日本と世界

世界の中の日本

「韓国経済」窮地、これだけの事情 どうなる通貨スワップ? 文在寅政権とサムスンの今後は?

2017-09-30 12:47:21 | 日記

2017.9.30 16:00更新

【ビジネス解読】
「韓国経済」窮地、これだけの事情 どうなる通貨スワップ? 文在寅政権とサムスンの今後は?

産経

韓国経済が“窮地”に陥っている。在韓米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐって韓国企業に対する中国の経済報復が長期化。

米国からは自由貿易協定(FTA)の再交渉を迫られるなど踏んだり蹴ったりだ。

日本との通貨交換(スワップ)協定再開のめども立たず、国内では、サムスン電子副会長の実刑判決を受け、財閥と政権の「政経一体モデル」の弊害も指摘され始めた。

ただ、韓国経済の内憂外患には“自業自得”な面が少なくないようで…。(※9月20日にアップされた記事を再掲載しています)

米のFTA再交渉要求にパニック 8月下旬、米韓両政府はFTAの扱いを話し合う初の特別会合をソウルで開催。

「FTAで対韓貿易赤字が拡大した」と再交渉を求めた米国に対し、韓国側は「FTAとは無関係」と応じず、物別れに終わった。

強気の姿勢を貫く韓国だが、「米国は北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を優先させ、米韓FTA再交渉の要求は来年以降」との甘い読みがあった。

ところが、トランプ米政権がNAFTAと並行して米韓FTAの再交渉を早々と求めたため、韓国側の協議態勢が整わず、政権は一時パニックに陥ったという。

韓国側代表の産業通商資源省の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長は同月初めに就任したばかりで、準備不足も指摘されていた。

このため、米側の要求を精査できず、「とりあえず、反対するしかなかった」という面もありそうだ。

韓国側の強硬姿勢を受け、米メディアは9月初旬、トランプ大統領が米韓FTAの破棄を検討していると報じた。

北朝鮮情勢が緊迫する中、トランプ氏はいったん、判断を先送りしたが、いずれ再交渉を求めてくるのは必至とみられ、韓国側の苦境は続きそうだ。

どうなる通貨スワップ

日本、中国との経済関係も冷え込んでいる。

日本とは昨夏、緊急時に米ドルを融通し合う通貨スワップ協定再開に向けた議論を始めたが、日本政府はその後、韓国・釜山の日本総領事館前の慰安婦像設置の対抗措置として、協議を中断した。

さらに、5月に就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、慰安婦や徴用工をめぐって「妄言」を連発。

「最終的かつ不可逆的」に解決したはずの慰安婦に関する日韓合意を「国民の大多数が心情的に受け入れられない」と強調。

日本の朝鮮半島統治時代の徴用工問題について、「個人の権利は残っている」と述べ、韓国政府として初めて、個人請求権が消滅していないとの判断を示した。

自分勝手な言動を日本政府が許容できるわけもなく、スワップ交渉再開の道は事実上閉ざされている。

通貨スワップは、どちらかの国が通貨危機などに陥った場合、もう一方の国がお金を融通する仕組みだ。

日韓両国は2001年にスワップ協定を締結したが、韓国の李明博(イ・ミョンバク)元大統領が12年に竹島上陸を強行するなど、

日韓関係が冷え込んだ上、朴槿恵(パク・クネ)前政権の「反日戦略」も重なり、15年に打ち切られた。

米国とのスワップも10年に終了。

シンクタンクの韓国金融研究院は、再開に向けて「米国を説得する必要がある」と提言しているが、見通しは全く立っていない。

韓国は現在、約560億ドル(6兆円余り)規模のスワップを中国と結んでいるが、韓国が在韓米軍のTHAAD配備を受け入れ、9月7日に配備が完了したことに、中国は猛反発。10月の満期で途切れる可能性が濃厚だ。

報復措置

中国と韓国は8月24日、国交正常化25周年を迎えたが、中国は今回、韓国側が求めた記念式典の共催を拒否。THAAD配備をめぐって、両国関係の悪化が改めて浮き彫りになった。

中国による韓国への「報復」は特に経済分野に及んでいる。

THAADの配備用地を提供したロッテグループの中国にある系列スーパーの大半は「消防上の理由」などで営業停止に追い込まれ、中国人は他の韓国系スーパーでも「不買」を続けている。

日本総合研究所によると、今年上期(1~6月)の韓国・現代自動車の中国での販売台数は前年同期比約3割ダウン。

向山英彦上席主任研究員は8月3日付のリポートで、「中国の経済報復は当面続く公算が大きく、中国での販売回復には相当の時間を要する」と分析した。

韓国にとって、中国は貿易総額の約2割を占める最大の貿易相手国だけに、大きな痛手となっている。

さらに、中国情報サイト・サーチナによると、7月に訪韓した中国人観光客は前年同月比で約7割も減少。

中国メディア・今日頭条の引用として、「韓国の旅行業界は苦境に立たされている」と報じた。

政経一体モデル瓦解?

