韓国、高揚感なき経済成長、半導体頼みの構造的脆弱
産経
2017年11月9日
半導体需要の好影響はなにも韓国にとどまらず、日本も同様だ。
アジア太平洋研究所が8月に公表した17年度の関西の実質域内成長率は半導体関連や電子部品などの輸出と訪日外国人による爆買いが後押しし、前年度比1・9%増になると予測。
5月の前回予測から0・5ポイント引き上げている。
世界半導体市場統計(WSTS)は、17年の世界の半導体販売額予想を前年比11・5%増の3778億ドル(約42兆円)と過去最高を見込む。
半導体の世界シェアで上位にある韓国メーカーに恩恵がとりわけ色濃くあらわれ、韓国経済が潤っているわけだ。
米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に伴う観光産業への打撃も、こうした大手企業の業績改善で緩和されている。
最低賃金の引き上げで生産性低下のリスク
しかし、好調の輸出に対して内需の柱である消費はさえない。
韓国のGDPの7~9月期の民間消費は0・7%増にとどまる。
所得が大きく増えない中で「時限爆弾」とも呼ばれる家計負担が膨張するばかりで、破産連鎖の危機感は強まっている。
韓国・ハンギョレ紙(日本語電子版)は社説で「経済全体が活気を取り戻す好循環にはまだほど遠い」と指摘。
家計負債の膨張と就業者数の伸び悩みが改善されない状況などを課題にあげる。
聯合ニュースによると15年、16年に続き今年も家計負債の増加率が二桁にのぼる見通しで、今年末には1450兆ウォンを超えるとされる。
政府は住宅融資を絞り込み負債圧縮に努める方針だが、一歩間違えると住宅市場を急激に冷え込ませる恐れがある。
建設投資は景気の一翼を担っており、雇用の受け皿でもある。
また文在寅政権は最低賃金の引き上げなどで家計の可処分所得を引き上げ、経済を底上げするシナリオを描くが、これも副作用を伴うリスクがある。
経済協力開発機構(OECD)加盟の35カ国中、韓国の労働者1人あたりの労働生産性は28位と低位にあるという。
韓国の1時間あたりの労働生産性が約32ドルであるのに対して、
米国(約63ドル)、日本(約41ドル)など多くの国が自国より上回っていると韓国経済新聞(電子版)が報じ、
そのうえで、最低賃金の急激な引き上げが労働生産性を一段と低下させる可能性を懸念した。
絶好調の半導体市場のおかげで高成長を演出している韓国だが、いつまでも市場の好況が続くわけではない。
技術革新や更新で半導体需要の拡大・減退を繰り返すシリコンサイクルがいつピークを過ぎるのか不透明だ。
半導体販売予測について、WSTSは18年は2・7%増、19年は0・2%減と予測する。
浮き沈みにする市場の上であぐらをかいていると、韓国経済には大きなヒビが入るかもしれない。
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