香港が米中対立の最前線に立たされた。米トランプ政権が中国との対決の場を貿易から金融市場にも広げる中、中国にとっては世界のマネーとの結節点である金融センター・香港の重みが増している。その香港に対し、中国は社会統制を強める「香港国家安全法」を頭越しに導入しようとしている。長期的に欧米マネーの香港からの逃避を招けば、中国は自らの首を絞めることにもなりかねない。政治の混迷と対照的に、香港の金融市場は意外な活況を示す。香港株は5日まで5日続伸し、3カ月ぶりの高値を付けた。外国為替市場では中国ゲーム大手のネットイースやネット通販の京東集団(JDドットコム)の株式上場を控えて香港ドル買いが止まらず、通貨当局は香港ドル売りの市場介入に踏み切った。
トランプ政権が米上場の中国企業に厳しい目を向け始め「中国回帰」の一環として香港上場を探る企業が増えており、この傾向はまだ続きそうだ。香港市場のにわかな活況を支えるのも中国本土マネーだ。1月以降、中国本土からの香港株の買越額は2783億香港ドル(約3.9兆円)と2019年通年を上回った。中国本土は厳しい資本規制があり、国境をまたぐ投資に制約が多い。中国企業は自由な市場を持つ香港を窓口に世界との投資マネーのやりとりを進めてきた。香港と中国を結ぶ投資マネーの直近残高は2.4兆ドル(約260兆円)と、15年末比で47%増えた。海外展開の足掛かりに香港を使う本土企業も増えている。統括機能を香港に置く本土企業は19年に216社と、5年間で2倍近くに達した。香港取引所の上場企業に占める中国本土企業の割合は時価総額ベースで70%を超えた。
(中略)
国家安全法の制定方針が決まった5月28日「ペッグ制(総合2面きょうのことば)」が見直されるとの臆測から、香港ドルを手放す人が相次いだ。香港政府は4400億ドルもの外貨準備を持ち、ペッグ制の維持に自信を示すが、米国の存在を無視できない。トランプ政権による香港への優遇見直しには米ドルと香港ドルの交換制限という選択肢もある。経済への影響があまりにも大きすぎて実際には使えないという意味で「核オプション」と呼ばれてきたが、不安は消えない。倉田徹・立教大教授は「米国の対中政策の激変で、香港は経済冷戦の最前線に立つ」と話す。(* 日経 記事より) . . . 本文を読む
(06/07~11) 予想日 (06/07) ドル・円 108.30ー112.00 ユーロ・円 120.00ー126.00 豪ドル・円73.00ー78.00 日経平均22,800ー24,000 NYダウ26,800ー28,500 . . . 本文を読む