共同通信は8月下旬、サムスン電子が2017年に半導体の売上高で米インテルを抜き、初めて首位に立つ可能性が出てきたと報じた。

サーバーやスマートフォン向けメモリーといったサムスンの主力製品の需要が増えているためだ。首位が交代すれば25年ぶりとなり、世界の半導体市場の勢力図が塗り替わる。

絶好調なサムスン電子だが、朴前大統領との贈収賄事件で、事実上のトップである副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告に8月下旬、懲役5年の実刑判決が下った。

ソウル中央地裁は「現代版の政経癒着」と断罪。韓国経済の成長を支えてきた「政経一体モデル」の弊害を指摘した。

韓国では財閥の存在感が圧倒的に大きく、中でもサムスンはグループで輸出の2割を担い、時価総額も約3割を占める。

韓国の歴代政権も、工場向けインフラ整備などを迅速に進め、二人三脚で世界で競争力を高めてきた経緯がある。

だが、韓国の労働者のうち、サムスンを含む財閥に勤める人はごくわずかだ。

判決は「貧富の差を生んだ」と財閥を批判する世論を意識した面も否定できず、革新系の文政権も財閥に厳しい態度を示す。

韓国経済はかつてない内憂外患に見舞われている。

しかし、外交面では、文政権が米中をてんびんにかけ、両国の「韓国不信」を招いたという見方は多い。

国内でも、サムスン電子の贈収賄事件をきっかけに、文政権が世論に迎合して性急に財閥改革を強行すれば、政経一体モデルが瓦解(がかい)し、韓国の成長力が著しく損なわれる懸念もある。

あるエコノミストはこう評した。

「文政権は、日本を除く諸外国への“八方美人”と、国内世論への迎合が見透かされつつある。窮地は自業自得だ」(経済本部 藤原章裕)

NAFTA再交渉 米国、カナダ、メキシコが参加し、クリントン米政権時代の1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)の内容を見直すための協議。

トランプ米大統領がNAFTAの発効により米国の貿易赤字が増えて製造業のメキシコへの移転が進んだと主張し、再交渉を要求した。NAFTA再交渉は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱と並びトランプ政権の保護主義的な通商政策を反映している。(共同)

米韓自由貿易協定(FTA) 米国と韓国が、工業品や農産物などの関税撤廃や規制緩和を通じ自由な貿易を行うための協定。

2007年6月にいったん署名したが、牛肉や自動車分野の非関税障壁などで対立して追加交渉が行われ、12年3月に発効した。

発効5年以内に双方が乗用車を含む90%以上の貿易品目の関税を撤廃する内容。

トランプ米大統領は、米国人の雇用を奪うなどとして否定的な立場を示していた。(共同)


韓国のニートの約半数が学歴戦争の敗者! その数は年々増加

2017-09-30 12:28:27 | 日記

韓国のニートの約半数が学歴戦争の敗者! その数は年々増加

世代別にみると、15歳~19歳が約24万人、20歳~24歳が約47.5万人、25歳~29歳が76.4万人となっており、10代~20代のニートの数が147万人を超えた。

これを人口比で見た場合、15歳~19歳が8%、20歳~24歳が15.4%、25歳~29歳が22.8%となっており、25歳~29歳の層に至っては、5人に1人以上がニートという厳しい現実となっている。

また15歳~24歳の層も、過去3年間の統計を見ると年々その比率は上がっており、当分の間、韓国社会はニート問題に頭を抱えなくてはいけない。

ニートと呼ばれる青少年のうち、中卒、高卒の比率が相対的に高く、特に20歳~24歳のニートのうちの46.6%が高卒未満であることから、進学戦争が過熱する韓国社会のひずみが見て取れる。

