あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
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鍼灸治療とエビデンス

2022-12-04 21:00:00 | ブログ
こんにちは🌞日毎に寒くなってまいりました。
日中の陽射しが、本当にありがたいですね😊
毎週日曜日は、院長の自伝です😊

続いてもう一つ、以前私が所属する漢方鍼医会の機関紙に掲載したエビデンス論
議に関わる論文をそのまま記します。

【コラム】
鍼灸治療とエビデンス
 最近鍼灸の世界でもエビデンスと言う用語を聞くことが多くなってきた。エビ
デンス(EBM)とは、科学的根拠に基づいた医療、あるいは臨床結果に基づく医療ということらしい。
 さて鍼灸治療は中国から日本に伝わり消えては又復活しつつ、平安時代に田代三喜により李朱医学が持ち込まれ、
曲直瀬道三らにより後世方派としての治療体系が民衆に指示された。
更に江戸時代には、五代将軍・綱吉の御殿医であった盲人
鍼灸師の杉山和一の管鍼術の考案による『日本人による、日本人の為の、日本の鍼灸』は日本の民族医療として定着した。
然し現在に至るまでその道筋は平穏では無かった。
 明治時代には、多数の戦傷者と伝染病による患者を同一方法で救うことが出来るオランダ医学を採用して
それまで日本の民族を守り続けて来た伝統的『日本の鍼灸』を廃絶したのである。
 昭和の20年代にも大きな波があった。アメリカ進駐軍は、「鍼灸術は科学的医療ではない」と言う理由により、
日本の鍼灸術を抹殺しようとしたのである。この方針に従わなければ鍼灸術は存続出来ないと考えた人たちは古典鍼灸を棄てて、
「鍼灸の科学化」に便乗したのである。
戦後60年余、果たして鍼灸の科学化に一歩でも近づいたのであろうか。
 そして今『エビデンス』なる潮流が渦を巻いている。
科学は「同一条件」でのみ可能である。いつ、どこで、誰が行なっても同じ結果が出たり、
同じことを何回繰り返しても同一成績を得られる治療が鍼灸で可能であろうか。
陰陽五行、虚実補瀉と言う東洋独特の治療を科学的に解明することが出来るので
あろうか。経絡・経穴、気の本態を科学的に実証する方法があるというのか。
漢方医学独特の四診法「望聞問切」から証決定に至る過程を科学的に説明する方法を
見つけ出すことが出来ると言うのか。
東洋的な「物の見方・考え方」の鍼灸術を科学化しようとしても物差しが違う。
なぜならば、「いのち」は「自然」と同様に一時たりとも同じ状態では無い。
五臓六腑から生み出される気も血も津液も常に流動している。更に、流動する「身
体」に鍼灸術を施す「技」も同一では無い。
 治療条件が異なれば、同じ結果は出ない。条件が違えば、違った成績しか現われないのは至極当然である。
 西洋医学に『すりよる』事よりも『日本の鍼灸』独自の生命観を大切にして、
中国で誕生し、多くの先達により樹立され、伝承され、現代に生存し、未来に向
かい人々の生命に安心と安全と健康を与える『日本の鍼灸治療』を守り抜くことが真の姿ではないのか。
 この度、厚労省が「漢方の効き目を科学する処方の指針づくり」を行う。
体質や症状などと、効果との間に一定の法則を見つけることで、科学的根拠の発見と治
療の標準化につなげる意向のようである。今までに約5千件のデータを蓄積した
結果「にきびや汗を伴う冷え性は、漢方が効きにくい」ことが分かったと言う。
果たしてどの様な臨床試験による結論なのであろうか。統計学を科学とするとこ
ろに問題がある。近い将来「にきびや汗を伴う冷え性は、漢方が良く効く」と言
う逆転の結果が出されるであろうと思うのは私だけだろうか。
科学は真理により塗り替えられるが、鍼灸治療により治るという事実は不変である。
 鍼灸治療にエビデンスを求めることよりも、生命を小宇宙と考えて陰陽のバラ
ンスを調整する『治未病』の鍼灸治療こそが真の自然科学であるといえないだろ
うか。西洋医学でも成人病を生活習慣病などと言い換え、日常生活や日頃の養生
に重点を置いているではないか。かたやテーラーメイド医療、かたやエビデンス。
一見すると相反する理論が最新の考え方のように謳われているではないか?テー
ラーメードの最たる鍼灸治療こそ、複雑多様化する疾病構造からいえば,救世主
となるはずである。(漢方鍼医より)

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