新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全面解除されて約3週間。経済活動の正常化は遠く、勤務先への出勤とテレワークを併用している人は多いだろう。勤務先でウイルスに感染したり、在宅ワークをしているときケガをしたりしたら労働者災害補償保険(労災保険)の対象になるのだろうか。副業やフリーランスなど働き方の多様化も進むなか、労災保険の基本と注意点を知っておこう
■手厚い労災補償
補償内容は手厚い。療養のため仕事を休むと休業4日目から「休業(補償)給付」として、直前3カ月間の1日当たり平均賃金の8割を受け取れる。「療養(補償)給付」では病院で治療した際の費用が全額免除となる。従業員を雇用する事業所は加入義務があり、保険料を全額負担する。パートやアルバイトなど非正規社員も対象となる。一方、フリーランスや個人の自営業は原則適用外だ。
コロナに感染した場合はどうなるのか。厚生労働省が4月下旬に出した通達では、業務が原因で感染した場合は原則として労災補償の対象になるとの見解を示している。医療や看護、介護に従事する人だけでなく、複数の感染者が出た職場で働いていたり、多くの人と接する仕事をしていたりして感染した場合は労災の対象になる可能性が大きい。実際に認定されるか否かは労働基準監督署が個々のケースに応じて判断する。
■テレワークも対象
コロナ禍をきっかけに自宅やサテライトオフィスなどで勤務する人が増え、テレワークを前提に雇用制度を見直す企業も相次いでいる。テレワークでケガをした場合、業務に関連するものであれば労災の対象となる。厚労省によると自宅での業務中にトイレへ行くため離席し、イスに座ろうとして転倒した人が補償を認められた例もある。一方、在宅勤務の合間に息抜きのため散歩に出たり、子供の保育園の迎えで外出したりしたときにケガをしても労災の対象外だ。カフェで業務をしていてケガをした場合も会社が認めた場所でなければ補償されない可能性が大きい。
副業など複数の仕事をする場合はどうだろうか。現在はケガなどをした職場の賃金のみが補償対象となる仕組みだ。複数の職場で働く人の増加を受けて、関連法は3月末に改正された。9月からは(事故のあった就業先と休業した副業先)の両方を合算した賃金が補償の対象となる。(* 日経 記事 より) . . . 本文を読む