© HARBOR BUSINESS Online 提供
 
 ニート問題は国際的にも深刻化している

韓国青少年政策研究所は、彼らが「なぜ働かないのか」についても調査を行った。

その結果、全体の回答者のうちの38%が「遊びたいから」と答え、22.5%が「働く場所がない」と答えた。

研究所のユン研究員は、「(彼らは)今後の進路計画も特にない子たちが多かった。

また進路を決めるための活動についても積極的ではなかった」とコメントし、ニートの青少年たちのうち、所謂「ゲーム中毒者」とされる比率も高かったとした。

◆一方、日本や欧州のニートは減少傾向

韓国のニート比率は、OECDに加盟している35か国の平均を大きく上回っているが、他の国の現状はどうか。

韓国でのニート比率が上がるのとは逆に、日本やEU・イギリスではその比率が減少傾向にある。

日本は2011年調査によれば、15歳~29歳のニートの数が257万人であり、同年齢の人口比率の16.5%となったが、

2012年から徐々に減少し始め、2016年には164万人(同年齢の人口比率の11.3%)にまで下がった。

その理由としては、日本経済の復調により若者の職場の求人が大きく改善したことが挙げられている。

また産休などの制度を採り入れる企業が増え、専業主婦が大きく減少したほか(共働きをしなくてはいけないという現状も想定出来るが)、企業が社員の確保に向け、若者の積極雇用に向けた施策を展開したのもニート減少に貢献している。

東京大学・玄田有史教授は「しかし求職を断念した、消極的な若者たちは依然多く残っており、その数は増え続けている」とし、「家族以外の他者とのコミュニケーションが不足していることが、ニート数増加の根源的な要因、より多くのコミュニケーションの機会を増やす対策が必要だ」とコメントしている。

日本と同様にニートの数が減少傾向にあるEU諸国やイギリスの現状について、シンポジウムに参加した研究員は「失業率の上昇が、全ヨーロッパにおける青少年の雇用や教育、職業訓練を積極的に行おうとする政策に繋がった。

しかし一つの政策ですべてを解決できる訳ではない。効率的に働かない若者たちを社会に引き寄せるためには、育児や休暇制度、教育制度の充実や障がい者対策など、特性や要望に応じた多角的な政策が必要だ」と述べた。

日本では「ゆとり世代」、「さとり世代」と揶揄される若者たちではあるが、ニート問題の根源は、その若者たちの精神世界にあるのではなく、その若者たちが生活する社会の中にある。

韓国であれ、日本であれ、一度失職したら中々職業復帰が出来ない状況であったり、また適切な時期に就職の機を逸すれば就職難易度が大幅に上がったりするような社会システムでは、ニート問題の解決は難しいだろう。

しかしそれよりも深刻な問題の本質は、若者たちが「自身の夢」を持てなくなったことであるのだが。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>


韓国国民は、迫り来る経済の構造リスクに気づいているのだろうか。

2017-09-29 19:27:08 | 日記

 勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2017-09-29 05:00:00

韓国、「3大リスク」家計債務・高齢化・失業率を解決できるか

S&Pはすでに警戒している

 閣僚に教授経験者を揃えたが

  韓国国民は、迫り来る経済の構造リスクに気づいているのだろうか。

  朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、性格的に「人見知り」であったゆえに、「不通大統領」と言われて敬遠されてきた。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朴氏とは打って変わって「外向的」だ。腰は低くいつもニコニコ顔。

人気の高まるのは当然であろう。まず、その人気ぶりを示す記事を紹介する。

  「文大統領の人気はトップアイドルを彷彿(ほうふつ)とさせる。芸能界の熱狂的ファンとよく似ている。

支持者は大統領を『私たちのイニ』(イニは大統領の名前の愛称)と呼ぶ。

大統領の登山服、履き古した靴に甲論乙駁(おつばく)状態だ。

文在寅グッズも人気を集めている。

人気作曲家がつくったという大統領にささげる曲まで登場した」

(『朝鮮日報』9月17日付コラム「批判なき文在寅ブーム」)

  文氏の人気は大変なものだ。

時給の最低賃金は、2020年に約1000円に引上げる。

公務員を17万人増やす。

非正規雇用は正規雇用にするなど、国民ウケする政策をズラリと並べた。「ポピュリズム全開」という感じである。

  だが、韓国経済を襲う大津波の兆候が見え始めている。

皮肉にも、文氏の大統領就任がそのリスクを高める要因になりそうだ。

具体的には、「所得主導経済」である。

最低賃金の大幅引上げに象徴されるように、賃金だけを引上げても韓国経済は好循環過程に移行できるものではない。

この点は、私もブログで一貫して主張している。

所得が増えるには、企業の生産活動が活発でなければならない。

ところが、文政権は「反企業主義」である。企業性悪論に立っているから、企業はできるだけ規制しておかなければならいと見ている。

この「反企業主義」の下では、所得は増えないのだ。この理屈を次のコラムが説明している。

  「世界で250万部売れた『マンキュー経済学』は、そのうち30万部以上が韓国で売れた。

この教科書は一様に、『所得は成長の結果であり、成長の源泉でない』で教えている。

これほど熱心に経済学原論を勉強してきた韓国で、所得が成長の源泉という正反対の所得主導成長論が通じるのは本当に驚く」

(『中央日報』9月13日付コラム「経済学原論と正反対の危険な所得主導成長」)

 『マンキュー経済学』とは、懐かしい書名だ。現政権のトップは、この経済書を読んでいないのだろう。

この書は、1998年に米国で出版されて以来、世界的なベストセラーになっている。

日本語版邦訳は私の古巣、東洋経済新報社である。

文政権は、経済学の常道から外れた「所得主導経済」なるものを実験しようとしている。

結果は、「失敗」という形で「文人気」に水を掛けることになろう。

失敗が分かっていて突進するのは、「カミカゼ経済政策」と言わざるを得ない。

 韓国経済は、これまでの「成長神話」が崩壊した。

戦後の急成長は、日本からの技術と資本の応援があったからだ。

そのことを完全に忘れて、「慰安婦だ」、「徴用工だ」と日本批判に余念がない。

日韓には深い溝ができており、ここ数年は日本企業と韓国企業の交流が断絶してきた。

これが災いして、韓国企業は世界の技術動向から置き去りにされた。

まさに、「反日」が、韓国経済の墓穴を掘った。謙虚でなかった報いを受けているのだ。

  S&Pはすでに警戒している

 『中央日報』(9月15日付)は、

「韓国、格付けを脅かすのは北核より家計負債」と題する米国格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のキムエン・タン常務(アジア・太平洋地域の格付け総括)のインタビュー記事を掲載した。

