「集団自殺」に向かう韓国【イ•ハクヨン論説顧問コラム】
1/5(水) 9:54配信
「集団自殺」に向かう韓国【イ•ハクヨン論説顧問コラム】
韓国の出生率の急落ぶりがはっきりしていた2009年7月、チョン·ジェヒ保健福祉相(当時)が、有名な語録を残した。
「北朝鮮の核より恐ろしいのが少子化問題だ」。
出生率を高める行事に参加し、「今の時期は国家準非常事態」とも述べた。
2008年、韓国の合計出生率(15~49歳の女性一人が一生に産む平均子女数)が1.19人に落ち込んだことを緊急問題としみなした。
人口維持に必要な最小出生率(2.1人)の半分になったからだ。
○「人口消滅する初の国家」 「核より怖い」は大げさすぎないか、と思った。
しかし、チョ·ヨンテソウル大学教授チームの報告書は、そうではないと指摘する。
今のペースの低出産が続けば、韓国の人口は2100年に1000万人以下に減り、
2305年には韓国人が、地球上から姿を消すという計算が出た。
韓国より先に少子化危機が始まった日本の人口消滅年度(2800年)よりはるかに早い。
2006年、英オックスフォード大学人口問題研究所のデービッド·コールマン教授は「地球上の最優先消滅国家第1号」に韓国を挙げた。
2020年に0.84人にまで落ち込んだ出産率は「チョン·ジェヒの警告」より恐ろしい現実をつきつける。
1971年に100万人を超えていた新生児数は、02年には49万人あまりに減り、20年には27万2000人と再び半分に減った。
人口減少は、単に「人数が減る」という問題ではない。
少子化と同時に進む高齢化により、人口構造が既存のピラミッド型から逆ピラミッド型に変わり、社会システムを根こそぎ覆してしまう。
韓国は、わずか38年後の2060年、全人口の中間年齢が61.3歳になり、働く人1人が老人1人を食べさせなければ(老年扶養比91.4%)する世界最初の国になる。
経済をはじめ、教育·国防·企業·年金制度など、国を支えるほぼすべての部門が大混乱に陥る。
2017年に韓国を訪問した当時のクリスティーヌ·ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が、韓国に「集団自殺社会」(collective suicide society)という直撃弾を飛ばした理由だ。
歴代政権がこうした「集団自殺」に対し、手をこまねいてばかりいたわけではない。
出産·保育段階から各種支援と補助金を増やし、出生率を高めるためのそれなりの政策を展開してきた。
2006年から15年間つぎ込んできた少子化関連予算だけでも、380兆ウォン(約37兆円)を超える。
にもかかわらず、出生率は、断トツで世界最下位に落ちた。
少子化対策にとどまらず、逆ピラミッド人口構造時代に備えた中長期的眼目の国政転換が急がれる。
4か月後に5年の任期が終わる文在寅政権は、この点で最大の批判を受けなければならない。
緊迫した人口危機に備えて社会システムを改革し、財政基盤を強化するどころか逆に走った。
2016年までは400兆ウォン(約39兆円)を超えなかった国家予算を大幅に増やし始め、今年の予算は607兆ウォンに増やした。
増やした金額の相当額を一度配分すれば後戻りできない福祉制度の拡充や公務員の大幅な増員など、長期にわたって国に財政負担をもたらす分野に投入した。
毎年莫大な借金をして予算を投じた結果、堅固だった国家財政基盤まで崩壊した。
国の負債が今年だけで108兆ウォン(約10兆円)増え、国家負債比率がGDP(国内総生産)の50%を超えることになった。
それだけではない。国内外の専門家の指摘に目を背け、「無条件の脱原発」を推し進め、国家エネルギー百年大計の根本を崩した。
そんな文在寅大統領が、新年のあいさつで「渋滞に巻き込まれた道を作り、大韓民国が世界の模範国家になった」と自画自賛した。
一握りの左翼運動家の背中に乗った独善的な国政を5月の任期末まで続けようというのだ。
さらに絶望的なのは、次期大統領選候補らの言動だ。
「民生」「公正」といったスローガンだけを並べ、「50兆」「100兆」などの「ばらまき競争」で国民の心を混乱させている。
緊迫した危機である「人口減少大災害」にどう対処するという大きな絵は見られない。
米作家ジェームズ·クラークは「政治屋(politician)は次の選挙を考えるが、政治家(statesman)は次の世代を考える」と述べた。
政治屋だけが溢れるこの国が嘆かわしい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます