにしているでしょう?
もし、サンタクロースがいなかったとしたら、
この世の中はどんなにつまらないことでしょう!
サンタクロースがいないなんて、バージニアみたいな子どもがいない、
というのと同じくらいさびしいことだと思いますよ。

サンタクロースを見た人は、だれもいません。
でも、だからといって、サンタクロースがいない、といえるでしょうか。
この世の中でいちばんたしかでほんとうのもの、
それはおとなの目にも、子どもの目にも見えないのです。

しかし、目に見えない世界は、一枚のカーテンでおおわれていて、
どんな力持ちでも、力持ちが何十人集まっても、
そのカーテンを、引きさくことはできません。
そのカーテンを開けることができるのは、
信じる心、想像力、詩、愛、夢見る気持ちだけなのです。
そういう心さえあれば、カーテンのむこうにひろがる、
美しく、きらきらした輝かしい世界を見ることができるのです。
そんな世界は幻ではないかって?
バージニア、カーテンのむこうのそんな世界こそが、
ほんとうであり永遠なのです。
サンタクロースがいないだなんて!
うれしいことに、サンタクロースはちゃんといるし、
これからもずっと生きつづけるでしょう。
今から一千年たっても、いえ、その百倍の月日が流れても、
サンタクロースは子どもたちの心の喜びとして、
ずっとずっと、生きつづけることでしょう。
サン新聞 : 1897年9月21日号社説より抜粋
サンタクロースが今も生き続けるように、この社説もまったく色あせず、100年を経てよけいに輝きをましているような気がします。
★ 「サンタクロースっているんでしょうか」(偕成社)
★全文はこちら。
★原文はこちら。
サンタクロースを一時期でも信じることができた子供たちは幸せだと思います。
愛、信頼、ぬくもり、夢、思いやり、笑顔、想像、、。
世界中のすべての子供たちに信じてもらいたいです。
そういう世界を作らなければ。
我が家の子供たちにもいつまでも夢を、と思っていましたが、息子が小3の頃だと思います。息子は、そのときサンタをまだ信じていました。
ところが、同い年の友人が「僕は、お父さんがサンタのプレゼントを押入れにしまっているのを見ちゃったよ。」と言いました。息子は、自分がまだサンタクロースを信じていることを友達に察しられるのが嫌だったのでしょう。無言でした。あきらかにその時初めてサンタは誰?っていうことを知ってしまったようです。6年生の娘がまだ信じていたので、私は息子にも信じていてほしかったのに、残念でした。でも、子供が言ったことだから、責められませんものね。
わりと有名な絵本なので、クリスマスのころは、絵本のコーナーに「さむがりやのサンタ」などといっしょにわかりやすい場所に見つけられるのですよね。
こうして、今読んでも、ヒューマニズムあふれるこの記事は胸がときめきますし、うれしくてなぜか泣きそうになります。
子どもだけでなく大人も、素晴らしい回答をもらいましたよね。
うちの息子も小3くらいかな・・・・友達から自然にわかってきたようです。でもお互い、あえてそこには触れないで、「サンタさんは、もっと小さい子のところへ行くんだね」と、行ってサンタさんからのプレゼントは終わりました。ちょっと寂しかったけど・・・親のほうが(笑)
だって、小2のときは、クリスマスの朝、窓を開けて、「サンタさ~ん、ありがとう~!」って空に向かって叫んでいたんですもの。
金木犀さんの息子さんは、とってもかわいいです!空から来たサンタさんにお礼を言っていたのですね。
金木犀さんの「サンタさんは,もっと小さい子のところへ行くんだね」という言い方も素敵です。
私は,何もいえなかったもの。息子と友達との会話を聞いてないふりをしました。
「サンタクロースっているんでしょうか」という絵本は、近くの図書館にあったと思います。今度借りて、絵もたのしみながら,読んでみようと思います。
当時は、睡眠不足と疲労で、どこが親孝行なのかと思う未熟な母でしたが、今になると本当にその通りだったと思います。小さいときの思い出があるから、生意気盛りもかわいく思えちゃうんでしょうね。
子どもの本はすぐに読めますから、機会がありましたら、ぜひご覧になってくださいね。音読するとまたいいですよ。