  この記事では、韓国経済の抱える構造上の問題を指摘している。

家計債務・高齢化・青年失業率の三大リスクである。

これら問題が、文政権の掲げる「所得主導経済」によって解決できるとは思えない。

それほど根が深いのだ。

解決へのヒントは、次の点に要約できる。

規制緩和による経済活性化が大前提だ。

最低賃金を引上げて解決できるような小手先の問題でない。

はっきり言えば、アベノミクスの精神を見倣うことである。

(1)「韓国経済にとって長期的には、3つの課題が横たわっている。

①この2年間に急速に増えた家計負債の問題。

②高齢化問題も時間の経過とともに目立ってくるはずだ。

③青年失業率は経済だけでなく長期的に政治的な影響があるだろう。

若者が就職できない。また、就職が期待に及ばなければ政治的な余波が生じるものと見られる。所得不均衡も深刻化している」

  S&Pは、韓国経済の抱える三大リスクとして、次の点を上げている。

 ①  過去2年間に急速に増えた家計負債の問題。

 ②  高齢化問題は今後、時間の経過とともにさらに目立ってくる。

 ③  高い青年失業率は、経済面だけでなく長期的に政治面不安問題として影響する。

  以上の三点を並べると、韓国経済が危険な状態にあることは、誰にも分かるはずである。

こうした構造問題にメスを入れなければ、いずれ破綻するに違いない。

構造問題にメスを入れるとは、脱「既得権益」を鮮明にすることである。

文政権は、財閥制度の合理化を旗印に掲げている。

もう一つ、既得権益集団である労組に対しては手つかずである。

労働改革は、産業構造の変化に合わせて行なわなければならない。

だが、労組が文政権の強力なサポートをしてきた。この切っても切れない関係が、韓国経済の合理化を阻んでいる元凶である。

 (2)「家計負債の増加問題は、政府が選択できる政策手段を制限するというマイナスがある。

家計負債が増えれば、その負債返済が優先されるので可処分所得が減る。

可処分所得の減少は、個人消費を減らすので企業の売り上げが落ちる。

そうなると、企業は設備投資を抑制する。

銀行の貸出先が減るので、不動産業への貸出も縛られる。

政府が不動産業の振興を展開できる余力が減る。

こうして、不動産価格が急落すれば、銀行は担保価値の目減りが起こり銀行経営が不安定になる。

すぐにこういう一連の影響を及ぼすのだ。しかし2、3年以内は格付けに影響は与えないだろう」

韓国の家計債務の増加要因は、不動産購入に伴う借り入れが大きな理由だ。

韓国の家計は、資産(純資産)構成で不動産比率が極めて高いのだ。

実に74%にも達している。米国の35%、日本の44%と比べて異常な高さである。

韓国人が不動産所有にこだわるのは、金融資産へのなじみが薄いという側面もあろう。

金融資産であれば、負債が増えるはずもない。

一度に高額の支払いがないからだ。

韓国社会全体が、儒教という過去回帰型文化ゆえに、不動産を珍重して金融資産に興味を持たないという性向が強いのであろう。

その点、日本がNISA(少額投資非課税制度)によって、金融資産へ国民の関心を誘導していることは効果的である。

  (3)「ベビーブーマーが引退後に個人事業をしたり、家賃を受けて生活するために家を買おうと融資を受ける。

どんな事業であろうとリスクはある。

しかも韓国では中小企業と自営業者の実績がそれほど良くない。

資金を借りて事業をしても所得として戻ってこないことがある。

高齢化で国内の需要が減れば賃貸料も減り、住居価格自体も落ちるリスクがある。この場合、韓国の家計が悪化するだろう」

  2016年の人口構成比で、韓国は高齢層が若年層を初めて上回った。

韓国統計庁によると、16年11月1日時点の総人口は前年から0.4%増の5127万人で、

うち65歳以上が678万人(13.22%)、0~14歳が677万人(13.20%)だった。

韓国の高齢者の半数は、後述の通り貧困層に当たるとされる。それだけに、高齢社会の韓国経済に与える影響が懸念されている。

 老後資金づくりは、理想を言えば年金に頼ることが基本だ。

韓国では、年金制度が未成熟である。

年金受給が可能な高齢者の78%は、年金を全くもらえないか、年金をもらっていても受給額が月25万ウォン未満(約2万5000円以下)に過ぎない。

老後の生活に備えるべき資金が、子どもの教育費に消えてしまう例も多い。

最近も、子どもから米国の大学院留学費用を支払へという裁判が起こされ敗訴した例がある。

何と、1100万円も支払えという訴状だ。こういうあり得ない話が出るほど、韓国社会は非常識な面がある

  韓国では、親が子どもの教育費を工面して大学を卒業させても、満足な就職先はないのが現状である。

この問題は後で取り上げるが、歳をとった親は生活苦、大学を出た子どもは就職難。

まさに、地獄そのものであろう。

この状態をいかに突破するか。

労働改革の必要性がここにあるのだ。労働組合は、既得権益確保のために一切の労働改革を阻む。余りにも身勝手で「むごい」話だと思う。

  日本の高齢者は恵まれている。

日本の高齢化対策は世界4位である。

米コロンビア大や南カリフォルニア大の研究者が開発した、高齢化対策指数の「ハートフォード・インデックス」によると、

①ノルウェー、

②スウェーデン、

③オランダ、

④日本、

⑤米国である(『ロイター』9月7日付け)。

日本は、福祉先進国の北欧諸国に次いでいる。このランキングは総合指数であり、高齢者が健康な生活を十分に送れるかどうかを判定したものだ。

  閣僚に教授経験者を揃えたが

 『中央日報』(9月15日付)は、S&Pアジア・太平洋地域韓国企業信用評価チームのパク・ジュンホン・チーム長の見解も報じた。

  (4)「S&Pは、家計負債と人口構造変化、高い青年失業率など構造的リスクを国家信用等級に影響を及ぼす長期的変数だと判断した。

タンチーム長は、『韓国は教育に対する投資が依然として高いのに青年失業率が上昇している』とし、

『若者層が職を得ることができる方向で教育投資が行われなければならない』と話した。

S&Pは昨年8月、韓国の国家信用等級をAA-からAAへと一段階上方修正した後、同水準を維持している」

  繰り返しになるが、韓国経済の三大リスクについて、S&Pは①家計負債、②人口構造変化、③高い青年失業率を上げている。

