勝又壽良の経済時評
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2019-03-13 05:00:00
韓国、「怯え始める」資産差し押えあれば日本財界は「強硬対応へ」
テーマ:ブログ
日本財界は、韓国の経済復興を軌道に乗せるべく多くのプロジェク支援を惜しまずにきた。
韓国最初の近代製鉄企業の浦項製鉄所建設では、日本の八幡製鉄(現・新日本製鐵住金)が技術支援して完成にこぎつけたものだ。
当時の稲山社長が、日韓併合時代の償いもあるという大乗的な見地で協力した。
これに、韓国の財界も感激して以後、日韓財界は毎年の恒例行事として財界のトップが会議を開いてきた。
これまで50年間、日韓で騒ぎが起ってもそれに惑わされず開催してきた日韓経済人会議が、今年は延期となった。
戦時中の強制徴用工に対する賠償問題で、韓国による日本企業の資産差し押え問題への抗議である。
事態の深刻さを示しているが、日本財界はすでに韓国に対する強硬対応のメニューを決めている。
『朝鮮日報』(3月11日付け)は、「韓日経済人会議が突然延期、発足50年間で初」と題する記事を掲載した。
制徴用判決以降の確執で、今年5月に開催予定だった「韓日経済人会議」が突然延期された。
昨年は「韓日商工会議所会長団会議」も延期されている。
(1)
「韓日経済協会は10日、ホームページに掲載した告知文で、「最近の韓日関係は複数の確執により大きな困難に直面しており、両国の交流にも多くの影響を及ぼしている。
両国の協会はこのような状況を考慮し、会議の充実性や成果向上などのため会議の開催を延期することで合意した」と明らかにした。
(2)
「韓日両国の財界関係者によると、韓日・日韓経済協会が5月13日から3日間、ソウルのロッテホテルで開催する予定だった第51回韓日経済人会議は9月以降に延期されたとのことだ。
韓日経済人会議は両国間の経済協力を促進させるため1969年に開始されて以来、昨年まで1年も欠かさずに両国で交互に開催されてきた代表的な韓日経済協力協議体だ。
財界関係者は、『具体的な日程や場所まで決まっている状態で急に延期されるのは極めて異例だ。
昨年の強制徴用判決後、両国関係が急速に冷え込んでいる状況で、韓日経済人会議まで延期されれば両国間の経済交流全般に影響が広がる可能性がある』と話す」
日韓経済人会議は、5月に開催される予定で会場まで決まりながら延期になった。
日韓経済人会議の日本側メンバーに、徴用工問題で資産差し押えの当該企業も含まれているはず。会議の延期はやむを得ないそちであろう。韓国側は、次に何が起るかに怯えている。
『中央日報』(3月12日付け)は、「徴用賠償で冷え込む韓日経済協力、中国のTHAAD報復と似た展開に?」と題する記事を掲載した。
(1)「三・一独立運動100周年を迎えた1日。韓国と日本にそれぞれ本部を置く韓日経済協会代表が東京で会った。
4日後、韓国国内の韓日経済協会は今年5月に予定されていた韓日経済人会議の開催延期をホームページで公示した。韓国内の韓日経済協会は行事場所のホテルまで予約していた」
(2)「昨年11月。大韓商工会議所は釜山(プサン)で開催する予定だった第12回韓日商工会議所会長団会議を延期しなければならなかった。
会議開催を数日後に控えて日本商工会議所が「強制徴用判決」に言及するという立場を大韓商工会議所に伝えたのだ」
この二つの日韓経済人会議が延期されたが、この動きは、中韓が韓国のTHAAD(超高高度ミサイル網)設置問題で紛争が起ったとき、中国が韓国に経済制裁したときと状況が似ているとして、韓国側は警戒している。
中国は、経済制裁前に中韓の経済人会議を延期していたのだ。この例に倣えば、日本が次に韓国への経済制裁を行なうであろうと見ている。
日本の知韓派財界人は、次のような制裁内容を韓国人記者に話した。『中央日報』(3月12日付け)が、「日本財界、差し押さえ資産売却なら韓国支社撤収の雰囲気」と題する記事の中で伝えている。
① 差し押さえ資産売却が現実化し、実質的な被害が発生すれば、韓国支社を撤収させる
② 今後いかなることがあっても日韓通貨スワップを再開しない
③ 資金融通分野での協力を含めて、日韓金融機関の協力を中断すべきである
韓国支社撤収は企業レベルで実行可能だが、②と③は日本政府が絡む問題である。
だが、日本の経済人の間では、日本が韓国への金融協力をしないことを日本政府に申入れる意向を示唆している。
韓国で経済危機が起れば、日本は韓国を「見殺し」にする決意である。
今後の韓国経済は、急減速が見込まれている。
私は、3回目の経済危機到来を予想してきたが、日本財界もそういう見方であることが分る。
日本は、韓国を突き放して反省を求めるべきだろう。
韓日議員連盟の有力議員が危機感を表明
韓日議員連盟の有力議員の間で、文在寅大統領による「反日ワンマンショー」に対して危機感が出てきた。
文氏は、「86世代」の思惑に突き動かされて「反日」へ大きく舵を切っている。
北朝鮮の「チュチェ思想」に賛同する「86世代」は、反日をテコにして韓国全体を南北統一へ向かわせようという思惑に取り憑かれているのだろう。
この「86世代」の思惑は、左傾思想の間では支持されても、広く韓国全体の支持を得られるものではない。韓日
議員連盟の有力議員が、現在の文大統領の進める反日政策に危機感を持ち始めたことは確かだ。
『朝鮮日報』(3月11日付け)は、「道徳主義では韓日関係解決できず、元駐日韓国大使が与野党議員に提言」と題する記事を掲載した。
(3)「韓国の金大中(キム・デジュン)政権時代に駐日大使を務めた崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授は11日、国会議員会館で開かれた討論会で、悪化の一途をたどっている日本との関係について、「道徳主義では問題解決はできない」として、『与野党が党利党略から離れ、現実的な対応策を共に講じなければならない』と促した」
討論会は韓日議員連盟の会長を務める与党「共に民主党」の姜昌一(カン・チャンイル)国会議員と同党の元恵栄(ウォン・ヘヨン)議員が主催。同党の李鍾杰(イ・ジョンゴル)議員や最大野党「自由韓国党」の鄭亮碩(チョン・ヤンソク)議員、野党「民主平和党」の鄭東泳(チョン・ドンヨン)代表ら多数の与野党の重鎮が出席した。
崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授は、道徳主義では問題解決はできないとして、与野党が党利党略から離れ、現実的な対応策を共に講じなければならない、と発言した。
私は、「党利党略」という言葉に注目したい。与党が、次なる国会議員選挙で勝利を得るために、「反日問題」を利用しようとしていることへの警告と読める。これは、文氏が選んだ最悪の手段である。
(4)「崔氏は、『韓日関係は独島から教科書、慰安婦問題までさまざまなものがあったが、単純だった』として、『だが、強制徴用被害者の賠償問題は北とも関連するなど、非常に複雑な問題』と強調。『三権分立によって大法院(最高裁)の判決を尊重するしかないと日本を押し切ろうとしているが、それでは問題は解決できない』との認識を示した」
崔氏が重視している点は、日韓基本条約を根本的に否定する徴用工問題である。韓国大法院(最高裁判所)が、国家間で正式に締結された条約を、53年後に否定できるのかという根本的な認識問題を提示している。
それは、韓国国内では有効としても、日本を強制できるものではない。韓国大法院の判決は、韓国国内で解決すべきものなのだ。文大統領は日本へ丸投げして、「日本は謙虚になれ」と道徳主義を振り回す立場にない。崔氏の主張は、こういうものであろう。
(5)「崔氏はまた、1998年に当時の金大中大統領と小渕恵三首相による首脳会談で署名された韓日共同宣言(日本側名称:日韓共同宣言~21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ)を取り上げ、『11項目の中心内容と43項目の行動計画で構成されているが、これらの項目は20年が過ぎた今も有効だ』として、同宣言から解決策を模索できると強調した」
日韓共同宣言を読み返して見ると、金大中氏の思いが伝わってくる。当時の韓国は経済危機で苦しんでいた時期だ。経済に関する宣言では、次のような既述がある。
① 二国間での経済政策協議をより強化するとともに、WTO、OECD、APEC等多国間の場での両国の政策協調を一層進めていくと意見が一致した
② 日本によるこれまでの金融、投資、技術移転等の多岐にわたる対韓国経済支援を評価する
③ 小渕は韓国の経済困難の克服に向けた努力を引き続き支持する
④ 両首脳は、財政投融資を適切に活用した韓国に対する日本輸出入銀行による融資について基本的合意に達したことを歓迎した
韓国が、日韓共同宣言を持出してきたことは、過去の苦しかった時に日本が支援してくれたことを思い起こせ、ということだろう。恩を忘れて、恨みに生きる。韓国人社会の複雑さを示している。
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2019-03-13 05:00:00
韓国、「怯え始める」資産差し押えあれば日本財界は「強硬対応へ」
テーマ:ブログ
日本財界は、韓国の経済復興を軌道に乗せるべく多くのプロジェク支援を惜しまずにきた。
韓国最初の近代製鉄企業の浦項製鉄所建設では、日本の八幡製鉄(現・新日本製鐵住金)が技術支援して完成にこぎつけたものだ。
当時の稲山社長が、日韓併合時代の償いもあるという大乗的な見地で協力した。
これに、韓国の財界も感激して以後、日韓財界は毎年の恒例行事として財界のトップが会議を開いてきた。
これまで50年間、日韓で騒ぎが起ってもそれに惑わされず開催してきた日韓経済人会議が、今年は延期となった。
戦時中の強制徴用工に対する賠償問題で、韓国による日本企業の資産差し押え問題への抗議である。
事態の深刻さを示しているが、日本財界はすでに韓国に対する強硬対応のメニューを決めている。
『朝鮮日報』(3月11日付け)は、「韓日経済人会議が突然延期、発足50年間で初」と題する記事を掲載した。
制徴用判決以降の確執で、今年5月に開催予定だった「韓日経済人会議」が突然延期された。
昨年は「韓日商工会議所会長団会議」も延期されている。
(1)
「韓日経済協会は10日、ホームページに掲載した告知文で、「最近の韓日関係は複数の確執により大きな困難に直面しており、両国の交流にも多くの影響を及ぼしている。
両国の協会はこのような状況を考慮し、会議の充実性や成果向上などのため会議の開催を延期することで合意した」と明らかにした。
(2)
「韓日両国の財界関係者によると、韓日・日韓経済協会が5月13日から3日間、ソウルのロッテホテルで開催する予定だった第51回韓日経済人会議は9月以降に延期されたとのことだ。
韓日経済人会議は両国間の経済協力を促進させるため1969年に開始されて以来、昨年まで1年も欠かさずに両国で交互に開催されてきた代表的な韓日経済協力協議体だ。
財界関係者は、『具体的な日程や場所まで決まっている状態で急に延期されるのは極めて異例だ。
昨年の強制徴用判決後、両国関係が急速に冷え込んでいる状況で、韓日経済人会議まで延期されれば両国間の経済交流全般に影響が広がる可能性がある』と話す」
日韓経済人会議は、5月に開催される予定で会場まで決まりながら延期になった。
日韓経済人会議の日本側メンバーに、徴用工問題で資産差し押えの当該企業も含まれているはず。会議の延期はやむを得ないそちであろう。韓国側は、次に何が起るかに怯えている。
『中央日報』(3月12日付け)は、「徴用賠償で冷え込む韓日経済協力、中国のTHAAD報復と似た展開に?」と題する記事を掲載した。
(1)「三・一独立運動100周年を迎えた1日。韓国と日本にそれぞれ本部を置く韓日経済協会代表が東京で会った。
4日後、韓国国内の韓日経済協会は今年5月に予定されていた韓日経済人会議の開催延期をホームページで公示した。韓国内の韓日経済協会は行事場所のホテルまで予約していた」
(2)「昨年11月。大韓商工会議所は釜山(プサン)で開催する予定だった第12回韓日商工会議所会長団会議を延期しなければならなかった。
会議開催を数日後に控えて日本商工会議所が「強制徴用判決」に言及するという立場を大韓商工会議所に伝えたのだ」
この二つの日韓経済人会議が延期されたが、この動きは、中韓が韓国のTHAAD(超高高度ミサイル網)設置問題で紛争が起ったとき、中国が韓国に経済制裁したときと状況が似ているとして、韓国側は警戒している。
中国は、経済制裁前に中韓の経済人会議を延期していたのだ。この例に倣えば、日本が次に韓国への経済制裁を行なうであろうと見ている。
日本の知韓派財界人は、次のような制裁内容を韓国人記者に話した。『中央日報』(3月12日付け)が、「日本財界、差し押さえ資産売却なら韓国支社撤収の雰囲気」と題する記事の中で伝えている。
① 差し押さえ資産売却が現実化し、実質的な被害が発生すれば、韓国支社を撤収させる
② 今後いかなることがあっても日韓通貨スワップを再開しない
③ 資金融通分野での協力を含めて、日韓金融機関の協力を中断すべきである
韓国支社撤収は企業レベルで実行可能だが、②と③は日本政府が絡む問題である。
だが、日本の経済人の間では、日本が韓国への金融協力をしないことを日本政府に申入れる意向を示唆している。
韓国で経済危機が起れば、日本は韓国を「見殺し」にする決意である。
今後の韓国経済は、急減速が見込まれている。
私は、3回目の経済危機到来を予想してきたが、日本財界もそういう見方であることが分る。
日本は、韓国を突き放して反省を求めるべきだろう。
韓日議員連盟の有力議員が危機感を表明
韓日議員連盟の有力議員の間で、文在寅大統領による「反日ワンマンショー」に対して危機感が出てきた。
文氏は、「86世代」の思惑に突き動かされて「反日」へ大きく舵を切っている。
北朝鮮の「チュチェ思想」に賛同する「86世代」は、反日をテコにして韓国全体を南北統一へ向かわせようという思惑に取り憑かれているのだろう。
この「86世代」の思惑は、左傾思想の間では支持されても、広く韓国全体の支持を得られるものではない。韓日
議員連盟の有力議員が、現在の文大統領の進める反日政策に危機感を持ち始めたことは確かだ。
『朝鮮日報』(3月11日付け)は、「道徳主義では韓日関係解決できず、元駐日韓国大使が与野党議員に提言」と題する記事を掲載した。
(3)「韓国の金大中(キム・デジュン)政権時代に駐日大使を務めた崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授は11日、国会議員会館で開かれた討論会で、悪化の一途をたどっている日本との関係について、「道徳主義では問題解決はできない」として、『与野党が党利党略から離れ、現実的な対応策を共に講じなければならない』と促した」
討論会は韓日議員連盟の会長を務める与党「共に民主党」の姜昌一(カン・チャンイル)国会議員と同党の元恵栄(ウォン・ヘヨン)議員が主催。同党の李鍾杰(イ・ジョンゴル)議員や最大野党「自由韓国党」の鄭亮碩(チョン・ヤンソク)議員、野党「民主平和党」の鄭東泳(チョン・ドンヨン)代表ら多数の与野党の重鎮が出席した。
崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授は、道徳主義では問題解決はできないとして、与野党が党利党略から離れ、現実的な対応策を共に講じなければならない、と発言した。
私は、「党利党略」という言葉に注目したい。与党が、次なる国会議員選挙で勝利を得るために、「反日問題」を利用しようとしていることへの警告と読める。これは、文氏が選んだ最悪の手段である。
(4)「崔氏は、『韓日関係は独島から教科書、慰安婦問題までさまざまなものがあったが、単純だった』として、『だが、強制徴用被害者の賠償問題は北とも関連するなど、非常に複雑な問題』と強調。『三権分立によって大法院(最高裁)の判決を尊重するしかないと日本を押し切ろうとしているが、それでは問題は解決できない』との認識を示した」
崔氏が重視している点は、日韓基本条約を根本的に否定する徴用工問題である。韓国大法院(最高裁判所)が、国家間で正式に締結された条約を、53年後に否定できるのかという根本的な認識問題を提示している。
それは、韓国国内では有効としても、日本を強制できるものではない。韓国大法院の判決は、韓国国内で解決すべきものなのだ。文大統領は日本へ丸投げして、「日本は謙虚になれ」と道徳主義を振り回す立場にない。崔氏の主張は、こういうものであろう。
(5)「崔氏はまた、1998年に当時の金大中大統領と小渕恵三首相による首脳会談で署名された韓日共同宣言(日本側名称:日韓共同宣言~21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ)を取り上げ、『11項目の中心内容と43項目の行動計画で構成されているが、これらの項目は20年が過ぎた今も有効だ』として、同宣言から解決策を模索できると強調した」
日韓共同宣言を読み返して見ると、金大中氏の思いが伝わってくる。当時の韓国は経済危機で苦しんでいた時期だ。経済に関する宣言では、次のような既述がある。
① 二国間での経済政策協議をより強化するとともに、WTO、OECD、APEC等多国間の場での両国の政策協調を一層進めていくと意見が一致した
② 日本によるこれまでの金融、投資、技術移転等の多岐にわたる対韓国経済支援を評価する
③ 小渕は韓国の経済困難の克服に向けた努力を引き続き支持する
④ 両首脳は、財政投融資を適切に活用した韓国に対する日本輸出入銀行による融資について基本的合意に達したことを歓迎した
韓国が、日韓共同宣言を持出してきたことは、過去の苦しかった時に日本が支援してくれたことを思い起こせ、ということだろう。恩を忘れて、恨みに生きる。韓国人社会の複雑さを示している。
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