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韓国・釜山の慰安婦像はソウルの日本大使館前の慰安婦像と並んで“聖域化”が進んでいる。

2017-02-10 15:19:13 | 日記

【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】

2017.2.10

政治の季節で日本糾弾「聖地」と化す釜山 地方の暴走を放置「反日無政府」顕著に

韓国・釜山の慰安婦像はソウルの日本大使館前の慰安婦像と並んで“聖域化”が進んでいる。

旧正月には女子大生らが伝統服、チマチョゴリ姿で像の前に座って祈る「新年のあいさつ」の様子がニュースになっていた。

韓国政府に釜山の慰安婦、大田地裁の窃盗仏像判決などの地方の勝手を押さえる力はなく、弾劾政局の混乱は反日無政府状態を招いた格好だ。

今後、日本は「竹島の日」や教科書検定で主張すべきを主張するが、これに反発する韓国ナショナリズムを、近づく次期大統領選に利用しようと左派大統領候補が手ぐすねを引いている。韓国は反日に突っ走る恐れがある。

釜山は反日の熱気ムンムン

 釜山の慰安婦像は最近は白地に?の帽子に黄色いマフラー、白にガウンを着ていた。

先週は黄色の帽子に紺のマフラー、オレンジのガウンだった。学生や見物人が後を絶たず、着せ替え人形状態だ。

韓国紙によると、地元の女子大学生らの団体が「少女像守り隊」を結成した。

女子大生らは左派市民運動の一方的な歴史教育を受けており、慰安婦は「強制連行と悲惨な被害者」と信じ込んでいる。

これからは終日、交代で像を守り、訪問者には“悲劇の慰安婦ストーリー”を説明するという。

弾劾政局の韓国政府に、釜山の慰安婦像を動かす政治力はまったくない。

大統領代行の黄教安首相(ファン・ギョアン、59)は「克服できるよう努力する」というのが精いっぱい。

日本の対抗措置への危機感から「公館前の少女像設置は望ましくないというのが国際社会の一般的な立場」と述べた尹炳世外相(ユン・ビョンセ、63)は、

この発言で「親日外相」と非難を浴び、釜山では「尹炳世氏解任」運動が始まっている。

 日本総領事館のある釜山市東区では区庁長(区長)が慰安婦像の保存・管理に「区として乗り出す」と宣言。

そのための条例を制定すると言い出した。

昨年暮れ、像が設置されたときに一度、強制撤去して市民らの猛攻撃を受けた区長は圧力に屈して像を戻したが、これで一躍有名人となり、いまや「自治体が管理するのは当然。

区の予算と人材を投入して必要なら防犯カメラを設置する」と開き直り、条例で像を公共の造形物に指定する方針だ。

釜山が「反日のとりで」になる?

 釜山には反日博物館ともいえる「日帝強制動員歴史館」という植民地時代の「日本の蛮行を広く知らしめる歴史館」があるのだ。

 この歴史館は2015年暮れにオープンし、昨夏に国立歴史館として格上げされた。

地上3階、地下4階の大がかりな施設で発案は親日派糾弾に熱心だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だ。

当時の政府機関「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者ら支援委員会」が集めた遺品や記録物などを中心に展示物を構成している。

当時の炭鉱や慰安所などのジオラマも展示されていて、「被害者の魂をたたえ、忘れないための教育の場」なのだ。

 釜山に作られたのは日韓併合時に釜山港が動員の主な出発港だったためとされ、館には盧武鉉政権時代に集められた関連書類33万件が保管されていて、元慰安婦のインタビュー映像なども公開されている。

 この釜山の政治家といえば、次期大統領候補で支持率トップの文在寅氏(ムン・ジェイン、64)なのである。

弁護士出身の文氏は釜山市の南西、巨済島の出身だが、釜山の弁護士会、人権委員会、労働界、市民団体などの幹部。文氏は盧武鉉政権誕生の立役者だったが、当時、釜山地域選対委員長を務めた。

 文氏は慰安婦問題をはじめとして日韓歴史問題での反日ぶりがつとに有名だ。

すでに慰安婦をめぐる日韓合意を「親日外交だ」と強く批判している。反日を選挙戦に使うのは明白だ。

先月下旬には釜山の慰安婦像を訪れ、「像が寂しがらないよう、ともに守っていこう」などと演説していた。

どうなる窃盗仏像

 長崎県対馬市の寺から韓国人が盗んだ仏像「観世音菩薩」を、「元の所有者」と名乗る浮石(プソク)寺に戻すよう政府に命じた大田地裁の判決は、政府が控訴し仏像の寺への引き渡しはとりあえず止まった。

政府に代わって大田高等検察が寺側へ引き渡しの強制執行停止を申し入れ、地裁がこれを認めたからだ。像は大田の国立文化財研究所に保管されている。

 関係筋によると、「仏像は韓国のもの」と判断した判決も、強制執行停止を認めて寺への引き渡しを判断したのも大田地裁だが、それぞれ担当した裁判官は別で、両判断ともに釜山慰安婦像問題で悪化した日韓関係の影響を受けている可能性があるという。

 韓国では日本の対抗措置への反発が強いため、判決は反日無罪の韓国内の雰囲気の影響を受けた。

一方、引き渡しを止めた判断は、今後、控訴審や最高裁で判断が覆った場合、寺から像の回収が困難となり批判を受ける可能性を考慮したためとされる。

この判決は「法より愛国が優先した」と韓国国内の識者から批判が出ている。

だが、特に地方レベルでは、正論も警鐘も反日ナショナリズムにかき消され吹き飛ばされ、なかなか聞こえない。

(産経新聞編集局編集委員)


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