これらの項目をじっと眺めると、共通因子の存在に気づくだろう。

つまり、高学歴の教育を受けながら、それを生かす方法を知らないという皮肉である。

「反日」では国を挙げて日本を糾弾するが、韓国自身が抱える矛盾点には、誰も気づかずにいることだ。

これこそ、保守回帰型文明の落とし穴である。

  韓国の高学歴を生かすには、「イノベーション能力」を高めることだ。

それには、諸々の規制を外すことである。

文政権は、「反企業主義」であって規制を強める方向を目指している。

これが、そもそも間違いである。企業は抑制対象でなく活性化させてこそ、初めて成果が上がるもの。その点で、文政権には多くを期待できないのだ。

  文政権では大学教授を多数、閣僚に任命している。典型的な学歴政権である。

これでは、抽象的な議論に終始して一歩も先へ進むまい。

ちょうど、大学の教授会を思い出せばいいだろう。韓国の大学教授会は、どうなっているか不明だが、一般的には「教授会万能主義」である。

教授会が学部の人事権すら持つという、「治外法権」的な例が多い。韓国政府が、こういうムードに流されているとすれば、「イノベーション」にはほど遠いであろう。

  8月の失業率は前年同月と変わらず3.6%だ。

このうち若年層(15~29歳)の失業率は9.4%で前年同月比0.1ポイント悪化。金融危機に襲われた後の1999年8月の10.7%に次いで最も高い水準である。

若年層は、多くが大学卒である。

日本の昭和初期(金融恐慌時)に大卒失業者が多く出たとき、「大学は出たけれど」という歌が流行った。

今、韓国にそれが起こっているのだ。韓国は大不況でなくても、大卒者の失業率が10%近い社会である。

これは、韓国社会が構造的な問題を抱えている証拠である。

その病根は、社会の閉鎖性にあるはずだ。

既得権益を固守する層が強い権力を握っている。「反日」をやる暇があれば、国を挙げて究明すべきことであろう。

  韓国では、多くの大学卒業者が公務員を希望職種に上げている。

卒業後、2年や3年は「就職浪人」が当たり前という社会では、「高学歴」が企業活動に生かせる余地がない。

親が、老後資金まで子どもの教育費につぎ込んでも、「リターン」は期待薄とすれば「親子共倒れ」になる。

韓国最大の矛盾はここにある。

韓国政府が、「教授会」まがいの陣容を構えても、議論するだけで結論は出ないに違いない。インテリ特有の弱さである。

  (2017年9月29日)

 


【民営化10年 郵政の苦闘(下)】

2017-09-29 17:35:05 | 日記

 【民営化10年 郵政の苦闘(下)】
大型M&A 繰り返せぬ失敗 収益力強化へ「有効な手段」
産経
 
「本当にシナジーがあるんですか。あるのなら数字で出してください」

 日本郵政が昨秋から進めていた野村不動産ホールディングスの買収交渉。

しかし、慎重な意見も根強く、ある社外取締役は、経営陣にこう詰め寄ったという。

自民党議員からも「(買収は)マネーゲームではないか」と指弾された。

結局は売り手側と価格が折り合わず、白紙撤回された。

 交渉が表面化した今年5月は最悪のタイミングだった。

日本郵政は約2週間前に、平成29年3月期連結決算が民営化後初の最終赤字となる見通しを発表したばかり。

その主因が別の大型買収の“失敗”だったからだ。

 27年2月18日、日本郵政の西室泰三社長(当時)は、約6200億円の巨費を投じ、オーストラリアの大手物流会社トール・ホールディングスを買収すると発表。

西室氏は記者会見で「グローバル展開を考えると最高のパートナーだ」と胸を張った。

しかし、その後、資源価格の低迷などでトールの業績は不振に陥った。

 買収額が買収される企業の純資産を上回った場合、その差額は「のれん代」として買い手企業の資産に計上されるが、買収した企業の業績が悪化すると目減り分を取り崩す必要が出てくる。

日本郵政は、残っていた4千億円ののれん代を一括で償却。この特別損失により、29年3月期は最終赤字に転落した。

 西室氏はすでに退任しているが、同じことを繰り返すわけにはいかない。内部から慎重な声が出るのは当然だった。

 それでも、日本郵政が一時、野村不動産の買収を目指した理由は何か。

それは、郵政民営化法を読めば容易に想像がつく。

日本郵政は日本郵便のほか、上場するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を主な子会社としているが、法律では日本郵政が持つ金融2社の株式について「その全部を処分することを目指す」としているのだ。

 日本郵政グループの経常利益の9割超は金融2社がたたき出している。

旧郵政省(現総務省)出身者を中心に、金融2社を手放すことへの危機感が強いという。

日本郵便は子会社であり続けるが、国内郵便事業は成長性に乏しい。

国際物流事業の強化のために買収したのがトールで、不動産事業強化のために傘下に収めようとしたのが、野村不動産だった。

    ◇  ◇

 のどかな田園風景が広がるある地方。地元の人がそこかしこで「売り出すらしいね」とささやき、ヤギを連れた女性が「私も気にした方がいいでしょうか」と関心を示す。

 今月中旬、こんなテレビCMで周知がはかられたのは日本郵政株の2次売却だ。

政府が保有する郵政株を売却するのは27年11月の東証1部上場以来、1年10カ月ぶり。

赤字決算などで見送られる可能性も指摘されていたが、政府は今月下旬、約1兆4千億円分の売却に踏み切った。

財務省幹部は「直近の決算(29年4~6月期)が黒字で、中期経営計画も堅調に進んでいる」と説明、新年度の業績の進(しん)捗(ちょく)が判断材料になったと示唆する。

 29日に新しい株主に受け渡され、政府の保有比率は80%超から60%弱に下がる見通し。日本郵政は少なくとも、数字のうえでは脱・国有化に一歩近づく。

    ◇  ◇

 今後の焦点は、金融2社株の追加売却に移る。

売却が進むと、日本郵政は巨額のキャッシュを獲得する一方、両社がもたらしてきた利益はグループ外に流出する。

日本郵政の長門正貢社長は「郵便だけを持つ会社になることを考えると、何らかの売上高のカバーが必要。M&A(企業の合併・買収)が有効な手段であることは変わらない」と強調する。

トール、野村不動産と苦杯を味わってきた大型買収で「3度目の正直」となるか。地道な収益改善策とともに、民間企業らしい次の“一手”にも注目が集まる。

(この連載は高橋寛次、大坪玲央が担当しました)

 

小池都知事率いる「希望の党」に全く希望が見えない理由

2017-09-29 17:09:54 | 日記

小池都知事率いる「希望の党」に全く希望が見えない理由

安倍総理が衆議院の解散を表明するやいなや、25日、小池百合子東京都知事が新党「希望の党」の立ち上げを発表した。

そして、驚くことに、野党第一党である民進党が希望の党への事実上の合流を一方的に決めた。

有権者にとって新しい選択肢が増えることは望ましいことかもしれないが、「改革保守」という抽象的な理念と「日本をリセットする」というふわふわとした目的を掲げ、現職議員が寄せ集まった新党に、果たして希望はあるのか。

(政治ジャーナリスト 黒瀬徹一)

よくわからない「国政への関与」の目的小池都知事は何がしたいのか

日本をリセットする――。

「希望の党」立ち上げの際に小池都知事の言葉を聞いた時、《どこかで聞いたことがあるな》と感じた。かつて大阪維新の会が国政に進出する際に掲げた「グレート・リセット」という言葉に酷似している。

リセットだけではない。その他にも「しがらみのない政治」など、どこかで聞いたことのある“使い古された言葉”のオンパレードだった。

正直、小池都知事が何をしたいのか、よくわからない。何のために国政に関与するのか。

国政に勢力を持つことは「都政運営にもプラス」という意見もあるが、国政で与党になるならともかく、少数政党を国政に保持したところで、あまり意味がない。

日本維新の会の歴史から見ても明らかなように、地方政治が国政の政局に左右されてしまい、むしろ都政の運営が困難になるだろう。

例えば、2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックの準備を円滑に進めるためには、政府との協調は欠かせない。

新党を立ち上げたところで、国政で勝てる議員の数は限定的である。

下手に少数政党を作っても、自民党からの“裏切り者”と一緒に選挙をかき乱せば、当然自民党・公明党との間に禍根を残してしまうだろう。

都議会でも小池都知事の動きへの苦言が相次いだ。

それはそうだ。都議選の後、「知事職に専念する」として都民ファーストの会の代表を退いたにもかかわらず、舌の根も乾かぬうちに、今度は「国政政党の代表をやる」と言い出したのだから。

端から見れば、単に小池人気を背景にした政治屋たちの「議席とりゲーム」にしか見えない。

もしくは、「実は、現職の衆議院議員の中に倒したい敵がいる」など、表に出せない裏目的でもあるのだろうか、と勘ぐってしまう。

正直、筆者は希望の党の設立、そして民進党との合流に全く希望を見いだしていない。その理由を論じたい。

改革保守とは何か政治の世界に蔓延する抽象ワード

小池都知事の会見では抽象ワードばかりが並んでいた。例えば、希望の党は「改革保守」らしい。

あたかも一般的な言葉のように普通な顔でシレッと説明していたが、「改革保守」とは何なのか。読者の中で、きちんと説明できる方がどれだけおられるだろう。もしおられたら、TwitterやSNS上ででも、ぜひ教えていただきたい。

そもそも、日本を「リセット」するのに「保守」とは言葉そのものに矛盾を感じる。

保守という政治概念は、日本においては、戦後、自由民主党が結党される時に確立したと考えている。

冷戦時代の1955年、分裂していた社会党が統一されたことに危機感を覚えた自由党と民主党が合併した、いわゆる「保守合同」である。

ここで言う保守とは、あくまでも社会主義・共産主義が輝いていた(脅威として君臨していた)時代において、資本主義・自由主義体制を保守しようという意味の言葉であって、今の時代にはもはや死語と言っても過言ではないだろう。

改革という言葉にしても、政治家というものは皆一様に「我こそが改革派」と謳うものだ。

「我こそが既得権益」と名乗る人はいない。

筆者はとある政党の候補者が「既得権益と戦う!」と駅前で演説しているのを聞いて、素朴に「既得権益って具体的に誰ですか?」と尋ねてみたことがある。

その候補者は返答に困り、「いや…既得権益は、今の世の中で得してる人です」と抽象的なことしか答えなかった。

新党が掲げる具体的な政策は「情報公開」くらい。

しかし、築地・豊洲問題の決着に関する情報公開は、関係者が満足するレベルのものだったろうか。

都知事選や都議選で掲げた具体的な大義と比べて、今回の国政進出における意義は全く見えない。

東京10区の仁義なき戦い選挙調整に注目

ところで、希望の党設立まで新党を模索していた若狭勝衆議院議員はどういった人物なのか。

若狭氏は、元検察官・弁護士の肩書きを持つ。2014年12月の衆院選では選挙区は持たず、比例単独で初当選した。

その後、小池百合子都知事が東京都知事選挙へ出馬するため衆議院議員を辞任したことに伴って、空席となった東京10区で実施された補欠選挙で自由民主党から出馬し、当選した。

したがって、議員歴は3年弱。東京10区での活動歴は1年にも及ばない。だから、知名度も低い。多くの方が「この人、誰?」と思ったのは自然の反応なのだ。

自由民主党からすれば、小池都知事に裏切られ、空席を埋めるために公認した若狭衆議院議員にも裏切られたことになる。

東京10区は元小池都知事の選挙区だから、小池人気にあやかった方が選挙に強いという判断かもしれない。

だが、ここで自民党が“刺客”を放てば、正直、勝負はわからない。

前回の補欠選挙で若狭氏が獲得した票は7万5755票。一方、民進党は4万7141票を得ており、過去2回の衆院選を見てもこの票数は安定している。

民進党が解党的に希望の党への合流を決定したことで、有権者がどう判断するかが全く予想できなくなったため、東京10区は激戦になるだろう。

去年自民党で当選したばかりの人が、今度は違う方の政党で出馬する。有権者はそのことをどれだけ許容できるだろうか。

政治屋たちの希望の党自民党を倒す本気さは伝わるが…

次に、若狭議員以外の新党に合流する議員の顔ぶれはどうなのだろうか。

まず、小池都知事の威光の恩恵を強く受ける東京から見てみよう。

 ・東京3区(品川区、大田区、島嶼部)の松原仁衆議院議員。

 ・東京9区(練馬区)の木内孝胤衆議院議員。

 ・東京21区(八王子市、立川市、日野市、国立市、多摩市の一部、稲城市の一部)の長島昭久衆議院議員。

この3人の議員の共通項は、元民進党という以外に、皆、小選挙区では勝てていない、ということが挙げられる。木内議員に至ってはほぼダブルスコアで敗退している。

確かに、東京都議会議員選挙で都民ファーストの会は大勝した。しかし、だからと言って、「民進党」から「希望の党」へ看板を変えたからと言って、国政における支持が集まるほど話は単純ではない。

例えば、東京3区であれば、自民党の候補は石原宏高衆議院議員だ。

知名度も高い石原議員を「希望の党」という看板だけで倒せると思うのは甘い考えだろう。

さらに、東京以外の選挙区となると、比例枠狙いの“政党サーファー”ばかり。

埼玉県の行田邦子参議院議員は民主党からみどりの風を経てみんなの党へ渡った後、日本を元気にする会を経て希望の党へやってきた。

日本のこころの中山恭子参議院議員は、元は自由民主党から比例で参議院議員に当選したが、夫の中山成彬が自民党から離党することを決めると、夫にくっついて自らも自民党を離党し、たちあがれ日本へ合流した。

その後は、太陽の党、日本維新の会、次世代の党、日本のこころを経て希望の党へやってきた。

行田議員と中山議員がよくわからない「改革保守」の旗印の下、並んで座っていること自体、筆者には全く理解できない。もはや政治信条は関係ないとしか思えない。

「なんとしても自民党を倒したい」という本気さは確かに伝わってくる。そのための選挙戦略としては取り得る中では、“最強の戦略”かもしれない。

ただ、なんのために自民党を倒すのか、自民党の政策の何をどう批判しているのか、がさっぱりわからない。

「改革保守」とか「しがらみ脱却」やら、抽象的なキャッチコピーではなく、具体的な政策議論がほしい。政治屋にとっての希望は、有権者にとっては絶望でしかない。

選挙における主役は有権者だ。

誰の希望を叶える党なのか、具体的なビジョンを示してもらいたい